orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

部下の教育に悩んでいる人たちへ

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部下の教育

現代を象徴している話だと思うんです。

 

maname.hatenablog.com

だいぶ前に、数か月間だけ預かった部下への教育を間違ったなぁというお話。

 

考察

最近、こう思うんです。

課題解決型の仕事がどんどん減っていると。

よくロールプレイングゲームで「クエスト」ってあるじゃないですか。「薬の材料が必要なんだけど、その材料がある山にモンスターが住み着いてしまった。倒してほしい。」みたいな。それを引き受けて、無事にモンスターを倒して薬の材料を手に入れたら報酬がもらえますよね。依頼元の課題を解決することでお金をもらえるのが課題解決型の仕事です。

最近流行のクラウドソーシングなんてそれに近いと思います。ただ、普通の企業の中でそんな「課題」がごろごろ落ちているか。

課題って、システム屋の発想から言えば、何らかのプロセスを何個かつなげば解決します。モンスターを倒しに行くロボットを作って発生したら自動的に倒しに行く。これは高度過ぎる例で、どちらかといえばモンスターが住み着かないような作りに山を改造してしまうほうが楽な気がします。そのためには山の道を整備したり鍵をつけたり。

ゲームの例えから離れてみます。

駅の改札口も「ちゃんと乗車券を乗客が買っているか、人が切符を確認してハサミを入れる」という課題に対して、自動改札の仕組みを作ってほぼ無人にしてしまったわけです。

本を買うにはお店に行ってお目当てのものが置いていあるか確認し、なければ予約する。と言った課題に対して、インターネットでAmazonや楽天などで簡単にどんな本でも手に入れられるようになりました。これも課題に対する自動化です。

課題は省力化される運命にあり、特にコンピュータやプログラミングの影響で顕著になっているということです。

もともと、仕事って会社の上司から、こういう処理をやってね、と言われてそれを淡々とこなす、課題解決の仕事の方が昔は多かったと思います。これは労働集約型と呼ばれ、人数が多ければ多いほどたくさん生産できる形式でした。過去の日本やそうやって成長しました。

しかし、今の時代、課題があれば自動化していくものです。ただし繰り返しが起きないこと、つまり自動化するまでもないこと。自動化したところで再度その課題が起きないことについては、「アウトソーシング」をすることで他の会社にお願いするのが一般的な経済活動となっていると思います。

じゃあ、企業の中で社員が何を仕事としてやっているか。

「自動化しているものがうまく行かないとき、想定外が発生したとき、新しい課題が発生したときに、対応すること。」

です。

これで「ハッ」とできる人は幸せです。部下に「課題」を与えるというのは今の時代、本当に難しくなっているのです。

もう大抵の「課題」は自動化できていて、わざわざ教育目的に人にやらせることそのものが発想しにくくなっているからです。

私のシステム運用のお仕事も、障害の予防検知や、障害対応がメインです。障害がおきなければ時間が余ります。この余った時間をどうするか。新しいサービスや顧客ニーズを想定していろいろな研究の時間に充てようと私は思います。しかし、若手がそこまで発想できるかどうか。もともと自動化されている仕組み自体が、もはや作りこまれているものでありどうやって動くのかもわかりません。だから、若手には、TCP/IPもHTTPも、オンプレミスの世界もOSの仕組みも、勉強してもらいたいのですがそれはもう課題ですらないのです。しかし、いざ障害対応になった時は、その知識が必要になる。

昔は、いろんなことが自動化されていなかったので、人がいちいち手を動かさなければいけなかった。例えば、大容量データを長期保存するのにDAT装置という磁気テープを使っていました。磁気テープはテープを保管する「場所」があり、その「場所」に行って貸出許可申請書を提出しなければいけない。その申請書には事前に各役職に押印してもらう必要があった。というように、人が行う繰り返し仕事が存在していたんです。だから、とりあえずその申請書の作り方や押印のもらい方、「場所」に行ったときの振る舞い方など、たしかに「クエスト」があったんです。

今はどうでしょう。大容量のオブジェクトストレージにオンラインで自動保管の世界になってしまいました。しかも「場所」なんて存在しない。

オンジョブトレーニング(OJT)で、課題を与えながら仕事をおぼえさせるって、かなり困難になっているのではないかと思います。少なくとも二十年前に私が新人だったときの環境とは全く、違う。

 

成長の仕方

私の経験上、課題を繰り返し実行することで、学習効率は高い感覚はあります。

しかし、課題化されている仕事がどんどん減っていっていますし、AIやRPAが今後その役割を担うのは必然的です。

そのうち、AIやRPAが自動化するべき課題すらない、という状況も現実的です。

人間がやるべきは、課題を見つけ解決することではなく、新しい価値を創造することになっていくのはいろんな人が言っていることです。

一方で、山のように作られた「自動化装置」がうまく動かなくなることも想定されます。運用や保守の仕事は残ります。これができるように、いろんな基礎を空き時間で身に着けていくのは必要な行動となると思います。

完全にフリーランスになって、クラウドソーシング的な案件をつまみまくって課題解決の機会を得ていくというのは一つの成長の仕方。

もう一つは、空き時間を使ってたくさんの基礎を付け、世の中のたくさんの自動化の仕組みの基礎を学び、問題が発生したときに手を動かせる能力を地道につけることは、もう一つの成長の仕方。

多分に、課題待ちになっている部下は、この仕組みをわかってもらう必要があります。口を開けていても成長ができなくなっていることを部下サイドにも知ってもらわなければいけない。上司だって困っているのです。OJTしづらくなっている。

このように、私は今の「仕事」を俯瞰しています。