orangeitems’s diary

クラウドで働くインフラエンジニアの日々の感想です(ほぼ毎日更新)。

技術資料がインターネットに無料公開されなくなっているのはなぜか

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技術資料が他社向けに発表されるということは、2019年までは結構頻繁にあったと思われますが2020年になってぐっと減った印象です。

これは勉強会なる会社を横断した技術者の集会みたいなものがコロナ禍で行われなくなったことが影響しているものと思われます。集まるからには何か目的がないとダメで、各技術者が何かうけるネタを持ち寄って発表する。それをインターネットにアップロードしていたら社会から見つけられてバズる。そんな流れがあったのはもう1年前の話です。

勉強会の流れとは別に、企業の中のIT技術者が外部向けにテックブログのようなコンテンツを用意し、自社の技術を公開することもいっとき流行しました。しかし最近は減ったと思いませんか?。

何しろ、技術資料がインターネット記事に占める割合が減少している。

技術資料減少の原因は、間違いなくメリットが少ないから、にあると思っています。最近はDXがキーワードになり、経営にデジタルをいかに組み込むかが重要になってきました。そしてその品質の差が、そのまま企業間の成績の差を産みだすようになってきました。そうなると、企業をいかにデジタル化するか、方法論は経営成績と密接な関係となります。いわゆる社外秘に近づいていきます。絶対漏らすな、競合他社を有利にするような情報は外に出したいかん。

昔は企業が技術情報を公開するのは、優秀な技術者を集めるためだったと記憶しています。もしくは、デジタル利用に優れた企業であることをアピールすることで企業ブランドを上げる効果もありました。しかしこの手法はあくまでもデジタルがわき役だったからこそ使えた方法でした。また、過去はオープンソースの最盛期で、どんどん技術を外部に出そうと言う気概が非常に高かったのをおぼえています。

状況は既に変わってしまったと思います。出てくる技術情報は、ベンダーがいかにたくさんの会社に使ってもらえているか、という事例ベースのものが多くなりました。ユーザー企業側も積極的に内部のアーキテクチャーを公開するようなことはしません。これはユーザー企業自体のサービスがデジタル化したときに基幹システムに近い使われ方になり、セキュリティー上のリスクとなるからです。中身がどうなっているかわかれば攻撃もしやすいというものです。そして、もしそれが他社との事業差別化の核となっているのであれば出せるはずがありません。

少し辛口なことを言えば、今の時代に企業のテックブログが有用な情報を社外展開している場合は、よほどお人好しなのか、時代に取り残されているか、もしくはどうでもいい情報か、しかないと私は思っています。何のメリットがあるのか。デジタルはより企業収益の根幹を担うようになっていますから、良い情報であれば余計に外には出にくくなっているはずです。

小さい要素技術レベルで、Qiitaなどに公開し、社会の発展に寄与したり特定ベンダーのソフトウェアやSaaSのシェアを広めていくような用途はまだ残っていると思います。しかし、システムの設計レベルの話だとその範疇を超えています。どんどん各社、情報の公開には慎重になっていると推察しています。個人レベルでも、これは話せないな、という内容が増えていることが実感できているのではないでしょうか。

そもそも経済は競争が前提なので、私は有用な情報がインターネットに無料でバンバン掲載されることに昔から違和感がありました。単にこれで正しい状態になってきたのかもしれません。インターネットの世界もどんどん変わっていっているということの一例にあたるのでしょう。