orangeitems’s diary

クラウドで働くインフラエンジニアの日々の感想です(ほぼ毎日更新)。

Kubernetesは今ではない、明日だ

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Kubernetesを現場が扱うかどうか

Kubernetesが話題になってから1年くらいが経とうとしています。これを使わないと時代に乗り遅れるのかなと思ってたくさんの人がさわりだけは学んだでしょう。ただこれを本番サービスで扱うのかどうか。もちろん、スケールメリットや自動化のポテンシャルから、経営者に近いレベルで導入した大企業があるのを知っています。結果も出てきています。基本的にパブリッククラウドのマネージドKubernetesで運用しているケースが多く、オンプレでやったら大変というのが大体の評判かと思います。

私は、普遍的になる真のテクノロジーは、誰でも扱いやすくあるべきだと思っています。したがってパブリッククラウドじゃないと誰でも動かせないという時点でまだ準備が整っていないと思っています。

 

下記の記事は、もっと現場寄りなことが書いてあります。

itnews.org

自分が小さなチームに所属している場合、Kubernetesはおそらくそういう小さい規模のチームには向いていないでしょう。非常に扱いが難しく、メリットはほとんどないからです。

 

Kubernetesを無視すべきか

で、Kubernetesが現在発展途上中のテクノロジーで、周辺のサービスなども開発中で、一時期のOpenStackのようです。ある程度固まったら1つのパッケージとして取り込むんだろうなというのは予想できます。その時点でバージョン1.0的なマイルストーンがやってくるんだと思います。

技術的な面でまだまだ管理が難しいのはわかりますが、私が懸念しているのは組織面です。このKubernetesという技術に対して、日本の組織がフィットするためにはもっと考えなければいけない面があると思います。なぜなら、Kubernetesはとてもアジャイル向きな技術だからです。アジャイルが今になって注目されたこととKubernetesの登場がシンクロしているのは間違いないからです。そして、アジャイルと日本のビジネス習慣はそのままではフィットしないのです。

情報技術のことを幅広く見ていくと、今後はアジャイル開発にもっと取り組まなければいけないことを知らされます。これまでのウォータフォールだとビジネスの移り変わりに対応するのが大変難しい。某銀行のシステム統合に十年近くかかったのは有名な話ですが、十年後のビジネスを予見するのは大変難しくなっています。もっと短いサイクルでどんどんリリースしていくようなモデルにIT側が変わらないともうどうしようもない。

そのためのアジャイル開発技法であり、掛け声としてのDXであり、共創でした。しかし現在のテレワーク全盛の今は人が物理的に集まれません。テレワークでプロジェクトルームを作ったところで、アジャイルに必要なスクラムの一体感は絶対に出せません。リモートでスクラムを組むことを半ば流れでやっている方々もいらっしゃると思いますが、相当、独特な感想を持たれているのではないでしょうか。おそらく集中力はオフィスにいるとき以上に出ます。しかしコラボレーションが難しい。自分のスキルが及ばない部分についての質問が難しい。また人の作業状況についてチラ見できないのがもどかしい。結果としてオンラインにいろいろ自分の仕事状況を見える化しなければいけないがそのツールがまだテレワーク前提となっていない。みたいなことが想像できます。また、プロジェクトオーナーだってテレワークでの質疑応答となるし、成果物のレビューも肌感が伝わりにくい。

とにかく今考えることは、ウォータフォールで取り掛かっている案件を、テレワーク前提で推し進めることでしょう。これだけでもチャレンジです。まだアジャイルのことを考える余裕なんて、全部の企業にないはずです。

だからまず、今の時点でKubernetesへの取り組みは棚上げしてもいいと思っています。

 

Kubernetesは明日の技術だ

オフィス環境が元に戻ってから、改めてアジャイルやKubernetesの話が出てくるでしょうから、今、情報収集を進めておくことは大事です。時間がある人は取り組んでおきましょう。これは、明日の技術、なのです。

技術的に言えば、VMware vSphere 4.0が出たばかりのころに似ています。あのころはクラスタを組むのは大企業ばかりで、中小は無償のESXiでなんちゃって仮想化に取り組んでいたのではないでしょうか。vMotionなんて夢の技術でしたからね。今は日本の隅々までvSphereが普及したことも考えると、Kubernetesも時間の問題だと思います。

一方で、組織的なこと。アジャイルと日本のSI文化は非常に相性が悪いです。ユーザー部門はSIerに案件ごとぶん投げて、ウォータフォール開発するのが通常でしたから。ユーザー企業とSIerが普通にスクラムを組むと、請負やSES、派遣の観点から非常にやりにくいことになるのが間違いなしです。全部SESにすると成果物責任が無くなります。また会社が違ったりフリーランスがいたりすると指揮系統の問題も出てきます。同じプロジェクトルームに混ぜるのもハードルが高いです。この辺りをどう収拾つけていくのか、SIer側の知恵出しが求められます。

ということで、技術的にも、組織的にも、そして社会情勢的にも、「今ではない、明日だ」というのはご理解いただけると思います。

でも明日は必ずやってきます。Kubernetesやアジャイルも、現在の問題を克服できれば必ず広がります。いまは準備の時だと考えて、情報収集はぬかりなく、と言ったところです。