orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

中国にはこんなITエンジニアが実在するのか?

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おかしい記事

何か、非ITの人の偏見が凝縮されているような記事のような気がして、取り上げてみます。

 

japan.zdnet.com

中国のミニブログ「微博(Weibo)」で、36歳になるデータベース管理者が投稿した悲痛な書き込みが、多くのITエンジニアの間で共感された。今回の記事は、変化の激しい中国ITに携わって直面した問題をつづったこの文章を紹介したい。

 

10回くらい読み直してみたけれど、いろいろと言いたい点があります。

 

つっこみ

ポイント1 中国IT業界の急激な変革?

まるで中国のIT業界が急激に変革をしているように見受けられるけれども、オンプレミスのクラウド化なんて一周遅れの世界だと思います。急激でもなんでもなく、正当に進化しているだけかと。アメリカや日本では、AWSやAzureが中心なのかもしれませんが、それが中国では中華クラウドに置き換わっただけの話です。

ただただ、現存システムをクラウド化したぐらいでは「リフト」であり「シフト」ではない。

 

www.atmarkit.co.jp

リフト&シフトという言葉は、当初は「オンプレミスからアプリケーションをリフトして、クラウドにシフトする」といった意味合いで理解されていましたが、最近は「クラウドにリフトして、クラウドネイティブな仕組みにシフトする」という意味に解釈されています。前者の意味合いでは「単純にクラウド上に移すだけ」ですから、運用コストはそれほど変わりませんし、その先の「新しいこと」にもつながりません。クラウドに移したことで目的を果たし、そこで取り組みが終わってしまうのです。

 

リフトだけしてシフトはしないのなら、変革という言葉は言い過ぎだと思います。

 

ポイント2 プログラマーとDBAの関係

日本ではDBAはプログラマーではありませんね。インフラエンジニア寄りですがプログラマーと密接な関係があります。はたから見ているとプログラマーに見えるのかもしれないですね。

 

ポイント3 クラウド化するからDBAの仕事は無くなるのか

そもそもですがオンプレミスのデータベースソフトウェアですら、過去データベースの統計情報更新・圧縮・ストレージ管理、パッチ適用のような重要な部分を自動化する流れにあります。本文にあったORACLE Databaseも、Autonomous Databaseと銘打ち自動化の実装に躍起です。

 

japan.zdnet.com

Autonomous Databaseの製品群の拡大と、既存顧客の同データベースへの移行。セキュリティやアップデート、管理、パッチ適用の自動化による利点は明白だ。ただ、企業がAutonomous Databaseを試験的な使用から、本番環境での使用に踏み切るかどうかは明白ではない。また、Oracle製品の普及にはデータベース管理者の力が大きかったわけだが、現在の同社は作業の自動化に向けて進んでいるという点も不確定要素だ。

 

データベース管理者(DBA)だから食い扶持が維持される、というのは甘いも甘い、ダサい考え方なのではないでしょうか。データベース管理に最も詳しいからこそその将来をいち早く察し、新しい職域を開拓する時間が今まであったのに何をしていたのかと私はかなり批判的です。

 

ポイント4  1995年生まれの若い人たちと一緒に競争して、まだ私が勝てる見込みはあるというのか

知らんがな。

1995年生まれの若い人たちが勝てる見込みもないのだから。

むしろこれまで一生懸命仕事をしてきたのであれば、それまでの経験を活かして次の職域を開拓すれば、若い人たちにダブルスコアで勝てるはず。

もし勝てないと思うのであれば、そのクラウド化ごときで無くなる技術にそこまで価値が無かったということにほかなりません。

もしデータベースを突き詰めたいのであれば、パブリッククラウドでマネージドデータベースを実装している企業に転職するのも良いと思いますが、まるで夢物語のように書いてあります。

それじゃ、戦う前から負けていますよね。

 

ポイント5 クラウド化してもDBAの仕事はある

データベースがオンプレにあろうとクラウドにあろうと、データは存在するのですから管理は必要です。どういう置き方をしどう活用するか。クラウド化して煩雑な運用作業が無くなったとすれば、その分データの活用の観点からクラウドを活用する方向に舵を切らなければクラウドを使う利点は活かせません。

クラウドサービスとデータの距離が近いのであれば、クラウドのさまざまなSaaSやPaaSのサービスを活用して新しい分野を切り開くのが吉です。

仕事を奪われれる・・って・・。どこまで後ろ向きなのか。

 

技術者としての心構え

特にクラウド全般に普段から触れているので思うのですが、まだまだクラウドを過大に敵視したり、過小に性能を見積もったりと、越えなければいけない壁があることが多いです。クラウドとオンプレミスは対義語でもなんでもなく、一つの地面の上にありますから冷静に便利に使う頭でいてほしいものです。

世の中が変わっているのにそれを自分の生活を例えに出して脅かされるなんて、技術者としては幼稚も幼稚。両方のいいところを引き出して顧客や自社に価値を与えてこそ、立派な生活も保障されると言うものです。

 

まあ、元記事自体も「釣り」なのかもしれませんが、たまには盛大に釣られてもいいかなということで。