orangeitems’s diary

クラウドで働くインフラエンジニアの日々の感想です(ほぼ毎日更新)。

成果主義が日本に根付かなかった理由を復習しよう

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アフターコロナは成果主義?

長期化するコロナ禍でテレワークが普及する中、今後の人事評価は成果主義だ、働いていない中高年は淘汰される、のような意見をメディアでたくさん見るようになりました。

 

dime.jp

日本企業の場合、今まで長時間労働が当たり前で、会社に〝いる〟ことが重要でした。しかし、コロナ禍でテレワークに変わり、最終的に上がってきた成果でしか評価ができなくなりました。今後は日本でも成果が重視され、会社にいることを良しとしてきた「いるか族」は淘汰されるでしょう。

 

president.jp

これから主流になっていくのが、テレワークと出社のハイブリッド勤務。働く時間ではなく仕事の成果で評価される時代に、仕事より優先的に入れるべき予定とは?

 

これらの論調から、若手が「お、ついに成果主義か、じゃあいっぱい働いている自分の待遇が上がるのでは?」みたいな誤解を見る機会が増えたように思います。

しかし、そのようには話はうまく進まないことを主張しておきます。

この成果主義の取り入れについては、20年前に大きな議論となり、大企業が実際に導入して傷つき、ある程度の成果を残しつつも元に戻したという経緯があるためです。

 

 

富士通の挑戦と挫折

成果主義が日本でかつて流行したのが2000年前後。その中でも有名な事例が富士通です。下記の本が有名になりました。

 

内側から見た富士通「成果主義」の崩壊 (ペーパーバックス)

 

もう中古でしか流通していないのが大変もったいないのですが・・。

 

日本を代表するリーディングカンパニーだった富士通は、「成果主義」の導入にあたってもリーディングカンパニーだった。富士通が「成果主義」の導入に踏み切ったのは、1993年。以来、この制度を導入する企業はどんどん増え、いまでは、日本企業のほぼ7割がこの制度を導入している。しかし、この「成果主義」が、結果的には富士通をボロボロにしてしまった。

 元・富士通人事部社員だった筆者が、その現場で見たものは、「社員のやる気が引き出され、働いた者が公平に評価されることによって、企業はますます発展する」といううたい文句とは、あまりにもかけ離れた世界だった。

 無能なトップとそれに群がった無能な管理職が、この制度を使いこなせず、社員の士気は低下。社内には、不満と嫉妬 が渦巻き、自殺者まで出るという惨状が出現してしまった。

 2004年、富士通は3年連続の赤字を回避するため、社員の給料 pay のカットまで追い込まれた。もはや、「成果主義」は死んだも同然である。

 はたして、「成果主義」は社員になにをもたらすのか?
 富士通の「成果主義」による崩壊は、けっして他人事ではない。

 

音楽やファッションも20年ごとに流行を繰り返すと言いますが、成果主義も2020年になり再度脚光を浴びているように思われます。

経営層も20年経てば入れ替わっているので、苦い記憶も薄れているのではないかと考える次第です。

上記の本で語られた成果主義の失敗、具体的には何が起こっていたのでしょうか。

 

 

成果主義の失敗

当時のインタビューが残っています。

 

jinjibu.jp

売上高1兆円、経常利益1000億円の絶頂から、わずか十数年で無残な「負け組」へ――。日本を代表するリーディングカンパニーの富士通があっという間に転落したのは、同社が1993年に鳴り物入りで導入し話題になった「成果主義」が一つの原因ではないかと見られている。目標シートも書けない管理職、主導権を握ろうとする人事部、やる気を失っていく社員たち……新しいシステムがいかに会社組織を病んでいったのか、同社の元人事部員で成果主義を推進する立場にあった城繁幸氏が赤裸々に語る。

 

この記事自体がバイブルのようなもので、今の企業はかなりここで書かれている内容を踏まえた人事制度になっているんじゃないのかな、と思います。

とかく、成果というものは難しい。

会社の中にはたくさんの部署があるものですが、それぞれで仕事が違うのに、成果という物差しは一つでなければいけない。

あいまいなものなので、結局管理職の忖度が色濃くなってしまう。それぞれの管理職の思いのままにしてしまうと全社でつじつまが合わなくなるので、調整が入った結果、著しい成果を出した人も数字がならされてしまう。

評価する側の問題で成果を低く見積もられてしまい、やる気をなくしてしまう。

サポート役のような裏方の人の成果が見えづらくなってしまい、チームワークが機能しなくなってしまう。

ぜひ、歴史を学び、失敗を繰り返さないで欲しいと思います。

 

ちなみに、今回登場した城繁幸氏の著書について、下記を紹介しておきます。

 

若者はなぜ3年で辞めるのか?~年功序列が奪う日本の未来~ (光文社新書)

 

仕事がつまらない。先が見えない。
努力しても、成果をあげても、一向に報われない。
やらされるのはいつまでも単純な作業だけ。
「若い」というだけで権限は与えられない。
成果主義なのに初任給から横並び。差がついても、数千円程度。
「若いうちがむしゃらに頑張れ」って言うけど、
いったい、いつまで頑張ればいいのだろうか?
座っているだけの上司、年配者を食わせるために、
クタクタになる若者たち。
その閉塞感の正体に迫る。

 

今を打開する話が書かれていますので、興味があればご覧ください。