orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

社会人は燃え尽き症候群に警戒を 働き方改革の裏にあるリスク

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こんな症状に心当たりがある?

あなたがこんな症状を自覚しているのであれば、「燃え尽き症候群」なのかもしれません。

 

・このところ会社に行くのがつらい。早く帰りたい。

・どうも自分の仕事の効率が非常に悪い気がして集中できない。

・周りが許せない。ついつい怒ってしまう。

・何か体調がすっきりしない。職場にいると頭痛・吐き気・めまいなどが慢性的に起こる。風邪っぽいが、治りが悪い。

・疲れているのに夜眠れない。だから昼間の仕事が集中できない。

・休みなのに何もやる気がしない。そして月曜日が憂鬱だ。

 

 もちろん、全て当てはまるようでしたら上司に相談し、早めに会社の産業医に相談するなど専門家の指示を受けた方が良いと思います。

ただ、一時的なものかもしれないと思ってスルーしたり、時間とともに消失するだろうと放置してしまう人もいると思います。しかし、上記の症状は「燃え尽き症候群」と言って、アメリカでは社会問題化しているそうです。

 

アメリカの事例

アメリカで、急増しているという記事が報告されています。

記事を読んでいると、これは日本でも現在進行形で同様の状況になるのではないかと私は危惧しています。対岸の火事ではありません。

 

digiday.jp

エージェンシーの多くは、燃え尽き症候群を報告する若い従業員たちの増加を目の当たりにしている。

彼らは顧客にいつも満足してもらえるようにペースの速い労働環境、長い勤務時間、厳しい予算、そして過酷な期限に直面しており、燃え尽き症候群は買い手市場から生まれる症状であると考える人がいる。また、若い従業員、特にミレニアル世代は、仕事モードからの切り替えまたは、仕事と生活の境界を設定する方法を知らないから燃え尽きてしまうのだろうと信じている人もいる。燃え尽き症候群がどのように表れるか、そして従業員たちがどのようにそれを報告しているのかは、エージェンシー、そして従業員によって異なる。

 

globe.asahi.com

この記事はアメリカで最近、widespread(広がってきた)ailment(病気)のburnout(燃え尽き症候群)をテーマに取り上げている。

燃え尽き症候群とは、chronic stress(慢性のストレス)からくるもので、主な症状はemotional exhaustion(情緒的疲労感)やcynicism(嘲笑)、feeling ineffective(自分が情けなく感じられること)が挙げられる。頻繁に風邪をひいたり、不眠症や過剰なアルコール摂取、オンラインショッピングのしすぎといった不健康な行動でストレスを解消しようとしたりすることも、燃え尽き症候群のサインに含まれるそうだ。

そんな燃え尽き症候群が最近、アメリカでgoing around(広まっている)という。ハーバード大学などの最近の調査によると、医者たちの燃え尽き症候群は医療ミスにもつながり、公衆衛生に多大な危機を及ぼしていると言う。一般企業ではretention(従業員の定着)を妨げる原因にもなっているそうだ。「スーパーママ」を目指すお母さんたちがrun themselves into the ground(へとへとになるまで活動した)結果、燃え尽きてしまうケースも少なくないと言う。

 

jp.reuters.com

最近公表されたギャラップの世論調査によると、全体の23%は頻繁もしくは常にバーンアウトしており、44%は時折そう感じるという。この症状はまん延しているのだ。
クリーブランド・クリニックのアドリエンヌ・ボアシー医師は、この結果に驚かないだろう。同クリニックでは、所属する1500人以上の医師らにバーンアウトについて質問したところ、35%が少なくとも1つの症状を報告した。

全国規模はもっと深刻で、大手総合病院メイヨー・クリニックによると、54%の医師が症状を示しているという。

「皆、1日の終わりには抜け殻のようになっている」と、従業員のバーンアウト対策にあたっているボアシー医師は語る。「ストレスと苦しみは無限にある」

 

原因・対策

アメリカでの燃え尽き症候群急増に呼応するように、日本でもたくさんの分析記事を今年に入って目にするようになりました。こちらを紹介します。

 

Diamond Online

diamond.jp

「あ、またあの怒りっぽいお客さんが来ている、今日も何か言われるのかな…」
 こんなふうに思いながらも、仕事上、笑顔を作って対応することが求められる職場で働いている方は多いのではないでしょうか。仕事でこのような場面を多く経験すると、感情がすり減ってしまったかのような、いわゆる「燃え尽き症候群」と呼ばれる状態に陥る危険性があります。

 これまで仕事は個人の能力の割き方によって、「肉体労働(筋力などの身体能力)」「頭脳労働(専門的な知識や情報処理能力)」という形に大きく区別されてきましたが、最近では「感情労働」という労働形態もそれに加わり、注目が高まっています。

 

cnet

japan.cnet.com

 あなたのストレスは、実は診断を受ける根拠となる。世界保健機関(WHO)が最近、燃え尽き症候群を分類できる「職業上の現象」と見なしたからだ。これは慢性的なストレス状態で、倦怠感や職場で成功する能力の欠如、さらには不安神経症やうつ病を引き起こす可能性がある。燃え尽き症候群に陥っているかを判断する材料と、状況を緩和するのに役立つ方法を紹介する。

 

GIGAZINE

gigazine.net

ストレスや燃え尽き症候群を専門とする組織コンサルタントのPaula Davis-Laackさんによると、特別な休暇を取ることではなく、普段の生活から仕事中・仕事後にしっかりと休むことがストレスに効果があるとのこと。Davis-Laackさんは、仕事中にも90分から120分ごとに、5分から10分の休憩を取ることを推奨しています。

Daveyさんは燃え尽き症候群から脱出する第一歩として、どの業務ならば熱意を持って取り組めるのか、どの業務ならばやるうちにウンザリしてくるのかについて上司と相談することを挙げています。自分に活力を与えてくれる業務を探すことこそ、本物のストレス解消法とのことです。

 

IT人材ラボ

itjinzai-lab.jp

ヘイズは、従業員が健全かつバランスの取れた形でより前向きに仕事ができるよう、経営者や管理職が取り組む必要があるとし、次の6項目を示している。

・管理職から部下へのメールは勤務時間内に
・労働時間ではなく、仕事の質を評価
・批判的にならない
・部下に休みを取るように促す
・長時間労働が習慣化した部下が生み出す余計な作業をチームに浸透させない
・良い手本となる

 

Business Insider

www.businessinsider.jp

若者の精神療養を行っているYellowBrickの最新調査によると、ミレニアル世代はネットフリックス(Netflix)やテレビを使って、バーンアウト(燃え尽き症候群)に立ち向かおうとしている。

心理学者のレオラ・トラブ(Leora Trub)博士は、若者たちはテクノロジーを使って、常につながっている状態から距離を置こうとしていると、Business Insiderに語った。

テレビ番組などの一気見は、長期的には健康に悪影響を及ぼすと研究は示しているが、自己統制できるなら悪い対処メカニズムではないと、トラブ博士は言う。

 

DIGIDAY

digiday.jp

しかし、ケーヒル氏はこの考えをさらに進化させたいと思っていた。最近になって長時間勤務とそれがメンタルヘルスに与える影響に関するニュースが増えたことで、彼は就労時間後のコミニュケーションを禁止するという規則を施行した。その内容がシンプルだ。eメールとスラック(Slack)は夜と週末は使用禁止、というものだ。(もちろん緊急事態は除いて)。

「常に全員が対応できる体制でいないといけなく、そこから離れることができないのは非生産的だ。人々は仕事に関してプレッシャーを感じてしまう。これは私には馬鹿げているように感じられる。具体的かつシンプルなことを我々は行いたいと思っていた。そのためそれをルールにした」。

 

考察

欧米を中心に燃え尽き症候群が押し寄せているというのをお判りいただいたと思います。各記事によく現れる話が、SlackやEメールなどにより24時間仕事のことを考えていなければいけないという環境です。これは過去にはなく最近のテクノロジー進化によりもたらされた状況です。

働き方改革への取り組みは日本はまだ始まったばかりで、欧米の方が確実に先行しています。そのため生産性は日本よりもかなり高く手本とされがちなのですが、その一方実はリモートワークの環境を持たされ高ストレス状態にあるとしたらこれは皮肉な話だと思います。しかも日本でも同様の状況になりつつありますからこれは、他人事ではない。特にITエンジニアはリモートワークに向いている職業であり、明晩に日本でも大きな問題になると思います。

私は長年運用エンジニアをやっていますが、夜間も電話連絡の可能性がありますし旅行に行く時でもノートパソコンを持参しています。そんな生活を10年ほどやっていますので、おそらく私は燃え尽き症候群だったという心当たりもあります。

記憶をたどってみると、一番ひどい時で週に1度~2度は深夜に電話連絡がありリモート対応していました。その結果体調が悪くなりました。私の場合はアレルギー反応という形で現れました。体が丈夫なのでおそらくストレスが慢性的な形で現れたのではないかと思います。また、怒りっぽくなっていたというのも確かにそうです。結局職場の人間関係でも問題が起きるのですが、燃え尽き症候群だったと思います。全ての症状にあてはまるわけではないのですが、特にメンタルや体が強いと自負していて、完璧主義傾向のある人にこそ、自分がコントロールできない形で体や心に不調を訴えるのでしょう。あなたの精神がいくらタフでも、ダメなものはダメなんだよと体自身が訴えてくるのです。

今私がその状況から克服できているのは、廻りの方のおかげで職場環境を一新できたことが要因ですが、もし助けてもらえなかったら大変なことになっていたのかもしれないなとしみじみ思います。

特に24時間のシステムを運用担当しているITエンジニアの方は、開発/インフラ問わず大変なストレスで、燃え尽き症候群と隣り合わせではないかと思います。これが今後、テクノロジーの進化によってITエンジニア以外にも押し寄せ、一人にかかるビジネス上の責任がどんどん上がってくるでしょう。これが生産性向上の本質です。一人が生み出すモノやサービスが増えるということは、責任もそれだけ増します。なぜ責任が増やせるのかというと、テクノロジーの進化によりたくさんのことができるようになるからです。たくさんのことを一人が担うようになることで、燃え尽き症候群になる。これが欧米で今起きている社会問題です。

AIやRPA、IoTなど、生産性向上を促す投資が今後盛んになり、ますます効率的な仕事を人間は強いられることとなります。ぜひその結果、人間が高いストレス環境に追い込まれないよう経営者や管理職には、今のうちから従業員のメンタルヘルスに気を使って欲しいと思います。生産性向上の裏には燃え尽き症候群のリスクあり、です。