orangeitems’s diary

クラウドで働くインフラエンジニアの日々の感想です(ほぼ毎日更新)。

挑戦と無謀と新世界で キングオブコント2020

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昨日放映されたキングオブコント2020の件です。

毎年見ている人は、例年に比べてレベルが低いと言う感想を持った人が多いと思いますし私もその一人です。

でも、それで感想を終えてしまう前に、今年の大会はこれまでとは全く違う前提や、環境だったことを強調しておきたい、と思います。

象徴的だったと思うのは、ニューヨークの2本のネタです。

よく思い出してください。あの二本、完全にソーシャルディスタンスしばりを完全に受け入れた作品になっています。二人の距離が離れている、今までの常識からすると広すぎる位置関係でコントを成立させています。

これまでの常識を一旦否定した上で、新しい前提の上で作り上げなければいけない。

この大会までの1年間はとても特別なものでした。そもそも作品を試す場所も限られている。受けるかどうか手探り状態の中で半信半疑のまま演じ切らなければいけない。そして、そもそも、何も考えず笑う、ということがとても難しい状況でした。世界のルールが突然変わってしまいました。

その厳しい制約を乗り越えたという成果だったのではないか、と思います。

また、ジャルジャルについては、自粛期間中も大量のネタ動画をYouTubeに上げ続けていました。人々が止まっている間に自分たちは周りが真っ暗な中で前に進み続けた印象です。その結果、競争相手よりも前に進みました。それがこれまでの善戦コンビが一番を取れたことにつながっているでしょう。おそらく彼らの努力の方向はコロナ前と全く変わっていないのですが、周りが変わってしまった。数か月間足が止まってしまった周りをクレイジーなまでに無視し努力研鑽を続けたのは有名な話です。

ただ、番組全体としては、テレビ局側は最大の努力をしたものの、タレント勢はどうも命をかけて「コロナ前」の距離感で働いていたように見えました。

やはりお笑いの業界が築き上げてきた方法論と、コロナ対策はものすごく相性が悪い。今まで通りにやる。強い意志を感じたのですが、あの状況でクラスター的なことが起こっていないかは冷や冷やして見ていました。これで何も起きなければ「運がいい」と言うことになると思います。

世界全体が、どこまでライブを、ステージをやっていいかわからず、何か踏み込んだことをやるとすぐに批判が沸きあがるような世の中。学校なども世間の批判を恐れかなり臆病になっています。どうも内情を見ると、学内では結構密に活動し始めているのに、学外に対してはその情報がバレないようにしているように感じます。文化祭もオンラインや関係者のみの参加にしたり、発表内容も「かなり対策済みです」的な映像しか外に出さないようにしているように見えます。

みんなびくびく、臆病になっている。これを打破するために、キングオブコントの出演者、特にベテラン勢が、これぐらいはやれるんだぞ、という矜持を見せようとしたのがありありと感じられました。

あれは、無謀、なのかもしれないなと思いつつ。しかし権威な彼らが先頭に立ってやるしかないんだという賭けも見えました。

客席も、ソーシャルディスタンス&フェイスシールドで、異様な雰囲気でした。これで演者の影響がないはずはない。

そしてネタ自体も、去年までの世界観で作ると、今ではファンタジーになってしまう。今の時代では感染リスクが高いのでは、というセンサーを持ったまま作品を見なければいけないので、完全に笑いに集中できないという状況です。

ですから接触系の表現ができにくい、また、完全にコロナを無視した世界観だと、没入感に欠ける。

この状況で、よくもまあ、例年通り開催できたものだと思います。出演者やスタッフの心意気に感謝します。きっと今年中止にすると、いよいよ来年の開催も苦しくなると思います。一度、中止にしたことを再開するのは、相当なエネルギーがいることはわかっています。

コロナ禍が長期化して行く中、勇気あるチャレンジに拍手。

新世界での無謀な挑戦だったかもしれないけれど、誰かがやらないと前に進めなかった。

何も起きないことを、祈る。

もし何も起きなかったら、どんどん次のステージが増えていくことでしょう。