そこでベンダー名出すかな
本当に住友SBIネット銀行って日本IBM嫌いなんだろうな・・と思う。
住信SBIネット銀行は23日、振り込みや残高照会などほぼ全ての取引が一時できなくなるシステムトラブルが起きたと明らかにした。日本IBMのデータセンターで電源機器の定例検査時に生じた障害による停電が原因。山形銀行(山形市)や八十二銀行(長野市)といった地方銀行でも23日、現金自動受払機(ATM)やインターネット取引が一時利用できなくなった。
ニュースで日本IBMの・・というのはまだわかるのですが、住信SBIネット銀行の顧客へのお知らせ文言に、ベンダーの名前が出ていて業界内では議論となっています。
状況の悪さ
この前、住信SBIネット銀行の勘定系システムについて、次期はIBMから日立に変えるというニュースを見たばかりでした。
住信SBIネット銀行が次期勘定系システムの開発を日立製作所に委託することを決めた。日経 xTECHの取材で15日までに分かった。現行システムの開発・運用を担う日本IBMから切り替える。次期システムは2022年にも稼働させる方針で、開発費は推定で70億~80億円になる見通し。
あと2年乗り切れば運用メンバーも肩の荷が下りただろうに・・と言ったところですが、何か間が悪いことに、日本IBMの社長の経歴にしっかり現システムのローンチがあったりして。
その後、エンジニアとして経験を積むも、2000年代に入ると経営企画を担当するなどマネジメントの領域に携わり始め、2007年には、顧客企業に寄り添ってコンサルティングや業務システム開発支援を行うグローバル・ビジネス・サービス事業本部(GBS)に異動。住信SBIネット銀行の開業に伴うシステム開発はじめ、数々の案件を担当。2017年にGBSの本部長に昇格、そして今年5月、生え抜きの日本人社長としては、橋本孝之氏以来7年ぶりとなる社長就任となった。
まぁ住信SBIネット銀行のスタートが2007年9月ですから符合するんですね。
この寿命が見えたシステムと、運用チームの心理、そして顧客の既存ベンダーに対する評価というものが透けてきます。
どんなにシステムがコンピュータによって成り立っていても、面倒みているのは、人ですから。特に長年安定運用していると特に。
ベンダー名を出してはいけない理由
ユーザー企業は、システム構築をベンダーにアウトソーシングする際、必ずコンペを行ったうえで選定をしています。そのうえで最も優れたベンダーの提案を選定した上で契約します。そしてシステム終了までその関係は続きます。
ユーザー企業はベンダーを選定した責任を持ちますから、ユーザー企業の顧客に対し「これはこのベンダーが悪い」なんてことを言ったら責任転嫁です。そのベンダーを選んだのはあなた(ユーザー企業)でしょう、と。自分たちに見る目が無いのを公言しているのと同等です。
かつ、セキュリティー上も物理的なデータセンターのありかを明言することにプラス面は全くありません。ああ、あの銀行はどこどこのベンダーが持っているデータセンターにシステムを置いているんだなという手掛かりを与えてしまいます。
また、他のベンダーも、あのユーザー企業と取引し、もし瑕疵があったとしたらその場でここまでの情報をさらしてしまうのか、と警戒感を持ちます。上記の通り責任転嫁とも感じます。ベンダー側において障害が発生すると世間に対して即情報を出してしまうのか、と。私がベンダー側なら、商談時から降りる、という選択肢も考えます。
ユーザー企業側も自社に内製するリソースを持っていないからアウトソースするのですから、アウトソースする側にも敬意を払って付き合うべきです。自分たちは客だ、という態度でいると、気が付いたらどのベンダーからも付き合ってもらえないようになります。これは本当にそうなりますからこの事例は反面教師にすべきと思います。
いくら、数年後に関係を切るからって、それはないよね・・と。
ベンダー側もユーザー企業を見ています。
ちなみに、今回の「日本IBMのデータセンター」はまるっきりオンプレの話で、IBM Cloudは関係ないですね。この辺りも混乱があるようです。
電源周りってほんと、インフラの肝だと思いますよ。オンプレ・クラウド関係なく。