orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

変わりたいトヨタ 変わっているパナソニック

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変わりたい/変わった

日経ビジネスも粋なことをするなあと思うのですが、トヨタとパナソニックの対照的な記事が出ています。

 

www.nikkei.com

前代未聞の労使交渉延長戦から見えてきたのは、変われない社員に対する警告ともいえる人事制度の再点検だった。幹部職の創設から中途採用強化まで、トヨタは100年に1度の大変革を乗り越えるべく、従来の雇用モデルを見直そうとしている。

 

business.nikkei.com

2018年に創業100周年を迎え、「くらしアップデート業」への変革を打ち出したパナソニック。変わらなければいけないという津賀一宏社長の焦燥は、日本マイクロソフトの社長などを歴任した「出戻り」の樋口泰行氏(パナソニック コネクテッドソリューションズ社長)に一部託された。出戻って2年半。パナソニックは変わったのか。

 

変わらなければいけないという危機感を持つトヨタと、変わったパナソニック。二社の対比を考察します。

 

考察

自動車業界は、まだまだガソリン車もしくはハイブリッド車が全盛ですがだんだんと電気自動車や自動運転、カーシェアの研究が進んでおり、製造業の王者トヨタも安穏としていられない。これはもう誰が考えてもその通りだと思います。

一方で、家電業界にはもっと早くから中国勢の隆盛が押し寄せており、日本の雄パナソニックは「変わらなければいけない」というより「変わらないと死ぬ」まで追い詰められていたと思います。

「変わらなければいけない世界」という意味では、トヨタより数年先をパナソニックは生きていると思います。まだパナソニックが生き残っているということは、トヨタが学ぶべき方策がたくさんあると考えます。

トヨタの記事では、旧来の人事政策に淀みがあり、能力があるのに評価されない若手、仕事をしていないのに組織の陰に隠れて仕事をしないベテラン、のような書き方をされています。私個人としては、組織から人をあぶりだすような方策は、個人に悪い影響を与え全体の生産性は下がる方向に行くと考えています。

パナソニックに学びたい点を挙げていきます。

まずは、組織マインドを変えることに注力している点。この時点で誰がいい、誰が悪いということを言いません。全員が悪い。全員が良くしていこう。お客様に全員が向いているか。そうじゃない仕事はやめよう。そこに「変われない社員」なんておらず、誰もが正しく変わるだけというイメージです。

そして、経営者自らが変わっているというメッセージを何度も何度も口頭で伝えていること。人を変えるためには制度ではなく、行動が変わる必要がある。行動を変えるためには考え方が変わる必要がある。考え方を変えるためには考え方を何度も伝える必要がある。

変えること自体も、抽象的ではなく具体的であること。コミュニケーションにチャットを使うと決めたら、その利用率を組織ごとに測ってフィードバックする。フリーアドレスにすると決めたら全部する。オフィスごと新しい場所に引っ越して気分を変える。変わらなければいけない、というときに具体的に変える世界はモノや環境から変えると分かりやすいということを示してくれます。

最後に、最もこのパナソニックの事例がうまく行っていることの理由の一つに、グループ全体でいきなり取り組まず、一つの組織(コネクティッドソリューションズ社)だけで走ったことです。一つのモデルを作り上げそこを手本に全社に広げていこうという手法です。大企業では特に人数が多いため変わろうと思っても体が大きすぎて変わることが難しいという性質が否定できません。まず成功例を作り出しそこから広げていくというのも、大企業における成功変革パターンと言えると思います。

もし、トヨタが人事制度をいくら変えてもなかなか結果が出ないのであれば、パナソニックの例を研究するのは良いのではないでしょうか。「社長が変わりたいと言っているのに、変わらない人」をあぶりだして悪者にするやり方以外にも方法はあるはずです。

 

変わらなければいけない大企業

私自身は中小企業で働くことが好きで、大企業が変われるかというのは第三者的な興味しかないのですが実際に、仕事で大企業の仕事ぶりを見ると変わるのは大変だろうと言う感想があります。

過去、大企業と打ち合わせをしたとき、私は一人だったのですが相手の会社は5人以上引き連れて打ち合わせに来ました・・と言う体験が十回以上あります。何をそんなにたくさん人がいるのか聞いてみたら、営業担当・ネットワーク担当・アウトソーシングする会社の人・子会社の人・・等々、たくさんの役割分担があることが多いです。

中小企業たるもの、何でもかんでも一人でやらされるので何でもおぼえてしまったのですが、おぼえてしまうと調整しなくて全部一人で判断できるので楽だなあ・・と。

大人数で働くことに最適化したときに、それがうまく回ればもちろん中小企業より生産性が高いのですが、一度うまくいかなくなると「変わらなければいけない」。そこからの挑戦は中小企業より大変なのだろうと推察します。

変わらなければいけない大企業、トヨタに限らずどの大企業も同じような立場にあると思いますので、成功事例を見かけたらまた考えてみたいと思います。