orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

「ラブプラスEVERY」緊急メンテナンスが長期化する理由を推測する

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ラブプラス EVERYのメンテナンスが長期化

ラブプラス EVERYがサービスイン後に緊急メンテナンスとのニュースを聴き、「これは長期化するな」と思ったものですが。

 

 

やはり、さらに延長されたということです。

 

nlab.itmedia.co.jp

スマートフォン用ゲーム「ラブプラスEVERY」は、11月1日深夜(2日0時15分)から続いているメンテナンスをさらに延長し、11月7日17時終了予定と発表しました。なお、終了時間は変更になる場合もあるとのこと。

 

なぜ長期化するかについて、SIer的な視点から考察してみます。

なお、個人の推測ですのでご了承ください。

全部違うかもしれません。

 

テストの不備?

今回の障害事象については、ゲームシステムの根幹となる内容が散見されます。

 

「リッチを使っても消費されない」

「チャレンジのデータが正しくロードされない、クリアしても次のチャレンジが開かず、先へ進めない」

「ログインボーナスが何度でも受け取れる」

 

通常のシステム開発ならば、要件定義→外部設計→内部設計→コーディング→単体テスト→統合テスト→運用テスト→リリース、という流れで進むはずですが、ゲームの場合はもう少し弾力的に流れるでしょう。プロデューサーができたものを見たときに、ここはこうがいい、ああがいいという手戻りが発生する可能性があるためです。

ただ大枠はこの流れであり、もし、テストが想定通り行われていたとしたら、今回のようにリリース後致命的な事象が起こるはずはありません。なぜ発生したのか。

それはシステム構築の観点からすると、

・テスト後に大幅改修をしたがテストは一部、例えば改修部分しか実施していない。
・テスト項目に大幅な漏れがあった。
・テストの実施体制に非常に問題があり、テストにて合格しているにもかかわらず、エビデンスがない。

というテストの不備が想定されます。

ただ上記3点のうち2点目、3点目が該当してしまうと、もともとの開発体制自体が危機的な状態だということになります。可能性は薄いと思うのですが、ごくまれにこの条件となっている場合があります。体制を再構築し再テストをするとぼろぼろ不具合が出てきて、これでは一から作り直した方がマシだということになり、ビジネスとして見通しが立たなくなり、数カ月ベースでメンテナンスが続いたり、そのままクローズしてしまうというシナリオも過去ありました。

よくあると思うのが1点目です。全ての開発・テストが完了した後に、修正を入れた際、共通ライブラリ的な根幹部分の変更を行い、修正部分のテストは完了した。しかしそのライブラリを利用している別の部分まで動作が変わってしまったにも関わらず見落とし、テストしないままリリースしてしまった。

今回の障害内容が、課金に関わる部分であったりデータロード、ログインボーナスなど、どのユーザーでも必ず通る部分であるために、この可能性をまず感じました。

 

修正をどうするか

さて、どちらにしろ修正をしなければいけないのですが、休日中の緊急メンテナンスとなりました。ゲーム開発者もサラリーマンですから、休日の体制は手薄です。もちろん社員は緊急招集をかけられて集められるのですが、アウトソーシングしている開発リソースはすぐに集まりません。週明け火曜日から動けるように休日中に営業担当者に連絡を付けておくぐらいしかできることはないでしょう。

休みの間は、障害項目書を整理しつつ、それぞれについてコードレビューし、原因を特定しておくことを集中して実施されたと思います。しかし、いざ修正するとなると、またその修正がもとで別の部分も動作不良となるかもしれない。それは厳しいので、そのコードが通る全ての仕様を洗い出し、テスト項目を再作成するところまでやらなければいけません。

もしくは、こういう判断もあります。

「全テストをやり直せ。」

意外とこういう判断の方が適確な場合もあります。そのうえでリリース後変更についてスケジュールをは一旦凍結。安定化を目指すという判断です。

問題が起こったら修正を行うのは当然なのですが、安全に修正ができる体制についてはまた別物です。リリース直後にこれだけ根幹にかかわる障害が発生するということは、修正に対する考え方が誤っていたとしか言いようがないと思います。

個別の修正を行いつつ、なぜこのような問題が起こったのかの総括とその対応を行うまで、サービスインしないというのが安全だと思います。

 

営業と開発のせめぎあい

この、メンテナンス期間がじりじり延びていく現象ですが、運営(営業やプロデューサー・ディレクター)と、現場の開発者のせめぎあいも感じます。運営とするとビジネス的な目標があるので、できるだけ早くオープンしたい。開発者は品質を担保しなければいけない。

ユーザーを離れさせたくないので「現時点で不具合の原因はおおむね見つかっており、現在は修正を進めている段階」と言う言葉も発したくなるのもわかります。

が・・・。修正を進められる段階に本当に着地しているのかは、11月7日17時(再オープン)までわかりません。

もし、また伸びることがあれば、現実的なラインに引き直した方がユーザーとしても好感が持てると思います。

 

ビッグタイトルであることは間違いなく、現実に沿って冷静に、再リリースまでたどり着けることを期待しています。

 

追記(2019/11/6)

11月7日を待たず、メンテ終了が未定となりました。

 

www.itmedia.co.jp

 コナミデジタルエンタテインメントは11月6日、スマートフォンゲーム「ラブプラス EVERY」(iOS/Android)について、7日に終了予定だったメンテナンスを延長すると発表した。

 

未定、というところが問題の根深さを感じます。

年内には目途は着くと思いますが、続報を待ちます。