orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

仕事が遅い、とは何か

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仕事が遅い、という現象の正体について考えてみます。

私自身は、仕事が遅いと思われることに非常に恐怖感をおぼえていて、依頼されたことに対しては最速でこなし最速で返すようにしています。

仕事の早い、遅い、というのは間違いなく主観です。

仕事の頼み手がこれまでにいろんな人に頼んだ記憶から、平均的な反応時間を割り出しているのです。両者で期限を決める場合、その中で許される最も遅い時間を設定するのが普通です。この期限を破ることは、仕事が遅いというより約束を破ると言ったほうが適格でしょう。仕事が遅いとは期限ぎりぎりに完成することを言うのかもしれません。

さて、私も、他人が仕事が遅い、と感じるときが確かにあります。

深掘りすると、以下の3パターンが理由になっています。

①仕事のプロセスがわかっていないので、無駄が多い
②優先順位を誤り、重要でないことを先に取り組んでしまい、取り掛かりが遅い。
③仕事へのモチベーションが低く、注意散漫でだらだらやっている。

上記を書いていて気付きました。上の2つが先に浮かんだのですが、3つ目がもっとも深刻だということです。もし③が当てはまる、つまりモチベーションが低いのであれば、きっと①や②を取り組んでも無駄です。

モチベーションの高い人が、モチベーションの低い組織に急に入るとこれを間違えるのです。①や②に気が付き組織改革を始めてしまう。正しいことをやっているのに、全然組織のメンバーがついてこないし、むしろ妨害すら始めてしまう。改革者の人格攻撃すらやってしまう。

もっと極論言えば、①や②、つまりプロセスやスケジューリングの問題は、パフォーマンスが低い人の居場所を失くしてしまうことと同じ意味になります。ちゃんとプロセスを廻さない人、重要じゃないことしかやらない人。はい、退職、なんて日本ではなかなかできませんから、ここでいさかいが起こるのが日本の企業の悪いところだと思います。

だから、もしマネージャーとして「仕事が遅い」を失くしていきたいのであれば、組織自体のモチベーションを上げる取り組みが必要となると思います。仕事の効率が上がり組織のパフォーマンスが上がればみんな喜ぶだろう、というのはモチベーションが高い人の言い分です。なんでこんな会社に貢献しなければいけないの?、自分の役割だけやっていればいいんでしょ?、言われたこと以上のことはやりませんよ給料上げてくださいよ。そんな雰囲気を感じたら、きっとどんなにプロセスやスケジューリングの努力をしてもきっと抵抗に遭うでしょう。

従って、仕事が遅い、に対処する順番は以下のようになろうと思います。

③の対処:モチベーションを上げる
②の対処:仕事の重要度を交通整理する
①の対処:一つ一つの仕事のプロセスを見直す

私は、③の対処ができないのに、②や①の対処をやっても意味がないと思います。だから、人事というのは本当に大事です。もし、組織が腐っているのであれば、解体したほうが手っ取り早いです。今いるメンバーを再生しようなんて大事業に取り掛かるべきではありません。それは洗脳のようなもので不自然です。モチベーションの高い人だけで再出発したほうがいいくらい。もしくは、自分が転職などで環境を変えたほうがいいくらい。ここで無理して残って①や②に取り掛かり、結果が伴わず途方に暮れることって、よくあることです。

その上で、②つまりスケジューリングについては、常に実施していくべきことです。何が重要か、というのは組織にとって命のようなものなので、これはマネージャーが常に手を入れていくべきです。

①の対処は、仕事が繰り返しなのであれば、一度徹底的に見直しておけばあとはチューニングしていくだけ。時間があるときに、コツコツ取り組むべきことです。

こうやっていくと、仕事が遅い、というのは個人の資質に帰すものではないということがわかります。プロセスは個人的なものではないからです。組織が共有し研ぎ澄ましていくものです。重要度を見誤るマネージャーは、せっかくのメンバーのアウトプットの価値を下げます。そして、組織のモチベーションは、仕事全体の基礎となるものです。基礎がゆるんでいる場合、いくら努力しても空回り、なのです。

とあるTwitterで、仕事が遅い人を糾弾しているツイートを見かけ、もっと深掘りするべきと思い記事にしてみました。いろんな立場で「仕事が遅い」に悩んでいる方がいらっしゃると思いますので、ご参考になれば幸いです。