orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

成長しないIT業界での身の置き方

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成長前提だったIT業界

先日書いたIT業界成長に陰りという記事を書いた後いろいろと思うところがありました。そもそも2000年あたりにITバブルという出来事があって、第三次産業革命なんて言葉も生まれ浮かれていた時期がスタート地点だったように思います。そこで株価も含めて幻滅期、具体的に言えばたくさんの大型プロジェクトがデスマーチ化し、社会的にもブラック企業がIT業界にはびこる。裁判沙汰もたくさん発生し、ITなんて蓋を開けてみれば即効性はないよね、というところから地道に階段を上り、ある程度はあのころ言っていたことは実現できていると思います。仮想化からはじまって、クラウド、ビッグデータ、4GLTEや光通信、海底ケーブルなどインフラの充実、スマートフォンなどのモバイルの進化。SSDなどの入出力高速化。ITバブルの時は一度がっかりしたかもしれませんが、今、間違いなく未来にいると実感します。このインフラがあってこそ、IoTやAIなどの新しい分野も生まれ始めています。

少なくともここまでは成長前提でこの業界は進んできたと思います。

 

成長が止まる

成長しないということは衰退するということでもありません。古いものは置き換えていかないと壊れてしまいます。古い考え方のものは新しくしないと競合に敗れてしまいます。たくさん作ったものを面倒をみること(保守・運用)と、新しくすること(リプレース)は今後この業界を下支えしていくことでしょう。ただし大事なことは、このストーリーにおいては限られたお金の動きの中で誰がシェアを取るかに過ぎない、ということに尽きます。

もし自分の会社が成長したなら、どこかの会社が衰退したということです。これまではこの考え方をしなくても業界全体が成長していたのでIT業界にいれば、どんなポジションにいても自分の待遇を成長させることが可能でした。成長する市場にいるということは、ある会社が成長するとき、他の会社も成長する可能性があるということです。したがって「どの会社にいる」ということのリスクが最小化されるというのが成長市場の魅力であったと思います。

ところが市場が成熟し成長しないとします。そうすると市場の中でシェアの奪い合いが起こります。ITエンジニアが身を置く会社はこうなったときには慎重に選ばないといけません。衰退する会社にいたらどうなるか。いくら技術力が向上したとしてもそれに見合った報酬が頂けないことになります。転職すればいいやと思うかもしれません。しかし、成熟市場となった場合には話が変わります。優位に立ったプレーヤーに気軽に参加できると思ったら大間違いです。優位であるプレーヤーが考えることは一つです。陳腐化した技術に固執し新しい技術に手を出さない社員を放出し、新しい技術を持つ人を向かい入れるということです。これまでの成長市場スタイルではとりあえず人を入れとけというような採用スタイルが通用したかもしれませんが、成熟市場においては条件が厳しくなります。そもそも、技術革新すらおきないならば人の入れ替えすら不要だからです。

このように、IT業界における採用や就職のスタイルも、市場の変容で大きく変わらざるを得ないと考えています。

 

会社業績に興味を持たない人は大変になる

技術者、と呼ばれる人を中心に、会社の業績に無頓着な人がいます。自分がどんな契約で他社と契約して仕事をしているか。どんなお金の流れをし自分の組織がどんな業績なのか。ビジネスモデルはどうなっているのか。会社として業界の地位はどうなのか。IT業界のトレンドを追いかけているか、それに対して投資をしているか。

もはや経営者の領域かと思うかもしれませんが、自分の会社をそういう目で見ないと未来の自分の待遇を無責任に他者に委ねることになってしまいます。IT業界にいれば業界が成長しているから自分の会社も成長するだろうし、自分の待遇も自然と良くなる。それは甘いも甘い、成長市場スタイルが崩れた今、奪われる方に属したら何も得ることができなくなります。

売上が下がっていく組織にいると、これまであった仕事が無くなったり、変化のない仕事にアサインされて数年間を刺激なく過ごすことになります。そうなったときにハッと気づいた時間は返ってきません。

逆に、このような市場環境にもかかわらず、売上や利益が好成績である企業に属しているならば新しい機会に恵まれる仕事に携わることができる可能性は高いでしょう。ただ安心して向上しないで、自分の業務エリアを作ってそこから出ないような仕事ばかりしていると、そのエリアが陳腐化したときに真っ先にリストラ対象になるというのは言うまでもありません。

 

成長前提だったIT業界が変わるシグナル、今はイエローランプぐらいで、ここから盛り返す可能性が否定されたわけではありません。ただし、もしそうなった場合でも生き抜いていけるように、自分の環境がどうなっているのかをシビアに観察し、目先の技術だけしか見えないような技術者にならないようにしなくてはいけません。