orangeitems’s diary

クラウドで働くインフラエンジニアの日々の感想です(ほぼ毎日更新)。

IBMとRed Hatが組んで何をやりたいかがわかったIBM Thinkの話

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Think Digital Event Experience - 日本 | IBM

 

 

オンライン開催となったIBM Think

IBM Thinkと言えば毎年サンフランシスコで四日間に渡って開催されるお祭りなのですが、今年は例によってオンライン開催となりました。2019年は2月開催でしたが2020年はこれがスキップされ、5月5日~6日開催となりました。IBMとしては今回のThinkはRed Hatの大型買収かつ新経営陣にバトンタッチ後の初めての開催でしたから、オンライン開催はくやしい思いもあるでしょうが、その内容は非常に注目に値するものだと思います。

GAFAMの台頭でIT業界では古参になるIBMも、AIやクラウド、量子コンピューターやブロックチェーン、コンテナ基盤など一通りのトレンド技術は買収を繰り返しつつ取り揃えており、業界では技術リーダーであり続けていると思います。また、各業界で業務システムのワークロードを今も回し続けていて、単に技術だけではなく各業界のビジネスにも精通しているSEを抱えています。今後、IBMがどのような道筋を歩んでいくのか、コロナ収束後の世界を踏まえビジョンを知りたいと思い、各種メディア記事を収集します。

 

 

メディア記事

ZDnet

japan.zdnet.com

 IBMは米国時間5月5~6日、オンラインイベント「IBM Think Digital Event Experience」を開催した。毎年“物理的な場所”で開催していたイベント「IBM Think」に代わるオンラインイベントとなり、4月に就任したCEO(最高経営責任者)のArvind Krishna氏をはじめ、新経営陣がそろって参加者にメッセージを送った。

 

クラウドWatch

cloud.watch.impress.co.jp

 米IBMは5月5日・6日(米国東部時間)の2日間、オンラインによるバーチャルイベント「Think Digital Event Experience」を開催している。

 同社では例年、年次イベント「Think」を開催しており、2020年も米国サンフランシスコのモスコーニセンターにて、5月4日~7日の開催が予定されていたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、3月上旬にバーチャルイベントで開催することを発表。同社初の大規模バーチャルイベントとして開催された。

 

cloud.watch.impress.co.jp

米IBMは5日(米国東部時間)から、オンラインでバーチャルイベント「Think Digital Event Experience」を開催している。アービンド・クリシュナCEOに続いて基調講演に登壇したのが、2020年4月に社長に就任したジム・ホワイトハースト氏だ。

 2008年から米Red Hatの社長兼CEOを務め、2008年度には約5億ドルだった収益を、2019年度には34億ドルにまで成長させた手腕を持つ。2019年に、IBMがRed Hatを340億ドルで買収していたが、先ごろ、米IBMの社長に就任した。

 2019年2月に米国サンフランシスコで開催されたIBMのプライベートイベント「Think 2019」では、Red HatのCEOとしてジニー・ロメッティ会長の基調講演に登場したことがあったが、IBMの経営陣として基調講演に登壇するのは、これが初めてとなる。

 

techcrunch

jp.techcrunch.com

IBMとRed Hatは5月4日のThink Digitalカンファレンスで、5GエッジとAIを中心とした多くの新しいサービスを発表した。企業はこの2分野に注目している。いずれも法人向けで最も急速に成長しているビジネスであることを考えれば驚くにはあたらない。事実上すべての通信会社が今後の5G普及を最大限活用する方法を検討している。将来を見据える企業は、自社のニーズに合わせた最善の対応方法を見つけようとしている。

 

考察

昨日NHKのニュースにて日本電産の永守会長のインタビューを拝見しても思ったのですが、コロナショックを長期的にネガティブだと捉えている経営者はいない、ということです。もちろんニュース全体をポジティブということではありません。世界が将来進むべき道に対して、この状況が起こったために、急速にシフトしていかなければいけなくなった、ということです。テレワークも、DX(デジタルトランスフォーメーション)も、厄災があろうがなかろうが遅かれ早かれそうなっていたということ。しかし、もう、今実施しなければ企業として淘汰されてしまうという状況です。

経営者とすれば、どんな〇〇ショックが起こっても、ビクともしない体制を作ってきたつもりだった。しかし、いざコロナショックが起こってみるといろんな問題が発生した。それは経営者の想像力を超えた現象なのかもしれませんが、それでも反省をしなければいけない。このような状況も起こり得るのだということを肝に銘じ、それでも企業が万全に存続するように体制や仕組みを作り替えなければいけない。

一方で、テクノロジー企業としても、このような厄災を乗り越えるうえでのいろいろな未来を提示してきたつもりだったが、やはり起こってみないとユーザー側が本気にならない。それが今起こってしまった。今こそ、これまでのビジョンをもう一度、この厄災を踏まえて具体的にイメージし、ユーザーに、今使ってもらうことで乗り越えるキープレーヤーにならなければいけない。だからこれは、チャンスなのだ。

新しい困難において、それを何とか乗り越えるための何らかの革新的な技術が生まれるというのは、「必要は発明の母」ということわざが言う通りだと思います。そして、確かにこのコロナショックの前から、テクノロジー企業はいろいろ持っていました。語っていました。でも、それは未来の話だよね、まだウチに早いよね。そうやって新しいビジョンを打ち消しながら、レガシーを継続し続けて来たここ10年くらいの歴史をおぼえています。しかし、もう、不退転の状況なのです。

さて、IBMが散々AWSやAzure、GCPなどの他クラウド陣営のことを意識しているのは言うまでもなく、パブリッククラウドに全部押し込めるようなソリューションは違うよねと、Red HatのOpenShiftを前面に押し出し、クラウドでもエッジでもどこでも動くインフラ基盤をアピールしています。そしてOpenShift上に同社のソリューションを展開し、企業は、自身のニーズに応じてどのロケーションにも最適なサービスを展開し、この状況にも打ち勝てるインフラ基盤を手に入れるべきだと主張しています。他の陣営だって、AWS outpostやAzure Stackなど、オンプレミス側でもソリューションを展開しようと躍起ですが、それはパブリッククラウドをオンプレミス側に展開するというやり方です。いや、IBMはクラウドをエッジに展開するのではない。クラウドにもエッジにも、オープンソースのパワーで成り立っているOpenShiftを展開したいのだということです。OpenShiftは、IBM Cloudだけではなく、AWSでもAzureでもGCPでも動きますから。

しかもOpenShiftの上で動くソリューションには、Watsonに代表されるAIも、今後世界をイノベーションに導く5Gでのエッジコンピューティングも、ブロックチェーンも、背セキュリティーも、IBM CloudPakには何でもある。企業が必要とするものを、好きな場所で、必要に応じて動かそうということになります。一企業のクローズドなルールにユーザー側が合わせるというような作法はとんでもない、という主張です。

ここまでを通じて、私も賛同すべき部分が多くビジョンには非常に期待をしています。あとは、OpenShiftを速く、誰にでもどこにでも使える代物にすること。まだまだ、「さーOpenShiftをローカルに入れて試してみよう」ぐらいのプロダクトではないように思います。バージョン4でも4.0、4.2、4.4と進化するにすれ内容が全然変わっていますので、どこかでVMwareのように数年は変わらないような製品になってほしいな・・と思います。結構、このバージョンアップで中身が変わってしまうのは現場はキツいものがあります。また、OpenShiftを使う上で、エントリーレベルは価格上のハードルも下げる必要はあるでしょう。使っているユーザーが増えれば技術者も学習し仕事になる可能性が上がります。このあたりの導入戦略を期待したいところです。OpenShiftのオープンソース実装であるOKDがもっとメジャーになると嬉しいですね。

ということで、GAFAMとはまた別の角度から、このIBMの動き大変期待していますので今後も注視したいと思います。