orangeitems’s diary

クラウドで働くインフラエンジニアの日々の感想です(ほぼ毎日更新)。

デフォルト値の世界

f:id:orangeitems:20200921160320j:plain

 

ITインフラの構築に携わるとわかるのですが、最近はデフォルト値を受け入れればちゃんと動くソフトウェア製品が過半です。インストールを始めて、ポチポチ押していればセットアップが完了する。最近この仕事をされている方なら当たり前かもしれません。

でも、大昔は違った。そもそもインストールするために、前提条件を満たすことが大変でした。マニュアルを見ると、あれやこれやそれを事前にインストールする必要があります、と平気で書いてあります。しかし、あれやそれがどこにあるかは不明。しかも構築中にインターネットに簡単につながればいいのですが、作業場所は便利な場所ばかりではありませんでした。モバイルインターネットが無かった時代は、わざわざCD-RやDVD-Rに入れて現場に持ち込み、導入しました。

インストールできた後もそこから、動く、という状態に持っていくためにはいろんな設定値をあれこれ変更しなければならず、そして変更した値が何かも残さなければいけない。そうしないと再インストールの際に再現できなくなってしまう。

それは昔の世界であって今は違います。

ソフトウェア業界自体が、インストール時にはあまりユーザーには問い合わせず、とにかく入れたらすぐ動くことを目指しているように思います。ユーザーが行う大部分の設定は導入時に自動ですでに終わっていて、カスタマイズしなくてもほとんどの人が満足するように、初めからなっています。

これは明らかに進化、なのですが、昔の世界は、パラメータ一つ一つに理解が求められました。ですからちゃんと動く、というのはステータスでした。

今は、ちゃんと動くのは当たり前。ですから、下手すると設定項目をほとんど理解することなしに、導入が完結してしまいます。

最近のITインフラ技術者は、細かい設定項目の理解なしに、専門家を名乗っている人も多く存在するような気がしています。

古くからこの業界に残っている人との差はかなりあって、一番困るときは何かと言うと、トラブルシューティングを行うとき、です。

細かい設定値に理解がない人は、デフォルト値に依存しているため、どの値を変更すると何が起こるかについて無頓着です。デフォルト値が必ずしも使う状況と一致している保障はなく、なぜ、不具合たるその現象が起こっているかについて説明しようとすると、必ず、昔のような設定値の深掘りが必要になってきます。

最近はこういった設定値の理解や変更を、自動化しようと言う動きすらあります。結局ユーザーを放置していても、サポートが混雑するだけなので、問い合わせ傾向からユーザーへ指示する手順すら自動化しておこうという取り組みです。

ITインフラの仕事はこういった経緯で相当昔よりは楽になったのですが、楽にあぐらをかいていると、いつかその専門性まで失われそうな気がしてなりません。

いくらデフォルト値で動くと言ったって、そのデフォルト値の意図を構築段階でしっかりつかみ、運用時に変更を求められた際にその影響を語れるようにはなっていたい。構築作業で高い技術料を取るのであれば、それはどんなに状況が変わっても失いたくないなと思います。