orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

コンテナってやつを信用できるのか

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2000年初頭ぐらいに、VMwareが現れて、自分のWindowsパソコンの上で、違うパソコンがウィンドウの中で動き始めて興奮したのが懐かしい。

そこから十数年経ち、今はコンテナがその座に付くかどうか、という状況らしい。ほとんどの会社がコンテナ化を検討していて、さて、動かすとしたらどうするかについて鉄板の方法はまだなく、Kubernetesがとりあえずの話題は中心なれど、いろんな実装がありVMwareが市場を独占したときほどの一択と言えるほどの方法はない。

Kubernetesの実装方法はかなりいろいろあり、どのベンダーも自分が本流だと主張しているけれど、まだ勝負がつかないので、ユーザー側はもどかしい。VMwareだと、ESXiが出た辺りで勝負が決まったけれど、コンテナはどこでどう動かすか。いろんな発表を聴くと、私が選んだ方法が一番だもんね、と胸を張るがそれはバイアスと言うもの。みんな待っている、一番が誰か決まるのを。そしたら猫も杓子もその一番を使いだして、市場は独占される。そうやって、IT業界は発展してきたと思う。

そもそもだ。コンテナベースでアプリケーションを実装して、それでシステムに命を預けられるほどちゃんと動いてくれるのか。いや、動くだろうが、10年後もちゃんと動いてくれるのか。保守できるのか。トラブルシュートを簡単にできるのか。コンテナが便利なのはわかる。でも便利と引き換えに何か失うものはないのか。

そんな思考をしたのはおそらく3年前くらいだったと思うが、意外とこの状況から私の身の回りは進んでいない。相変わらず仮想マシンは優勢で、コンテナベースの仕事はちらほらあるが劇的には増えていない。

いや・・、むしろコンテナベースになると、インフラエンジニアはお役御免の可能性もちらほらあって、アプリケーション開発者が、どこかのコンテナ基盤に乗せれば、可用性も機密性も完全性も含めて大丈夫、アップデートも超簡単、みたいなDevOptsストーリーも散々聴かされたのだが、幸運にもなかなかそうなっていない。

インフラエンジニアが活躍できるIaaSの世界では、相当魂を込めて、そのインフラ構成に対して磐石の設計と実装を行っている。だって運用に入った後地獄を見たくないのだもの。仮想化の世界も伝統芸能のゾーンに入りつつあるんで、秘伝のタレのようなものをたくさんまぶして、相当スマートになってきたように思う。

それらを、コンテナがやってきて、ハイお疲れ様、これからはコンテナの時代だよ、なんて役割ごと無効化されてしまうような悲劇的な状況まで少しは覚悟したけれど、実はそうなっていない。もしかしたら、コンテナの時代になっても、それを動かすKubernetesのようなコンテナ基盤に、秘伝のタレをまぶさないといけないのは、我々なのかもしれない(わからないけど)。

こればかりは、もしかしたらコロナ禍が無ければもっと先に進んだのかもしれない。コンテナ化のような大胆なアーキテクチャー変更を、リモート中心でやり遂げるのは勇気がいるからだ。とりあえず実績がある構成で、というので2020年はいろんなことが保留になった気がする。

最近のシステムは、単なる業務ツールだったものが、業務そのものになってきて、不具合があると会社自体が止まり、そして社会全体に支障がでるほどになってきてしまった。その責任重大な役割を、コンテナが担えるのかどうか。

技術的には日進月歩で、コンテナ基盤側は「大丈夫だよ!のせろよ!」って元気盛んなのだが、ほんと、信用していいものかどうか。悩ましい。