orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

DXとはSIerへの需要喚起だったんだという事実

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NECとLINEの両極端な決算

NECが最近いい話ばかり聞くと思っていたらやっぱり調子が良いようです。

 

tech.nikkeibp.co.jp

NECは2020年1月29日、2019年4~12月期の連結決算(国際会計基準)を発表した。売上高に当たる売上収益は前年同期比6.9%増の2兆1756億円、営業利益は779億と前年同期の4.7倍に増えて増収増益だった。2019年3月期までに取り組んだ人員削減などの構造改革によって、固定費が減少したことが大幅増益に寄与した。森田隆之副社長兼CFO(最高財務責任者)は「想定に対して(これまでの)9カ月間の累計で売上収益は1000億円、調整後営業利益は150億円上振れている」とした。

 

こんな強気の発表はもう思い出せないくらい久しぶりで、何が起きているんだろうとおもったら逆にLINEの決算が厳しいことに。

 

nlab.itmedia.co.jp

LINEが1月29日発表した2019年12月期通期の連結決算(国際会計基準)は、最終的なもうけを示す純損益が468億円の赤字(前期は37億円の赤字)でした。広告など主要事業は堅調に推移したものの、LINE Payなどへの投資負担が響きました。

 

こんな状況になることを、数年前の私たちは想像できたでしょうか?

逆の姿を想像していませんでしたか?

 

考察

ちょっと前に、DX(デジタルトランスフォーメーション)っていう概念が流行りましたよね。考えてみればこれが号砲だったのです。ついでに2025年の壁砲まで炸裂しました。

各企業は煽られて焦りました。どんなSIerのイベントに出てもDX・DX・DX・DXです。当社は何をするべきか。そしてSIerの提案を聴き、とりあえずPoCだ何だと案件が動き出します。アレやコレやでプロジェクトが決まっていく。

そういうことでどの大手から中堅までSIは活況です。今、企業は内部留保を多く抱えていて現金を持ったまま朽ちるわけにはいかないのでこれを有効資産に変えようと、特にDXに投資するのがよいということでいろんな企業がDXもどきのプロジェクトに取り組んでいます。

また、2025年の壁、なんて区切ってくれたもので、おそらく5年後ぐらいまではSIerは安泰だと思います。オリンピック後が不安視されていましたが、2020年に完結するプロジェクトなんてなくて、今スタートしても二次、三次、と改修を続けていけば平気で5年くらいは経ってしまいます。

一方で、B2Cが土壌であったWeb系は今、正直レッドオーシャンの領域に入ってしまったように見えます。スタートアップ中心に多数のプレーヤーが入ったせいで、この分野で今から成功するのは相当厳しいのではないかと思います。SaaSの世界で「これまで誰もやったことのない分野」ってどんどん無くなっていませんか?。しかもWeWorkショックでエンジェルからの投資が一時期より厳しくなっている様相です。もうスタートアップにエンジェルが付けば誰でも上場お金持ちとはいかなくなっているのは明らかです。

B2Cと言うのは最終的な売り上げはコンシューマー(消費者)ですから、コンシューマー側も少子高齢化を受けて特に内需中心に弱体化中です。しかも増税までしてしまいましたから国民の財布のひもはどんどんきつくなる。いや財布の中身が無くなっていくと言った方がふさわしいでしょう。

その限られた国内のパイを、・・%還元、のような形で札束で殴り合う展開になってしまったもので、この分野で戦っていたいわゆるWeb系と呼ばれる企業は、3年前くらいに比べると環境が激変してしまったと思います。

IT業界をSIer系とWeb系に分割するというのも少し古臭いのですが、ここまで明暗が分かれてくると便宜上区別した方がいいのではないかと思います。むしろWeb系と呼ばれていた人たちがSIしだすんじゃないか、ぐらいの勢いを感じます。

そこで、下記の話。

 

tech.nikkeibp.co.jp

米グーグル(Google)のクラウド事業が「文化変革」を始めて1年が経過した。同社の「Google Cloud」をテコ入れすべく米オラクル(Oracle)や欧州SAPの出身者を幹部に据え、営業力の強化を図っている。老舗企業がグーグルを見習った変革に乗り出す事例はあまた見てきたが、逆はなかなか珍しい。

 

GoogleはB2Cの鑑みたいな企業で、顧客が勝手にWebから申し込みをし、勝手に使い始めてお金を収めるまで、一貫してWebで完結させようとしている企業と思っています。クラウドでも然り、だったのですが、B2Bにおける顧客はコテコテ営業大好きです。なぜならば年間に何百万、何千万のディールを行うので、相手の営業担当が信用できるかを見極めたいという文化があるからです。

いろんなクラウドとお付き合いがありますが、最も法人営業が弱いのがGoogleだと思っています。AWSについては法人営業をかなり組織だって持っている上にパートナー戦略を使って代理営業させています。日本マイクロソフトなんて法人営業しか日本にないんじゃないかというぐらい営業力の塊のような企業です。

各社法人営業が相手にしないくらい小さなスタートアップがAWSを使うような、AWSの初期の成功はそんな事例が多かったのですが、AWSも今は完全に大企業を狙いに行っていると思います。

結局Googleだって、SIを取りに来たということです。

時代が変わったと思って差し支えないと思います。

 

今はSIerに追い風が吹いている

さんざん、いろんなところでSIerはダメだなんだと言われましたが、さすがにB2BでIT投資が盛んになってくるとSIerは強いです。

また、大昔と比べて、プロジェクトマネジメントの精度も上がっていてブラック化する案件も減っています。そもそも炎上しそうなプロジェクトを営業が受注しなくなっています。

世の中の流れが速い、と言いますが二年ぐらいで様変わりしてしまいました。

短期的な状況や消費者向けの企業イメージだけ見ていると大事なことを見誤ります。

本質を見抜いていきたいものです。