AI前提のSIが広がる
旧来のSIにしがみついている人たち(多少私も)は戦々恐々としているかもしれません。AIを基本としたSIが製品やサービスとして具体的に市場を侵食しつつあります。
特に2019年下半期に入って、かなりバラエティーに富んだサービスが出始めているためここで個別のニュースをまとめ、全体像を把握してみます。
事例
予備校の課題作成自動化
こう話すのは、大手予備校の駿台予備学校などを展開する学校法人、駿河台学園(東京・千代田)の山畔清明専務理事。駿河台学園は9月4日までに、AI教材を得意とするスタートアップ企業のatama plus(アタマプラス、東京・中央)と、AI学習教材を共同展開することに合意したと発表した。
保険営業最適化
人工知能(AI)開発のグルーヴノーツ(福岡市)は、JCBの生命保険販売や損害保険の加入案内業務をAIを使って効率化する。JCBがクレジットカード会員向けに電話で保険商品を販売する際、カードの利用履歴などから加入する確率が高い顧客をAIが絞り込み、最適なタイミングで電話をかける仕組み。量子力学を応用した「量子コンピューター」の活用も検討する。
加工手順の自動作成
ヤマザキマザックは4日、人工知能(AI)を搭載した工作機械「インテグレックスi-Hシリーズ」を開発したと発表した。複雑な加工ができる複合加工機にAIを搭載。過去の加工データを学習しながら、短時間で最適な手順を自動で作成できるようにした。月100台の販売をめざす。
応募・面談設定の自動化
求人サイト運営のディップは人工知能(AI)部門の営業利益で2024年2月期に150億円程度をめざす。同事業は人材派遣会社向けに採用に関わる応募や面談の設定業務を自動化するサービスで、今期から始めた。売上高は450億円を見込む。「バイトル」など求人サイト事業に偏った収益構造から脱却する。
AI教員
人工知能(AI)に精通した人材の不足が深刻になる中、企業がAIを教える教員の育成や授業の支援に乗り出す。米データロボットは今夏から、膨大なデータを解析してビジネスに役立てるノウハウを大学などに提供し、専門外の教員でも教えられるように訓練する。教員不足の解決には時間がかかるが、AIを産業に応用できる人材の裾野を広げる狙いだ。
体質改善
キユーピーは2022年にも、食生活を改善してがんの予防につなげるヘルスケアサービスを始める。血液検査のデータを基にがんの発症リスクを人工知能(AI)で判定。結果に応じて体質改善につながる食品やサプリメントを提案する。国内の食品市場は人口減で成長を見込みにくいことから、医療・健康分野を新たな収益の柱に育てる。
製鉄所のトラブル防止
JFEスチールは4日までに、西日本製鉄所の福山地区(広島県福山市)、倉敷地区(岡山県倉敷市)の一部設備を報道関係者に公開した。同製鉄所は2018年度に高炉のトラブルが相次ぎ、減産が長期化した。再発防止に向け、東日本製鉄所を含む全ての製鉄所の高炉で人工知能(AI)を使った操業の管理や設備の診断を進めていく。
カツオ一本釣り
水産会社の浅野水産(宮崎県日南市)はカツオ一本釣りでAI(人工知能)を活用した漁場選定システムの開発に乗り出した。2022年に実用化する計画。漁獲量の減少傾向が続くなか、AIによる効率化で小型漁船でも採算が取れるようにする。漁場までの効率的な操船、燃料コストの削減のほか、省人化も進める考えで、「水揚げ量は減っても利益は維持できる」(浅野龍昇経営企画マネージャー)とみている。
宿泊需要予測
楽天は19日、東南アジアの格安ホテル運営会社、レッドドアーズ(シンガポール)に出資した。他の投資家と合わせて7千万ドル(約75億円)を投じた。レッドドアーズが同日発表した。同社は人工知能(AI)を使って宿泊需要を予測し、料金を変動させて稼働率を高める技術を持つ。楽天は投資リターンを見込むと同時に、最先端の需要予測技術などをグループに蓄積する狙いがありそうだ。
ペットの体調管理
最新技術を取り入れてペットの体調管理に気を配る人が増えている。人工知能(AI)などを生かしてネコの体調をモニターできる仕組みや、活動量計で長期の健康管理ができるサービスが広がっている。人と同じくペットの寿命も延びており、生活習慣病などに注意していつまでも元気で過ごさせたいという飼い主の心をつかんでいる。
広告の自動分類
インターネット広告大手のオプトは人工知能(AI)を使った新しい広告運用の仕組みを開発した。広告のデザインに含まれる商品の写り方やキャッチコピーなどをAIでカテゴリーに分類。広告配信の結果と照らし合わせ、効果の高いカテゴリーの広告の採用につなげる。AI導入で分類にかかる手間を減らし、広告効果の分析に時間を充てられる。
住宅ローンの選択
多くの人にとって戸建て住宅や分譲マンションは「生涯最大の買い物」だが、購入までの過程は意外にアナログだ。郵便ポストに入ったチラシで物件を見比べ、金融機関に足を運んで住宅ローンを組む。そんな手順をスタートアップ企業の「不動産テック」が一新しようとしている。武器は人工知能(AI)やビッグデータ分析だ。
渋滞予測
NTTデータは人工知能(AI)を活用して渋滞を予測する技術を開発した。アプリ開発のエムティーアイのアプリ「乗換MAPナビ」で実証実験として、8日から高速道路の渋滞予測機能を無料で利用できるようにした。事故や車線規制などの状況を5分おきに反映し、30分後、1時間後の渋滞を詳細に予測する。2020年度をメドに、一般道路まで予測範囲を広げる計画だ。
まだバズワードだが
過去を振り返ると、クラウドが話題となった時に何でもかんでも〇〇クラウドという言葉が流行した時期もありました。いわゆるバズワードで、マーケティング的にAIという言葉を当てはめただけで、中身はAIを使っていないなんていう事例も残念ながら含まれているケースもあると思います。
ソフトバンク系企業も投資したインドのスタートアップEngineer.aiが「AI技術」を誇張して資金を募っていたと米Wall Street Journal誌により報道されています。
いわゆるお金を引っ張ってくる手段としてのバズワード。しかし全てがそうだと決めるのも逆に問題で、中にはきちんとAIを使っている技術もあります。
クラウドもそうですが、最終的にはきちんとしたものだけが残っていきます。今後たくさん出てくるAI関連のサービスについて、競争は始まったばかりです。IT業界の目玉になるのは間違いないですから、ITエンジニアとしては動きに気を払い、実装に携われるようにしたいものです。まがい物、に気を付けながら。