https://www.ibm.com/ibm/jp/ja/events/think-summit/
明日から、日本IBM主催のオンラインイベント「Think Summit Japan」が始まるそうです。この手のイベントは私もよく参加していたのですが、今年はオンラインか~、って。あの会場の雰囲気とか、仕事から切り離されてイベントに集中できる感じとか、年々変わるトレンドとか、楽しかった思い出はオフライン。時期が時期なだけにしようがないですね。
さて、セッション一覧を見ますと、今年のトレンドが良くわかります。
ソフトウェアやハードウェア、サービスの紹介はすっかり影を潜めています。かなりのセッションで、特定企業がIBMソリューションを利用してデジタル変革をした、つまりDXの事例発表にかなりの時間を注いでいます。
大型顧客を招いて、どういうふうにベンダーの技術を利用し、実際の業務に反映させたか、ということです。
でもこれって、昔ながらのSI(システムインテグレーション)とやっていることは実は同じです。
業務をどうデジタル変革するか、においていきなりSIerが入るのではなく、コンサルが要件を顧客と一緒に考える、という違いは昔のSIとは違うかもしれません。
過去は、要件定義自体をSIに丸投げしたために、たくさんの案件が失敗に終わりました。SIerが作ったものが、ユーザーの思ったものと違う、と言うことが頻発し、裁判沙汰も発生しました。
今はそれではいけないということもユーザー側が自覚していて、それでもやりきれないのでユーザーの業務に精通したコンサルが入るパターンが増えています。
ユーザーは自分とこの業務については専門家で一流なんですが、システムのことは知らないのでこういった枠組みになるのは当然です。
そのコンサルと一緒に考えた要件について、そのままコンサルからつながったSIerのシステム実装部隊が受注するのか、それともコンペにするのかは案件によって異なります。ただ、どのメガSIerも、コンサル部隊を増強して自社のビジネスを拡大しようとしていますし、実際に拡大しています。
というように、上流での取り組み方は変わりつつも、結局はSIしていくことに何の変わりもありません。
だから、こういったSIerのイベントにて、実際のセッションリストを見ると、ああ、今はほんと、事例がたくさんあって、SIerは好景気だなあと実感します。
コロナ禍で4月~6月は予算を見送ったユーザー企業も多数いましたが、逆に要件が山のように生まれたのではないでしょうか。もはやデジタルの力を使わないと今後生き残れないような世情が加速してしまったような気がしてなりません。
ですから、今SIerが前面に押し出すべきは、個々の要素技術発表ではなく、DXの実績です。ウチに相談したら、御社のビジネス、もっと良くなるよ!って。
別の例として、富士通の社長インタビューを引用しておきます。
ほんと、今のSIerのトップって、ドロドロのSI案件のスーパープロマネみたいな人ばかりになってきています。結局、SIの現場を生き残ってきた人が、今のDX市場のリードをしている。
そう考えると、IT業界の勝ち組って、実はSIを泥臭くやってきたSEなのかもしれないな、なんて思うときがあります。
AIやIoT、5Gなども、結局は要素技術の一つに過ぎず、結局は、ユーザー側に深く入り込み、信頼を得て、実装まで提案できるというシステムエンジニア像。
時代は変遷しますけど、なんだかんだで、ここ二十年、正攻法は全く変わっていないように思います。
大手のSIerがオフィスを縮小しているのも、テレワークうんぬんより、どんどんユーザー側に出ていって仕事してこい、ってことなのかもなあ。