orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

なぜ大金をばらまいてまで企業がデータを欲しがっているのか

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検索エンジンの先

世の中で100億還元とか20%還元とか、何かえらく威勢のいいキャンペーンをたくさんの場所でやっていて、何でそんなにお金を人にあげるんだろうと思いませんか。そんな大金に相当する何が欲しいんだろうって疑問に思いませんか。

世の中のネット企業が疲弊してまで欲しいもの。それはシェアです・・というともうたくさんの人が指摘していて飽き飽きかと思います。今回はもっと大きな目線で語ります。

彼らが欲しいのはGoogleの先、もっとわかりやすく言うなら、「検索エンジンの先」です。

 

検索エンジンがなぜ儲かったか

Google社はGAFAの一角ですが、ここまで大きくなったのはどう考えても検索エンジンによって得られた情報を広告事業に活かしたことによる収益です。今まで何を考えているかわからなかった群衆たちが、興味のあるキーワードをこぞって入力してくれるのです。今日も何か検索しましたか。しましたよね。そのキーワード何だかおぼえていますか。でもGoogleはおぼえているんです。単におぼえているだけではなく、あなたのGoogleアカウントにひもづけておぼえている。ログインしていないとしてもIPアドレスや端末の情報はおぼえている。これを集計して、世の中で何が興味を持たれているかと広告を結び付けて大成功しました。

でも、検索エンジンに入力したテキストだけが、人々の興味じゃないですよね。OK, Google。そう、音声でも入力できるようにした。そうやって、人々の興味を突き止め、そのデータを使ってビジネスをして成功した企業です。

 

検索エンジンの次

でも今更同じことを他の企業が物まねしたって仕方がない。

今盛んにシェア争いをしているのは、「言語化していない人々の行動」データです。購買行動全てのデータをつかむことができたら、検索エンジンのデータ以上に、どの層に何をどれくらい作って売ればいいか、わかる。どんな値段がいいのかも、わかる。

人間って、世界のことをある程度自分の頭で理解しているつもりであると思うのですが、これってあくまでも、他の人の話やツイート、メディア記事など、「ほかの人が世界に放出した部分」を見て想像しているだけです。あなたはあなたのことをどれくらい世界に放出していますか。私は毎日ブログをやっているので人より多いとは思うのですが、それでも私の一部を見せているにすぎません。また自分自身も自分がどんな人なのかを100%わかっているわけではない。したがって真実の世界なんてものは、実際には「ある」にもかかわらず、推測にしか過ぎないのです。

この推測について、ある程度科学的に推し量ろうというのがマーケティングの世界です。この分野に最近「データ」が入ってきたことによって革命が起きました。経験だけに頼らず数学的に世界を推量できるようになってきました。

このデータについて、検索エンジン一辺倒だったのが、電子決済の登場で状況が変わりました。以前は「各社のポイントカード」だった。それがTカードなどの企業連合カードである程度まとまったデータとなった。そしてそれを国家レベルで取得したいというのが今行われている、還元大盤振る舞いの正体です。

 

まだこの探求は始まったばかり

世界をどうとらえるか、というのは哲学そのものだと思います。

哲学と数学は似ているって、大昔から耳にしてきましたがここ最近でぐっとその傾向が強まってきています。

でも、やっていることは購買行動に寄ったデータ分析です。まだまだ世界を客観的に映し出すものでもない。

マイナンバーカードの話がありますが、もし本当に日本全体に復旧したら、次は顔写真の登録をするでしょう。顔写真をAIの顔認証技術に応用し、防犯カメラで誰が今何をしているか、マイナンバーベースで照合し解析できるようにします。そうすると、人々は何もアウトプットしなくたって防犯カメラ経由でデータが集積され、誰がどこで何をしているかわかるようになります。

SFっぽい話ですが、中国ではもう一部行われています。

 

smartdrivemagazine.jp

2018年2月以降に中国に行った方は、鉄道の駅で近未来的な、不思議なサングラスをかけた警察官を見かけませんでしたか? 「警察官がサングラスなんて…」と思われるかもしれませんが、これは顔認識システムを搭載したスマートグラスで、決して私用のサングラスではありません。

中国では顔認証が急激な早さで普及し、身分証明証を使わないことが一般化しつつあります。たとえ身分証を忘れても社員がオフィスに入れたり、旅行者も飛行機の搭乗手続きができたりしてしまうので、非常に便利と思われるかもしれません。

しかし、そこには少し怖い(?)現実が待っているかもしれないのです。

 

人間が、世界の真の姿をわかろうとするのは、これはもう本能です。ですから、可能性の議論をしていると、どんどん物事が成し遂げられていくというのが人間がこの地球でやってきたことそのものです。

世の中が人々のアウトプットだけで成り立っているとして、そのアウトプットの寄せ集めが今までのマーケティングだとすると、もはやその先に人類は向かっていると断言することができるなと思っています。

そう、FaceBookもこんなことをやっていたか。

 

wired.jp

フェイスブックが新たにスタートアップを買収した。買収先は脳から手への信号をとらえ、考えるだけで文字入力や操作を可能にする技術を開発するCTRL-labsだ。この買収はフェイスブックが長きにわたって研究しているVRやARの研究を、いかに加速させることになるのか。

 

このままいくと、多分、誰かがデータを取りに来るでしょう。

自分自身の内側へと。