orangeitems’s diary

クラウドで働くインフラエンジニアの日々の感想です(ほぼ毎日更新)。

在宅勤務は結局、生産性が上がるのか。下がるのか。

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在宅勤務について、個人的には結論が出ているのですが社会の評価を知りたくて、関連記事を集めてみました。

 

■生産性が上がる

www.j-cast.com

社外の任意の場所で勤務できる「どこでもオフィス」という制度を設けているヤフーは、7月にも「無制限リモートワーク」への移行について発表しており、今回改めて声明を出した。全国の正社員や契約社員ら全7104人を対象とし、リモートワークの回数制限を原則として解除する。また7月には95%の従業員が在宅勤務で業務に従事し、92.6%の従業員がリモート環境でもパフォーマンスへの影響がなかった、もしくは向上した、と回答したという。

 

 

■生産性が下がる

internet.watch.impress.co.jp

「在宅勤務の生産性」について問われた質問では、在宅勤務を経験した回答者の43%が「生産性が下がった」と回答、「生産性が上がった」の21%の約2倍に上った。「変わらない」は36%だった。生産性が下がった理由としては、68%が「勤務環境が整っていない」、46%が「集中しづらい」、33%が「同僚からの協力が得られにくい」を挙げた。

 

diamond.jp

 ミシガン大学のエレナ・ロッコの研究によると、単独で別の場所で仕事をしている人は、会社で働く同僚との間の信頼関係が次第に弱まり、結果として共同作業の質に悪影響が生じていることがわかった。

 在宅勤務者は、定期的なフィードバックがなければ、開始直後は向上する生産性もすぐに落ちてしまうと報告している。

 ワークテック分野のスタートアップ企業であるヒューマナイズのCEOベン・ウェイバーはこう言う。「自宅で仕事をすることで影響を受けるのは本人だけではない。会社で一緒に仕事をしている人のパフォーマンスも劇的に低下する」。

 ウェイバーは、在宅勤務ではアイデアの流れが停滞することで、チーム全体の知性が低下すると考えている。台所のテーブルで働くことは、チーム全体の生産性を考えれば最適な答えではない。

 つまり、必要なのは個人で働くことと集団で働くことのバランスなのだ。

 

www.bloomberg.co.jp

JPモルガンの広報担当マイケル・ファスコ氏は電子メールで配布した発表文で、同行は「若手従業員だけでなく、従業員全般」の生産性低下に気づいたと説明。若手従業員は出社しないことで「学習機会が失われ不利になりかねない」と付け加えた。

 

www.bloomberg.co.jp

世界最大の資産運用会社、ブラックロックのラリー・フィンク最高経営責任者(CEO)は、在宅などのリモート勤務が結果的に生産性やコラボレーションを損なうことを憂慮していると述べた。

  フィンクCEOは17日、モーニングスターが主催したオンライン会議で「われわれ全員にとって最も難しい問題は、カルチャー(企業文化)の保持だ」と指摘。「カルチャーはリモート形式を想定したものではなかった」と語った。

 

www.bloomberg.co.jp

エルモッティ氏は22日、バンク・オブ・アメリカ(BofA)が主催した会議に出席し、リモート勤務従業員の比率が85%というのは銀行にとって「持続不可能な」水準であり、UBSのリモート勤務の正常な比率はどのような時であっても20-30%程度だろうと指摘した。

 

www.itmedia.co.jp

 日本のビジネスパーソンはオフィスで働いているよりも、在宅勤務時の生産性は低いと感じていることが、レノボ・ジャパンの調査で分かった。世界10カ国で働く男女に聞いたところ、「オフィスで働いているよりも、在宅勤務時の生産性は低い」と答えた日本人は40%。世界平均の13%を大きく上回っていることから、「生産性の低さが日本での在宅勤務定着・拡大に向け克服すべき課題としてあきらかになった」(レノボ・ジャパン)としている。

 

www.nippon.com

日本生産性本部が5月中旬に実施した新型コロナウイルスの感染拡大に関する勤労者の意識調査によると、時間や場所の制約を受けず、情報通信技術を利用して柔軟に働くテレワークの中心となる在宅勤務についての質問に対し、「効率が上がった」と回答した人が7.2%、「効率がやや上がった」と回答した人が26.6%となり、効率向上を実感したのは合わせて3割強にとどまった。

逆に効率が「やや下がった」との回答は41.4%、「下がった」との回答は24.8%となり、合わせて6割を超えた。一方で、在宅勤務の満足度については、「満足している」が18.8%、「どちらかと言えば満足している」が38.2%で、6割弱の人が多かれ少なかれ満足を感じている結果となった。

 

 

■生産性が変わらない

world.kbs.co.kr

在宅勤務の生産性については、事務職の46.8%は、通常業務と比べて90%以上の生産性だと評価し、25.5%が80~89%、17%が70~79%と答えました。生産性が70%未満だと答えた人は、10.6%にすぎませんでした。

こうした結果について韓国経営者総協会は、大企業の場合、ITプログラムや業務と成果を管理するシステムによって、生産性に支障が出ないようにしているためだと分析しています。

 

考察

大量に、在宅勤務は生産性が下がる、効率が悪くなる、という記事が出てきましたが、これを結論とするのは、物事を単純化しすぎるように思います。

テレワーク恒久化、というと最近で言うとみずほフィナンシャルグループやヤフージャパンなど大企業中心に聞こえてきます。これは、大企業の場合は、成果を測る基準を常々客観化していて、属人化しないようなプログラムが浸透しているので、在宅勤務になっても成果が測りやすい。したがって、恒久化したとしても生産性には支障が出ないと見ている、と考えた方が良さそうに思います。

一方で、企業文化の醸成やイノベーションの実現、また新入社員の他社からの学習などは、オフィスに集まらないと実現できないという声は大きいです。中長期的に言えば、偏ったテレワーク施策は企業の活動エネルギーを減衰させ、新しい取り組みが消失し、結果的に大きく生産性に支障を与えるという見方ができそうです。

テレワークに舵を取った大企業も、サテライトオフィスの構築には熱心であるように思います。数千人、数万人単位となると、一か所に集めても全員がコミュニケーションをしあうわけではない。であれば、都心から多少離れた場所にオフィスを複数個所分散し、そこで集まり、その間をリモート回線で接続する、というアイデアは折衷案としてはとても良いのではないかと思います。

そうなると、サテライトオフィスに近い住所を持つ社員でプロジェクトを組む、と言うような面白い現象が今後起こることになりそうです。また、遠隔地に住んでいる社員だけれどもプロジェクト組成上どうしても必要なメンバーは、遠隔のサテライトオフィスや自宅からリモートで参加してもらう、ということもできそうです。

一方で、中小企業の場合、選択肢が限られてくるように思います。集まるか、集まらないか。この一点になると思われます。サテライトオフィスなど意味はありません。人数が少ないのですから。この場合、やはりバランスが重要となってくると思います。個人的には、オフィス出勤をデフォルトにしておいて、事情がある場合だけテレワークにするようなうまいやり方を用いるべきだと思っています。

結論として、偏った在宅勤務施策は中長期的に生産性を下げると思います。短期的には生産性を下げないことは簡単だったけれども、中長期的には問題は確実にあります。この問題に対して柔軟に個々の企業の事情に合わせてカスタマイズすることは絶対である、と思います。

特に、日本の風土として、グループで働き、助け合い、メンバー間の信頼を高めることで生産性を高める文化がありますから、物理的に集まることを否定しないことが大切でしょう。