orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

東京都の新たなモニタリング項目を、ITの運用監視に当てはめるなら

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東京アラートに変わる、東京都の新たなモニタリング項目が公表されたようですが・・、違和感を持ちました。

 

this.kiji.is

東京都の小池都知事は30日夜、新型コロナウイルスの感染状況を新たなモニタリング項目を公表した。

7点からなるモニタリング項目は大きく感染状況と医療提供体制に分かれており、「東京アラート」発動の基準となったような具体的な数値は示されていない。

具体的には、感染状況が(1)新規陽性者数、(2)東京消防庁の救急相談センターにおける発熱等相談件数、(3)新規陽性者における接触歴等不明者(人数と増加比)、医療提供体制が(4)検査の陽性率(PCR・抗原)、(5)救急医療の東京ルールの適用件数、(6)入院患者数、(7)重症患者数となっている。

東京都では明日からこれらの項目を含めたデータを前週と比較し、専門家による分析を行った上で、週一回の現状評価を行い対応を検討、都民への呼びかけなどを行うとした。

 

モニタリングと言えば、本番システムの運用監視でも行われるのですが、今回の発表に表現を合わせると以下のようになります。

 

---A社は30日夜、本番運用システムの運用状況に対する新たなモニタリング項目を公表した。

具体的には、(1) CPU利用率、(2) メモリー使用率、(3) ディスク使用率、(4) ネットワーク帯域、(5) レスポンスタイム、(6) ロードアベレージ、(7) ポート死活確認となっている。

A社システム部では明日からこれらの項目を含めたデータを前週と比較し、専門家による分析を行ったうえで、週一回の現状評価を行い対応を検討、ユーザーへの呼びかけなどを行うとした。

 会見でA社システム部は「これまではアクセス数の段階的な増強やアクセス制限の目安としてきたが、現時点ではシステム基盤が充実、リソースや運用体制も確保していることから、新たな指標でシステム障害に備える」と説明。「監視アラートがしきい値を超える日が続いている。3月下旬とは状況がかなり異なるが、警戒が必要だ」とした。

 

ITの世界に置き換えるなら、リソースが潤沢にあるから、アラートが上がっても即判断せず、数字を週にならした上で、専門家が見て判断するということになります。

現場感覚からすると、監視の常識を外した判断であるように見えます。

異常な状態はあらかじめ定義しておいて、そうなったときは対応する手順を考えておくというのがリスク管理の基本であると思います。

異常かどうかは、専門家が決める。そして週単位で判断する。

これを踏まえると、明らかに初動が一週間ズレます。

瞬間値には対応しないんだということになります。

ITの世界では瞬間値でも異常値が出たら、その異常値の原因を早急に(一秒でも早く)突き止めようとします。たいてい、その異常値はその後に起こる大障害の予兆です。何も理由失くして異常値は出ません。理由がしっかり突き止められ、解決することによって、大きなトラブルを未然に防ぐことができるというのが運用の常識です。

先で行ったA社のシステム部は、これでは異常値に対応しません。一週間分を専門家が判断するまで対応しないということです。これが違和感の根本だと思います。

 

この、瞬間的な異常値をあいまいにして、長い時間でならしていこうという傾向は、実は政府も同様です。

 

2020/6/25

times.abema.tv

西村経済再生担当大臣がさきほど会見を開き、東京都がきょう確認した新型コロナウイルスへの感染者数が48人だったこと、またきのうの感染者数が55人だったことなど、高水準が続く都の感染状況を受けて「緊張感を持って見ている」と述べた。

 

2020/6/27

www.jiji.com

西村康稔経済再生担当相は27日の記者会見で、新型コロナウイルスの新規感染者数が東京都を中心に増加傾向にあることについて、「数字の分析を進め、一層の緊張感を持って対応したい」と強調した。外出自粛などを再び呼び掛ける可能性に関しては「今、方向性を変えることは考えていない」と述べ、慎重な考えを示した。

 

2020/6/29

www.jiji.com

西村康稔経済再生担当相は29日の記者会見で「状況を緊張感を持って注視している。正直、嫌な感じだ」と語った。また、小池百合子都知事と30日に会い、対応を協議することを明らかにした。

 

2020/6/30

www.bloomberg.co.jp

 小池知事は30日夕、内閣府で西村康稔経済再生担当相と会談。西村再生相は終了後、記者団に対し、小池知事とは緊張感を共有しているものの、現時点で休業要請を行うことなどは考えていないと語った。感染拡大を防ぐには、「夜の街の対策が肝になってくる」として、ホストクラブなど接待を伴う飲食店関係者の集団検査を実施している新宿区に続き、豊島区などでも対策を強化すべきとの考えを示した。

 

よいでしょうか。西村担当大臣はここ一週間、「緊張感」という言葉しか発せず、具体的な(特に経済に影響を与えるような)行動はしないと言い続けています。

A社システム部長は、システム運用担当に「監視の値が良くないので、緊張感を持って対応しなさい」と言っているようなものです。

緊張感って、何ですかね。何かしてくれるんですかね。

 

こんな監視の仕方では、初動が遅れてしまうと言わざるを得ません。

数値の明確化、およびしきい値を超えたときの行動の明確化を望みます。