orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

IT業界を俯瞰して考える

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ここ最近はどの会社もデジタルを無視できなくなってきたので、SIer、ユーザー企業、Web系、みたいな区分けはあいまいになっている気はしますが、まだ存在はしていますし転職活動などにおいては明確です。募集要項はだいたいがコピペなので、それぞれの職域に沿ったテンプレートがあり、そしてそれで募集した以上は何とか入社してギャップが無いように振る舞おうとするのも会社です。

さて、いろんな会社を実際に見たり体験したりして気づいてることを書きます。

SIerは、基本的にはユーザー企業の抱えている問題を、システムによって解決するために存在しています。星野源が演じていた津崎平匡の所属はシステムソリューション部でしたが、とてもこの名前はSIの本質を示しています。システムによってソリューション(解決)する。ユーザー側に悩みがあるので、要件定義という名前の相互理解が重要なのは言うまでもありません。ですからSIerの世界は、実は「文系」と言われる人も結構活躍していて、相手側に悩みがあるからこそ相手の気持ちに立って受け答えができ、そして言語化し、論理的に考え、結論を出すことが求められます。もちろん、情報処理に対するスキルも併せて必要ですが、解決しなければいけないことが会社の外にあることでコミュニケーションありきになりがちだと思います。決裁権を持つユーザーは情報処理に対しては素人であることも多いので、専門用語だけで話を進めても頓挫します。

一方で、Web系に勤める人は自社サービス自体を良くしていくことがミッションであり、ユーザーは自分自身です。ですからこちらは、私が散見するに「理系」が活躍することが多いと思います。数学的に現象を解析し実装を行っていく。こう思ったのは、どんなきっかけかと言うと、Speaker Deckという社内の技術プレゼン資料を社外公開するサイトがあるのですが、その発表の内容にとても数学的な内容が並んでいること。

Googleの検索結果

 

問題が自社内で完結するので、内省的というか、「ああしてこうしよう」ということに対して全てがテクニカルに完結するため、その根拠づけに数学が便利なのではないかと思っています。例えば、下記の資料などがわかりやすい。

 

speakerdeck.com

 

SIerがここまで考えてシステムソリューションするかというとあまり想像できてなくて、ユーザー側からオーダーされれば実装するぐらいの感じか、もともと実装できているソフトウェアを買ってきて組み合わせる、ということをSIerの頭では考えてしまいます。

 

この話は、実は昨日のニュースからも薄々思っていて、

 

www.nikkei.com

100円ショップのセリアが同業他社をしのぐ10%超の営業利益率を出している。統計学に詳しい社長自らが主導して考案した発注支援システムで機動的に売れ筋を入れ替え、客足を途切れさせない。デフレ下で成長した薄利多売の業態を、ビッグデータでもうかるビジネスに変えている。

 

ここでも、「統計学」に詳しい「(ユーザー企業の)社長」という話が出てますよね。SIerには統計学に詳しいシステムエンジニアはいても、それを武器にユーザー企業に売りに行くことはしないかと。

上記のニュースについては、下記の東洋経済のサイトに詳しいです。

 

toyokeizai.net

そんな中、足元は苦しくてもセリアが生き残れると自信を持つ根拠は、同社がデータの扱いに長けていることにある。

セリアは業界で先駆けて、2004年にPOSシステム、2006年にはPOSデータを基にした発注の支援システムを導入し、現在はほぼ100%自動的に発注が行われている。データに基づいた品ぞろえが店舗の売上高を伸ばすと同時に、それまで1日がかりだった発注の作業時間を30分程度にまで減らした。ちなみに、当時常務だった河合社長が独自に生み出したこのデータシステムは、今も社長自身が調整を手掛けている。

 

このように、問題は一つなのですが、立場に寄ってIT業界と言ってもいろんなアプローチがあるということがわかります。誰しもどちらかにしか属していないので、別の方面から問題を捉えてみると発見がありそうです。

どう問題を解決するかについては「理系」の頭、どう実装していくかについては「文系」の頭、そして基本となる情報処理に関するスキル。

そして、2021年に、一気に重要性が高まったDX。いろんな人材を組み合わせないと達成できないのは明確だと思います。