orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

インターネットと自由

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インターネットは自由か

「インターネットと自由」なんて青臭いタイトルはちょっと恥ずかしいなと思いつつも、どんどん息が詰まるような気がして記事を書いておきたいなと思います。

発端はこの記事です。

 

tech.nikkeibp.co.jp

米グーグルがHTTPS(TLS)に対応したWebサイトに使われるサーバー証明書の有効期間を現行の最長825日(2年3カ月)から397日(13カ月)に短縮するよう業界ルールの改定を提案し、議論を呼んでいる。早ければ2020年4月以降に更新する証明書から適用を求める内容だ。

 

HTTPSの意味の変遷

HTTP通信はもともと平文(暗号化しない)でやり取りされるものでしたが、かなりGoogleが全ての通信のHTTPS化を強力に進めたもので、ほとんどがHTTPS化(つまり暗号化)されることとなりました。

一方で、昔はサーバー証明書なんて年間ン万円もしたもので、それでは通信の完全暗号化がまかりならんということで、Lets Encryptのような無料のサーバー証明書が現れ、そこから証明書の価格破壊がおきて今や、サーバー証明書ビジネスは随分市場縮小してしまったものと思います。

そもそもドメインさえ持っていれば無料でほぼ無人の手続きで証明書が手に入る時代となり、またドメインの入手もクレジットカードさえあれば簡単に入手できることから、HTTPS通信だからと言って、「安全!」みたいな話ってちゃんちゃらおかしいよね、ということでGoogleは、HTTPS通信のブラウザ表現を最近改めています。保護されていますという文字を無くしたり、緑だったアイコンを灰色に変えています。将来は鍵マークすら無くしたいとか。

そもそも詐欺師がドメインを入手し、Lets Encryptなどで証明書を入手したとしても、HTTPSだから安全ですなんてことができてしまうということです。

 

www.nikkei.com

個人情報を入力するウェブサイトでは、ウェブブラウザーに鍵マーク(錠マーク)が表示されているのを確認する――。セキュリティーのセオリーとして、筆者も記事に書いてきた。だが、「鍵マークが表示されていれば安全」という、ウェブアクセスを暗号化する「HTTPS」の神話は崩壊した。常識が変わったのだ。

 

世の中の道を歩いたとしても全く安全ではないのと同じように、インターネットも危険にあふれています。どんな人がいるかわかりませんし安心するのは慎重に、というのは別にインターネットに限った話ではありません。

どんなに安全にする仕組みを作ったところで、いつかその仕組みを凌駕するようなずる賢い方法が出てくるかはわからないのも同じ。ですからいろんな規制の仕組みが働いたり監視されたり、インターネット界で発言力のある企業が方針を唱え、今までの標準を変えて行ったり。インターネットが普及して20年ほど経ちますが、私が知ってたインターネットとは全く違う姿になりつつあります。

 

インターネットの良かった点

もともとインターネットの思想自体は、自由がくっついてきました。だって、地球のどこにいたって誰でも情報が入手できるメディアなんてこれまで無かったのですから。そのおかげでどんどんグローバル化が進みました。なぜなら、地球のいろんな場所の情報が初めはテキストの情報だけだったのですが、だんだん画像が当たり前になり、それが高精細になり、はたまた映像でも見られるようになりました。

単に情報の渦だったインターネットを、検索エンジンが整理された世界に変え、インターネット上のデータは増え続けそのデータの持ち主であったり、そこにアクセスさせる力を持つプラットフォーム企業がそれこそグローバルレベルで成長していったのをリアルタイムに見られた今の四十代は歴史の証人なのかもしれません。

なぜグローバル化が進んだかって、まだ経済発展していない国の国民が、キラキラした先進国の景色や生活を覗き見られるのです。ああこの国はまだ時代遅れだと。じゃあどうすれば追いつけるんだ。たくさんの人々がああなりたい、と思う気持ちを束ねた結果、たくさんの国々が先進国の優れた技術をふんだんに取り入れ、発展しました。

日本が、もう世界の後進国だ、なんて言われるのは別に努力を怠ったわけではないと思います。発展途上国なんて言われていた国々は、まだ未開発だった場所に最新のテクノロジーでインフラや建物を作ったものだから、むしろ古いインフラの残る日本よりも優れて見えるようになってしまったということだと思います。中国の都市部の映像などみるとむしろ東京よりもド派手ですし、何もないところに作る分いきなりAIやら自動運転やら、やりたい放題になっています。

この発展に向かうエネルギーを創出した、という時点でグローバルにしろインターネットにしろ、これからの生活が良くなっていくというポジティブなイメージを含み、自由とセットとなる代物だったと、これまでは思います。

 

不自由

このグローバル化に今、ブレーキがかかってますよね。

かけたのはアメリカです。

アメリカがグローバル化を促進したのに、アメリカがブレーキをかけるわけです。

じゃあインターネットも、そりゃあ自由の場じゃなくなるのは当然です。

世界中を等しくつなぐインターネットなんて、実は理想ばかりで現実は世の中と同じです。国境には壁が作られるでしょう。サイバー戦争だって現実のもの。監視もはじまっていますし、仲の悪い国同士はブロックしあうようにもなるのでしょう。

 

news.nicovideo.jp

・国際NGO団体フリーダムハウスの調査により、8年連続で「インターネットの自由」が減少していることが報告される
・それは、いかにネットの世界に対する「政府」の介入が大きくなってきたのかを示している
・政府はネットの規制を正当化する口実として「フェイクニュースへの対応」を挙げるが、政府自身がフェイクニュースを故意的に報道するような国家もある
最近日本でも、海賊版サイトのブロッキングについて賛否両論が巻き起こったのは記憶に新しいかとい思います。

 

こんな記事を見つけました。

アメリカが覇権を握っている間は、グローバル化は世界市場にアクセスできるために好都合でした。そのインフラがインターネットであり具現化したものがGAFAもしくはGAFAMでした。それが、中国が台頭してきてしまった。中国版グローバルを輸出できるほど彼らが強くなり過ぎた。じゃあ、グローバルなんてものはそもそも敵を利するだけであり、そもそも12億の人口を持つ国が知恵をつけたら分が悪い。

インターネットもグローバルも自由も、大変な急ブレーキをかけているのが今だと認識しています。

多分、日本人はまだまだ「インターネットは自由なスペース!」なんて思っていると思いますがどんどん今から変わっていきますよ。

まだ米中でガチャガチャやっているだけなら、日本は観客席に座っていればいいのですが、だんだんとインターネットの自由の分野まで侵食して来るはずです。冒頭のHTTPS証明書のように、アメリカ主導でどんどんインターネットのルールが変わっていくはず、と予言しておきます。