orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

過密都市から地方都市へ、若者に訪れたチャンス

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首都圏に住んでいると、もはや状況としてかなり無理があると常々思っていました。超田舎に住んでいてそこから大東京に出て来て、二十五年くらいその様を見て来たのですがかなり東京は膨張してきました。何に脅威を感じたかというと、街を外れて進んでも次の街が現れることです。そして街が切れたかと思ったら住宅が現れ、結局のところどこに進もうが人がいる状態が形成されています。都会なんだから当然じゃないか、いや、それは違くて、どこまでも果てしなく人がいる土地が広がっているので、通勤・通学することに無理が生じているということです。そこに住んでいる人がそこに職場があればいいのですが、何せ街の連合体で広大な面積を持つため、遠くに職場がある確率が上がります。大変な問題をはらんでいて、例えば神奈川の人が千葉に通ったり、千葉の人が神奈川に通ったりします。神奈川の人が神奈川に通い、千葉の人が千葉に通えば交通量が減るのですが、そんな調整もできず、首都圏は年々満員電車が増え、そのうえでその面積がどんどん広がっていきました。

基本的に街というのは、中心地があり、その周りにベッドタウンがあるという状態がベストだと思います。ところが、中心地が点在する構成のため、遠距離通勤が生まれ、その規模を拡大するにつれ混雑を増す、という図式です。

この状況が年々悪化していく様を見ていました。

 

で、就職氷河期に社会へインしたので、サバイバル的に生き残ってまだ首都圏にいられていますが、なぜこの首都圏に人が集まってくるのか。それは「首都圏は成長しているから、新しいポストが日々生まれ、それに乗っかれるかもしれない」という淡い期待、夢があるからだと思っていました。地方に居た時の閉塞感はそれはもうひどいものでした。同世代の若者は(私を含めて)どんどん都会に向かいます。仕事があるから、という立てつけでしたが、田舎に居ても要職のポストは埋められているので、未来が見えているからです。田舎の子の親たちはドライに未来を分析し、都会に送り出すことをここ数十年繰り返していたように思います。だから、少子化の時代になっても首都圏だけは膨張していた。

ところが、このアフターコロナの時代にあって、その膨張した都市機能がリスクになって襲い掛かってきました。今、渋谷、新宿、池袋、中心都市に集まれないし、緊急事態宣言が明けたところで喧騒が元に戻る保障もない時代に様変わりしてしまいました。多くの若者が長い自宅待機の中で、ああ、膨張していく首都圏、という概念は終わりを迎えてしまったということを悟りだしました。

 

www3.nhk.or.jp

就職情報会社「学情」は先月24日から今月1日にかけ、インターネットを通じて20代の転職希望者に新型コロナウイルスの感染拡大の影響についてアンケート調査を行い、およそ360人から回答を得ました。

このうち「地方への転職を希望する」と答えた人は36%と、ことし2月の調査と比べるとおよそ14ポイント多くなりました。

地方への転職を希望する理由については「テレワークで場所を選ばずに仕事ができることがわかった」とか「都市部で働くことにリスクを感じた」、「地元に帰りたい」といった答えが目立ったということです。

 

物理的にそこに居なくても経済活動にジョインできる世の中に推移した、という気づきは素晴らしいものです。あとは社会がどうやって就職活動をオンライン化するだけとなりました。結局物理的に面接をしなければいけないのであれば、まだ都会にいる意味はあります。就職活動のためにわざわざ東京に来て契約したら帰郷するというのはリスクが高い。オンラインゲームのように日本のどこからでもログインでき、その中で就職でき働くことができる世の中がやってくれば、会社の中身がオンライン化している状況ですから、住所を問わなくなります。私が今住んでいるこの場所も、職場に行かないことを前提にすれば大きく場所の意味を失っています。

また、首都圏が成長しないという前提に立てば、今後首都圏に新しいポストが生まれにくくなります。すでに要職にある人が離れません。成長し新しいポストを狙って若者は下働きに耐えるのですから、ポストが無いのならいる意味はありません。それは田舎から都会に出て来た私はすごくわかります。それより、今後テレワークが進み、地方にいても仕事ができる状況が生まれるのであればむしろ、そのような人を取り込める魅力のある地方の方が成長していく可能性がある。ポストが生まれる。もともと首都圏は膨張しすぎているのでジョインするためには高い家賃を前提とする都心か、遠距離通勤を強いられるベッドタウンの二択しかない。成長する地方なら喜んでそちらに行きたいといったところでしょう。

 

自分の身の回りに置き換えてみます。

私の仕事、パブリッククラウドを利用してお客様にサービスを届けるような業務を行っていますが、この2か月ほど全くオフィスに行かずテレワークだけで仕事を成立させています。感想は?。これまでやっていた仕事でできなくなったことは、1ミリもないということです。WEB会議にも慣れました。WEB会議が増えました。WEB会議だから昔より良くなったということもなく、単に対面で話していたことがWEB化されただけ、です。手段が変わっただけであり方法論は全く変える必要がありませんでした。ということは、いつでもオンライン化できるような仕事の仕方をしていたということであり、社会情勢の変化でそれを実行に移したということだと言えると思います。

だってこれまで、自分の部署だけオンライン化しますテレワークで全てを実施しますオフィスに行きません・・・なんてできなかったですからね。オフィスに行くのは決まりだ、それだけでした。

ああ、オフィス無くても会社はまわるのか、そういう前提に立つと、わざわざ都会に高い家賃を構えてキラキラオフィスを維持する意味が急速に失われます。ここで分岐点です。

①全面的にテレワーク化し、オフィスを廃止する
②地方にサテライトオフィスを引っ越し、首都圏のオフィスは閉鎖する
③今のままオフィスは維持し、テレワークや時差出勤と組み合わせて使う

この3つか、もしくは元通りにするかの4択となるでしょう。

で、元通りにするところも3割くらいあるとは思います。ただ本当に元に戻るのかは誰もわかりません。むしろ①~③のほうが現実性があるくらいです、少なくとも2020年5月の段階では。

一番極端な①オフィスの廃止を選んだ会社があることも知っています。オフィスに通えない状況を予見し、家賃が負担になると先読みした経営者を知っています。

②地方への引っ越し、についてはまだ顕在化していないと思います。ただ、中期的にはとても流行しそうな考え方です。会社のメンバーやその家族で、合意が取れるのであればこれもまた現実的だと思います。

あとは最も現実的な③ですが、このリスクは社会が大きく変わり、首都圏にいなくても地方でもチャンスが生まれる世の中になったとき、首都圏のオフィスは負担にしかならないということですね。

今の状態では、テレワークにジョインできるのなら、確かに直接会う回数は月に一回でもいいくらいだなと思う次第です。毎日同じ場所にいたからって、別に友情が生まれるわけではありませんからね。オンラインでも成立するぐらい浅い関係だと思います。

 

現在の社会状況を俯瞰してきました。若者にとって自分の未来は一番大切なことで、彼らが地方を検討し始めたというのは社会にとって一つの転機だと思います。彼らの思う通り、地方でテレワークというのは一つの最適解であり、じきにチャンスが訪れるのではないかとにらんでいます。私も、首都圏にこだわらず、社会の変化に合わせて最適に動いていこうと思います。