orangeitems’s diary

クラウドで働くインフラエンジニアの日々の感想です(ほぼ毎日更新)。



「富士通、ITコンサルタント集団設立」に思うこれからのITエンジニア像

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富士通が新会社

富士通が新しい動きです。

 

jp.reuters.com

[東京 8日 ロイター] - 富士通<6702.T>は、今年度下期中にITサービスのコンサルティングを手掛ける子会社を設立する。時田隆仁社長が8日、ラウンドテーブルで明らかにした。
当初は500人規模のコンサル集団としてスタートし、2022年度にはコンサル要員を2000人規模に拡大させる予定。同年度には年間で3000億円規模の売り上げを目指すという。

 

ちょうど今日、ITコンサルタントについての記事を読んだばかりですので興味を持ちました。

 

tech.nikkeibp.co.jp

思うところがあって、ITエンジニアの人生を変えるかもしれない非常に重要なことについて今回は書いておこうと思います。

 

この記事は、ITコンサルタントとはどんな仕事なのかが詳しく書かれています。富士通はこの分野で新会社を作り挑戦するということになります。

 

考察

単純に言って、年収1500万円と聞くとすごいなあと思います。

だったら、IT業界全員ITコンサルタントになれば幸せになりますよね。しかしそんな甘い世界じゃない。伊本氏の記事の通り、顧客から指示を受けるコンサルタントでなければ社内失業のような状態となってしまうそうです。

なんだか芸人に近いですよね。仕事があるか、人気があるかで給与が決まっていく。芸人は個人事業主だと思いますがそれに近い仕事の仕方をするのがITコンサルタントです。

また、フリーランスなどの技術者が案件ベースなのに比べ、ITコンサルタントは経営課題の解決や売上/利益への貢献が命題です。実装するのが仕事ではなく何を実装すれば経営課題が解決されるか、その武器がITとなります。狭い分野の技術ではおそらく太刀打ちできず、先端技術からインフラ基盤、プロジェクトマネジメントやベンダーコントロールまで幅広い知識が必要なのでしょう。顧客、特に経営側の思考で、キャッシュを使ってどのようにIT投資していくか。ビジョン作りから要求仕様、ベンダーとの打ち合わせまで携わります。成功すれば企業は大きな利益を手にするわけですから、顧客側の期待度が高いのも当然かと思います。

このような状況で、本当にITコンサルタントとして長期的に成功する人の人数がどれぐらいいるかと言えば、それは限られると思います。もともとITコンサルタントが入り込めるくらいの規模の会社の数は限られています。中小あまねくコンサルが入ることができたらいいのですが、コストが見合わないと思います。芸人と同じように一部のスターコンサルが業界を牛耳るのでしょう。退職率も高いというのもよくわかります。

一方で、伊本氏の言うように、IoTやAIの登場で旧来のシステム構築が減少し、内製化が進みIT企業が危機に陥るか。この見方は極端だと思います。ユーザー企業の内製化がうまく行くかというと残念ながら良く機能しているところを見たことがありません。

なぜ日本企業で内製化がうまくいかないかというと、IT部門の力が非常に弱いということがあります。「情シス」という言葉から連想されるように、社内のパソコンやLAN、ファイルサーバーや基幹システムのお守りであり、コストとみられがちです。総務や経理・人事などの間接部門の一部として扱われているケースが多いのです。基本的に稼いでる事業部門の声の方が大きく、事業部門がデジタルビジネスを行うときには情シス部門に声をかけるのではなく、外部のベンダーに委託することとなります。情シスにノウハウはありませんから、実績のある外部ベンダーに委託した方が安全であり、かつ問題があれば競合のベンダーに振り替えることができます。こうやって、日本においては内製化が構造的にうまく行かない土壌があります。

一方で、経営者が戦略的にどこかのIT企業を買い取って情報システム子会社を作り、内製化を進める場合もあります。この構成も問題があります。親会社の仕事が確実に子会社に降りてくるので、技術者たちが競争にさらされなくなり保守的になるのです。もちろん親会社からの受注だけでは成長できないことに気が付き、他社の仕事を請け営業努力をする企業も存在しています。

内製化で最も怖いのは、主力メンバーが転職などで抜けたときに、どう品質を保つのかという点です。アウトソースしていれば会社を切り替えれば済むのですが、内製化だと外からスキルの高い人をリクルートしてこないといけませんが、そんなに簡単に人材が見当たらないのが現状です。もしくは法外に高い待遇でヘッドハンティングしてくるしかないでしょうが、そうするとやたらコストばかりかかるということになりかねません。

内製化が日本ではうまく進まない土壌が整ってしまっている一方で、企業は自社のビジネスに特化したデジタルサービスを提案してくれる企業を待ち望んでいます。したがって今回の富士通の動きのように、コンサルの立場を増やしユーザーの経営サイドに切り込み案件化をねらうのは正しい戦略だと私は思います。一方で、正しい成果を残せないのであれば冒頭のとおり「社内失業」状態となる厳しい世界がITコンサルです。会社のブランド価値まで棄損してしまうのですから、コンサル集団を作ってから数年が、富士通が顧客にITを通じて本当に儲けさせられるのか、問われる大事な時間となると思います。

 

ITエンジニアもコンサル的思考が大切になる

年収1500万、とは言いませんがこれからのITエンジニアもコンサル的思考は大事になります。もちろんユーザーの経営層と会話することは少ないとは思いますが、課長レベルであっても、AIやIoTを利用したデータを基にしたITシステムへ取り組み結果を出していくことが求められて生きます。それに対して、ITエンジニアが会話ができるようになりどのような実装をすればいいのか答えられるようにならなければいけない時期が近付いているように思います。また、自社サービスがAIやIoTに無頓着であるとすれば、競合他社が実装しシェアを奪われるというリスクもあり得るでしょう。

AIやIoTを活用したビジネスというのは、ユーザー思考がないと成り立ちません。それはユーザーのデータが源泉であるために、どうしても業務知識が必要になるためです。ITコンサルタントに必要な能力の話を聞いて、それは今後ITエンジニアレベルでも必要になることだな、と思いました。