orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

IT業界成長に陰り

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IT業界に陰り?

IT業界の成長に陰りが見られているそうです。これは新しい切り口です。

 

tech.nikkeibp.co.jp

 世界の企業向けIT大手16社の2019年度第2四半期(4~6月期)業績がまとまった。データセンター、ソフトウエア、サービス、パブリッククラウドの4事業を合計した売上高は1208億8200万ドル(12兆7772億円)。前年同期を5.7%上回った。営業利益は7.0%増の合計241億8000万ドル(2兆5558億円)、平均の利益率は19.5%だ。

 売り上げ5.7%増は直近8四半期の中で最低の伸び率。前1~3月期から2.2ポイント、1年前の4~6月期からは7.0ポイントも伸び率を減らした。世界のIT機器生産を担いIT景気を占う指標とされる台湾の主要19社の7月単月の売上高は前年同月に比べ横ばいだった。6月までは4カ月連続増収であったから様相が一変しつつある。

 

考察

今やIT業界と言えば、AIやIoT、クラウド、5Gなど日経新聞でも記事を見ない日はないくらいの注目を浴びていて非常に人気のある分野となりました。十年以上前は特にブラック企業問題が脚光を浴びて、デスマーチやら過労問題やらでものすごく不人気だったときもありましたが。それだけIT業界自身も成長して大人になり、不法な働かせ方もしにくくなったし、偽装請負や多重商流もやりにくい状況になったと思います。昔はダメであることすら知らない人ばかりだったので、搾取する側される側、に分かれたものですが。今は厚生労働省も含めて労使ともにフェアに働かせることを社会に根付かせようとしています。とてもいいことなんですが、厚生労働省の職員自体が過労に悩んでいるようで少し心配です。

 

www.itmedia.co.jp

 「厚労省は人生の墓場」「残業することが美学という認識がある」――。「働き方改革」の本丸とも言える厚生労働省で8月26日、若手を中心にまとめた、改革を要望する提言が発表された。

 若手職員らで構成される厚労省改革若手チームが「緊急提言」として、「厚生労働省を変えるために、すべての職員で実現させること」というスライドを公開。全55ページの中には、民間企業でも課題に挙げられるような「職場の問題」が、厚労省でもまん延している現状が示された。元号が令和に変わり、間もなく4カ月。新しい時代に沿った働き方が模索されている中で、そのトップランナーであるべき厚労省の「周回遅れ」な実態が浮き彫りになった形だ。

 

本来は職場の見本となるべき厚生労働省内のオフィスが、実は昭和のままであるというのは困ったものと言うか皮肉なことというか。いくら国民に旗を振っても、旗振り役がそんなんでついてこないよね、と言われないように本当に頑張って欲しいです。

さて、少し脱線しましたが、じゃあ成長軌道にあったはずのIT業界が実は成長が止まってきているのでは。そんなことを考えている人は皆無でしょう。ただ数字が出た以上は向き合わなければいけないと思います。何が起こっているのか。

マクロの観点で言えば米中貿易戦争の幕開けが2019年前半のトピックでした。ただし関税競争は後半の方が顕在化しそうなのでこれはまだ当てはまらないのかなと。中国企業が躍進して大手の売上を奪っていったという見方もあるのですが、これもまだ数字的にはそこまで大きくはありません。もちろん中国企業がこのまま成長していけば米国企業の脅威になったのは間違いないので、アメリカが手を打っているというところです。

あまりマクロで見るよりも、私の周辺、ミクロで見た方が何となく実感が沸くことがあるのです。

結局は世の中、リプレース案件ばかりなのです。

新しく何かを作るという発想がほとんどない。既存システムをリプレースしているだけで人材がほとんど吸い取られている感が強いのです。

こちら、先ほど読んだ記事です。

 

tech.nikkeibp.co.jp

不動産大手の三井不動産がおよそ10年ぶりに基幹系システムを刷新した。アドオンだらけのOracle EBSをアドオン無しのSAP S/4に切り替えた。利用部門20人とプロセス改革にも取り組み、年約6万時間の業務を減らした。

 

私は有料登録しているので全部読めるので、この後の内容の話を踏まえての感想ですが、旧システム更新と、新システム乗り換えの金額が同じ。だから乗り換えたとありました。

IT業界が「成長していない」っていうことと、上記の具体的なリプレースの経緯にピンと来るのです。結局は同じだけのお金が廻っているだけで、成長とは違うのではないかと。

データセンタービジネスは世界で3.5%マイナスだった、クラウドは29.8%プラス成長したと先ほどの記事にありました。一方でサービスやソフトウェアはほどんど成長していない。これって、結局はオンプレミスのデータセンタービジネスをクラウドにリプレースしていて、その中のソフトウェアで動く金額は変わっていないということですよね。

ソフトウェア自体の変更は上記三井不動産の例の通りあるでしょうが、動くお金は変わっていない。

ここ最近は、クラウドでしかできないインターネットビジネスを推進することで成長軌道に乗っていると考えるのが普通だと思ったのですが、ふと気づいてみるとリプレース(もしくは運用)しか我々していないんじゃないか。

成長しているとしたって、それは誰かの古くさいシステムを奪っているだけなんじゃないか。

そういう気持ちになることが度々あって、この「IT業界成長に陰り」がピッタリ来たので記事としました。

 

新しさがない

本当に新しい、成長の基軸になるようなプロダクトというのは、今までの何かを置き換えるというよりは、新しい体験と感動を包んでいるものだと思います。

ガラケーをスマートフォンが置き換えましたけれど、これは置き換えたというよりスマートフォンが創出する新しい市場の方が大きかったと思います。

インターネットはパソコン通信を置き換えたんですが、パソコン通信なんて、昔はつなぐと1分20円取られましたよNifty Serve。電話代とは別に!。ダイヤルQ2とかもあったなあと。

成長するときと言うのは、新しさが重要であり、置き換えるだけだと成長とは言わないのです。今起きているのはリプレースなのかなと。

モノリシックがマイクロサービスへ・・と言って、誰しも飛びついている状況ではない。

オンプレミスからクラウドへ・・、これは単に基盤がどこにあるかだけでシステム自体が変わるわけではない。

人の作業がRPAへ・・、これは成長ではなく原価削減の話でしかない。

ということで、今、思いつくところで言えば5Gの話ぐらいしかないのですが、5G自体が消費者の手元に来るのはまだまだ先。それに最適化したITが出るのはもっともっと先。

私もIT業界の一員として諦めたわけではなく、危機感を持って新しい何かに挑戦していきたいと思います。

ヒット商品は業界も社会も明るくしますからね。