orangeitems’s diary

クラウドで働くインフラエンジニアの日々の感想です(ほぼ毎日更新)。

IT業界における駆け出しエンジニアの扱い

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私自身も大学は心理学科で、特に情報工学を専門に学んではいないので、駆け出しエンジニア経験者ということになる。もう二十五年くらい前の話なのだが事情は全く変わっていない。未経験者を大量に集めて、そして育たなかった人間を追い出していく。実際百人単位で新卒採用しながら、なぜか社員数が変わらない。ということは未経験者を大量に仕入れて大量に追い出すということをやっていたのだと。幹部連中の顔ぶれは全く変わらないが新人~中堅までの景色は年々代わり、どんなに社内でコミュニティーを形成しても数年後にはみんないなくなっていた。あんなにいた私の同期は他社常駐のプロジェクトに散って行ってそれっきり。久方ぶりに帰社すると知らない人が増えていてそのうち、自分自身が自社オフィスにとって客人になってしまう。

というのは前勤めていたSES中心の会社の思い出だが、彼らが未経験者の受け入れ母体となっているのは間違いない。彼らが未経験者を育てるノウハウがある、というのは大きな間違い。ITの世界にはなぜか、人力でなんとかする、というポジションが存在していてそこにはめこまれるのが未経験者だ。仕事内容がかっちり決まっていて、それをやるだけ。大昔はIT業界の生産性は著しく低かった。パソコンの性能も低かった。変な習慣も多かった。人力でなんとかやりくりしないといけない仕事が多かったので、未経験者というより人間であればいい、人が欲しい、みたいな現場は非常に多かった。2021年の今ではプロジェクト運用やシステム運用もかなりノウハウが溜まってきたので、無茶な仕事は減ったが、それでも人力のポストは存在する。もちろんAIやSaaSなどで自動化できなくはない仕事なのだが、そこにお金をかけるよりは人力で何とかするという発想の仕事はまだまだ、ある。

最近は未経験者のことを駆け出しエンジニアという言葉で彩るらしいが、全く同じ意味だ。彼らが経験者から、SNSなどで罵られているのも知っているが、これも実は25年前から変わっていない。むしろもっとひどかった。未経験者で入ってきても大半が辞める。仕事がブラックだ。精神的に病む人が多い。パワハラみたいなことがある。それは一部の側面にしか過ぎないのだけど、大量に採用して大量に辞める仕組みである以上、そこに取り込まれることは止めた方が良いというのは経験者の恩情ある発言なのかもしれない。

そう、この業界の仕組みを知りそれをコントロールする立場の人間が業界の3割ぐらいいて、残りの7割はその上で踊らされているというのが私の感想だ。ただその勝ち組の3割にいつまでもいられるかというとそんなこともなく、時代の波に取り残されたら負け組に転落する恐れはいつでもある。そしてそれは技術力だけではなく、人格、ヒューマンスキルも大いに関係している。技術力は安定していても、人格に問題があれば、なぜか評価が得られない、ポジションがない、という谷に落ちてしまう。どの業界でもそういった特徴はあると思うが、IT業界は特にはっきりしていると思う。

IT業界で得られるスキルは、他業界に比べて、転職しても即戦力になれる汎用的なものという性質が、この状況を助長している。大量に採用して大量に離職するのだが、考えなしに転職すると、結局は大量に採用して大量に離職する別の会社に転職するだけになる。踊らされる7割であることには変わりなく、履歴書に余計な行が加わり、踊らされていることを強調してしまうだけになってしまう。転職してもポジションが変わらないのであれば、留まっておいた方が良いと言うのは私の意見だ。

どうやったら未経験者から始めて、勝ち組の3割に乗れるか。これは未経験者で現場に放り込まれているときに、まず仕事をきちんと覚えること。そして業界の作法を学ぶこと。現場のキーマンを知り、勝ち組は何をしているか観察すること。その上で自分に足りないものを独学すること。会社が自分を教育してくれるのを待っていても時間がどんどん経つだけだ。今では独学することには多くの手段がある。昔は本を買うしかなかったし、学習環境も高価だった。そこだけは恵まれているので、この努力だけは必須である。頑張って働きました、から、勝ち組になれることはほぼ、ない。

後は、未経験で入った会社でスキルを身に着けたときに、経験者というフィールドの上で、転職やフリーランスなど勝負をかけるときにどう判断するか。すべての人が勝負するべきとは思わない。それこそ、それまでに観察した業界の知識が味方してくれる。この正確性を上げるには感覚を磨くしかないと思う。

結局のところ、未経験者だろうが駆け出しエンジニアだろうが昔から状況は変わっていない。勝ち筋はある。そして負け筋の方が多い。そんな世界だ。