orangeitems’s diary

クラウドで働くインフラエンジニアの日々の感想です(ほぼ毎日更新)。

アメリカの微妙な立ち位置

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アメリカと中国

アメリカは、グローバリズムを2000年くらいから一気に進めました。そのエンジンはインターネットです。GAFA(+M)と言ったインターネットを基盤としたグローバル企業が世界を席巻し、アメリカは経済的にも繁栄を極めました。この栄光はずっと続くと思われました。

しかし、そのアメリカの下請けとも言えた中国が、その勤勉さと中国共産党の戦略によりその裏でどんどん経済力や軍事力を付けていきました。グローバリズムを進めることでアメリカが独り勝ちするという前提に対し、中国が割り込んできました。今、中国が世界で為そうとしていることは実はアメリカがやってきたことと全く同じ、なのです。

アメリカは面白くありません。下請けと思っていた中国に、自身のポジションを取られてしまう。

アメリカは去年、中国に関税戦争を仕掛けました。米中貿易について中国にペナルティーを与えることにより中国の成長を妨げようとしました。しかし、結果はついてきません。中国はアメリカとだけ貿易しているわけではありません。また、貿易は複雑で、アメリカと直接取引をしなくても、世界の多くのプロダクトは中国にたくさんの製品が依存しています。かつ国内もたくさんの人口を抱え内需も強いので、持ちこたえることができているようです。

また、特に中国が脅威となっているハイテクの分野で、ファーウェイを狙い撃ちにしました。単にファーウェイ製品をアメリカに入れない、のではなく、アメリカ製品をファーウェイの製品に入れることも禁止しました。

関税や禁ファーウェイだけでは足りないので、アメリカは次の手を打ってきます。そもそも自身が世界に広げたグローバリズムを否定するような施策です。昨今のニュースにおいては、WHOからの脱退がまず一点。WHOは中国の影響を受けすぎているという主張です。また、NATO(北大西洋条約機構)におけるドイツのアメリカ軍削減。そして昨日は、国内のインフラ投資に120兆円を使う検討をするという発表がされました。いわゆる自国主義、ナショナリズムです。

アメリカは、グローバリズムを止めたがっているようです。そして自国への投資を強め、自国主義、ナショナリズムの方向に舵を切っているように見えます。グローバリズムはアメリカの得にはならない、と言っているように見えます。

一方で、中国は、貿易は開かれなければいけない。グローバリズムこそ世界の成長エンジンである、というようなことを言っていて、ひところのアメリカのような様相を呈しています。

 

グローバリズムを否定して困るのは実はアメリカ

今日ニュースを見ていて、いよいよ矛盾が表面化してきたなと思いました。

 

jp.reuters.com

米商務省は16日、国内企業が中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)[HWT.UL]と協力して第5世代移動通信システム(5G)など最先端技術の基準を開発することを認める新たな規則を発表した。

 

ファーウェイは徹底的に貿易管理上は規制するけれども、5G標準化の議論においては、テーブルにつくことを許すという内容です。

アメリカは、グローバリズムを否定しファーウェイを排除しようとしたけれど、世界はグローバリズムの真っただ中にあるので、アメリカが世界から孤立してしまうという好例です。

お前は嫌いだ、俺の前に顔を見せるな。

そしてその場から出たら、ついてくる国はいなくて、嫌いだったファーウェイがまだ議論の中心にいる。

結果として、アメリカは世界から置かれていってしまう。

そんなことがおきているというのです。しかし、相変わらずアメリカを引っ張っているのはグローバル企業なので、この規制緩和を待っていた、というのです。

世界におけるアメリカの立ち位置が、いよいよ微妙になってきたなと感じられるニュースです。

ナショナリズムとグローバリズムの間で、国内でも断裂が深まっているということになると思います。昨今のアメリカ国内における分断の件も、その一端だと私は考えています。

 

ビジネスでも起こり得るこの関係性

大手SIerが、下請けだと思って懇意にしていた企業が、下請けの仕事の中で身に着けた技術により中の技術者が成長し、大手SIerと終いにはコンペになってしまう。

最近はそんな話は当たり前になってきたように思います。

特に、AWSなどパブリッククラウドが戦場になると、システム構築において初期投資がいらなくなるので、これまで下請けとして頑張ってきた企業もリスクを取らず、商談に参加できます。

大手SIerはどうするかというと、こういった下請け企業を買収に動きます。もともと商流が活発だった関係であれば経営者同士も気心が知れているので、吸収しやすいです。たくさんの中小ベンダーが大企業に買収されていっているのを知っています。

下請けに投げているうちに元請けが弱体化してしまうので、元請けのベテランたちが早期退職・希望退職対象者になっていくという現象が昨年見られました。

ただし企業経営者は鋭くて、それなら下請けを吸収してしまえばいいと。最近の大手SIerは中身を見ると、中小企業の連合体のようになっていると思います。特にDXやアジャイルのような、小さくて改修を繰り返すような案件が増えると、旧来の大手SIerが得意とする大型案件をまわすのではなく、小さな案件をたくさんの小グループが実際に手を動かして進めていく、これを大手SIerが真剣に取り組み始めているように見えます。

大手SIerの下で動く大型案件やSESという仕組みはまだ残る一方、新しい動きも始まっていると思います。

 

しかし、アメリカと中国と言う関係においては、アメリカが中国を吸収することもできません。中国はアメリカと対等になりつつある状況においては、意見がぶつかりあうのは当然と言えます。しかしアメリカはナショナリズムに舵を取ろうにも、国内の主力はグローバリズムの申し子のような企業ばかり。

さて、この微妙な立ち位置は、アメリカをどこに向かわせるのか。

筋書きの終わりはまだ見えません。