orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

プレゼンを書くときに気を付けるべきこと

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最近はよく企業から出る決算短信や中期経営計画を興味本位で読むことが多いのですが、何となくわかってきたことがあります。発表内容が投資家をチラチラ見ながら誇大評価をしてほしいような表現が、チラチラ垣間見えることです。発表する側は株価が上がって欲しいだろうし自分の会社が好きで、ブランド力を上げたいとお化粧したくなる気持ちはわかるのですが、結局は投資家は、経年の損益計算表と未来の業績予想、そしてバランスシートやキャッシュフローしか見てない、ということです。

ビジョンが特に強調されるような資料もあり、例えばAIなど旬のテーマなら、未来に対して過大な評価を受けることがあり、決して無駄だとはいいません。しかし、そのビジョンに対してどういうアクションを行うのかが皆無の資料もあり、結局どうやって製品化・サービス化しユーザーを見つけて届けるのか。そしてたくさんの人にそれを届けていくという手段が見えなければ、いわゆる「ポエム」と言われる、主観的な想像でしかありません。行動を伴わないビジョンは、ただただ経営者のひとりごとに過ぎません。単なるテーマ性だけで短期的に株が値上がりしたとしても、数年の損益計算表に影響を与えなければ、投資家からは発表で何を言ってもポエム扱いされ、その後株価はピクリとも動かなくなります。

会社発表の資料は、仕事をする上でのプレゼン資料、主にパワーポイントで自分が作るドキュメントで大いに参考になります。具体性に欠ける誇張表現、例えば、「世界レベルの」という表現を最近見かけました。この世界レベルとは、何の世界であり、そのレベルが具体的に何を示すのか、受け手に寄ってバラバラです。こういった定量的ではない表現を絶対にしてはいけないんだ、ということを資料作成前に思うことで、ずいぶんいい資料になるはずなのですが、巷ではポエムが溢れています。

誇大表現の先には失望が待っています。良いと誤解させるのですから、実際に良い状態でない限りは、この発信者の言うことは信用できない、となります。仕事を長年すればするほど、相手に信用してもらうことが結果の源泉であると思います。どれだけ信用を創造し、相手から対価を頂き、そして満足を頂くこと。この積み重ねこそが仕事の本質です。信用が全て。であれば、悪い誤解も良い誤解も、両方信用を損ねます。ぜひ、書きたいことをそのまま読み手には受け取って欲しい。それが将来の信用を作ります。だから表現はどんどん客観的になり、派手な形容詞は避けるようになるはず、です。

利益関係者は、もっと良い誤解を招くような誇大表現や発表を頻繁に行い、受け手が良い気持ちになるようにと願う人もいるはずです。発表会や報告会においていい評価を受けたい。もっと作文すればもっと点数が上がる、はず。そういうタイプの人のプレゼンは言葉がとても飾っていて、一見素晴らしいプレゼンのように見えるのですが、私はそれは、本当に将来の現実と一致していますか?と言いたい。

長年、その場を切り抜けられるだけの調子のいいフレーズで発表を切り抜けつつ、業績は下降気味、というパターンを知っていますが、今や信用はされていません。またあの調子か、と発表内容の深掘りをされることがありません。でもこれって、株式市場でも同じですよね。業績不振の企業でも、プレゼンの内容だけはいつも高尚で、未来には世界制覇しそうな勢いの表現も見かけますが、「そんなあほな」って誰にも相手されないので株価は低迷。過去を見ると「コロナ禍の厳しい経営状況」が常とう句で、未来を見ると「V字反転」だの「抜本的改革」だの「新事業育成」だのやれるはずのない(もしくはやれていない)内容ばかり。

読み手との信頼関係を築くのはプレゼンだけではないですが、大事な一つのツール。良い誤解も悪い誤解も避け、信用を高めていきたいものです。