orangeitems’s diary

クラウドで働くインフラエンジニアの日々の感想です(ほぼ毎日更新)。



なぜ長期に渡り会社貢献してきた45歳以上が早期退職を迫られる羽目になっているのか

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45歳以上が会社から追い出される理由 

大企業がこれまで成功してきたのは、明らかに45歳以上の方々が頑張ってきたからです。しかし、その方々をお金を支払ってでも会社から出て行って頂こうという流れが活発化しています。早期退職です。

 

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人手不足が続くにもかかわらず、大企業で定年前の退職を募る早期退職が増えている。2019年1~6月には上場企業の17社が合計で約8200人の早期退職者数を発表し、半期で18年を上回った。製薬など、業績が好調なうちに人員を適正化して事業環境の変化に備える動きも目立つ。応募者側も人生100年時代をにらみ、早期にキャリアの再設計に動く中高年も増えている。

 

一方で、新卒を優遇する動きが続きます。

 

toyokeizai.net

回転ずしチェーン大手のくら寿司が5月末に募集を開始した「エグゼクティブ採用」が外食業界で話題となっている。

同社は2020年春の新卒採用で、入社1年目から年収1000万円の幹部候補生を募集する。条件としては26歳以下(就業経験者、卒業後に1年以上ブランクがある者は対象外)という年齢制限に加え、TOEIC800点以上、簿記3級以上といった必須資格もある。募集人数は最大で10人を予定している。

 

www.nikkei.com

初任給を引き上げる動きが産業界で急速に広がっている。若年層やデジタル人材を取り込もうとする企業が処遇改善を競い合う。企業が成長を続けて収益を増やし続けない限り、中高年の給与にしわ寄せがいく。業績が低迷する電機メーカーや構造変化に見舞われる製薬などでは中高年の厳しさが増している。人手不足が年功序列を前提とした賃金制度を崩し始めている。

 

なぜ、大企業を支えてきた45歳以上のベテラン人材を放出し、新卒を優遇してまで集める必要があるのか、考察を行っていきます。

 

DXの観点から考える

ベテラン勢を追い出すのは終身雇用や年功序列を前提とする賃金の上昇カーブを見直すため、という論点についてはもはや既成事実です。疑いようがありません。

ここでは、もう一つ。DX(デジタルトランスフォーメーション)の観点から違う見方をしてみたいと思います。

今後、今までの事業の在り方を徹底的に見直し、デジタル技術を前提とした仕事の方法、またサービスの在り方を生み出していかなければいけないのはどの企業体にも言えることです。期限は5年。2025年の崖と呼ばれていますが、明らかに取り組んだ企業とそうでない企業の間で優劣がつくのが2025年です。この点についてはどの経営者ももう気が付いていて、どうやってデジタル化を社内で進めるか頭を悩ませています。ただし、時間もあるしお金(内部留保)もまだ十分にありますので、すなわちやるかやらないかです。なぜやるべきか、ということを今論じている経営者は今すぐ代わった方が会社のためでしょう。

さて、このデジタル業務変革を行うにあたって、誰がやるか、ということになります。これまでの業務を引っ張ってきた人たちが、皮肉なことに抵抗勢力になるのです。これまで成功を築いてきたからこそ、その方法を自分たちで壊さなければいけないことに抵抗を感じるのは自然なことではないでしょうか。

いざ変革をするときには、保守的な人たちはマイナスになってしまうのです。たとえデジタルに強い若手を投入しても、管理職層に抵抗勢力がいてしまっては、進むものも進みません。これまでの成功を築いてきた立役者であり管理職へ出世したのに、残念ながらその成功そのものがデジタル化の足かせになってしまうということです。一方で、その功労に対して割増退職金を支払うことで、敬意を持って退職して頂くのは理にかなっていると思います。そういったことが全国の大企業で起こっているのだと思います。特に45歳以上でも社内在籍年数が高い方が対象になりがちでしょう。それは成功体験が強いためです。中途採用でまだ入社したばかりの人は当てはまらないので早期退職の対象なっていないのではないかと思います。「勤続年数が・・年以上の45歳以上」なんていう条件をよく見ます。

 

追い出される=戦力にならない、ではない

一方で、デジタル化の障害とまで言われるベテラン勢ですが、他の会社で戦力にならないかというととんでもありません。競合会社や、中小企業・成長企業等にスマートに転職される方はたくさんいらっしゃると思います。その成功体験を支える業務知識は、他の同業他社やデジタルにて異業種から新規参入をしようとしているスタートアップからすると非常に魅力的な人材です。転職先で、改めてその経験を活かし、新しく同様のサービスを立ち上げ事業化していくのは王道パターンでしょう。

この方法をポジティブに進めたのがアイリスオーヤマでしょう。

 

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 「これまでは新商品のアイデアはあっても、それを実現する技術力がありませんでした。ここに来てようやく両方がマッチするようになってきたんです」――アイリスオーヤマの家電事業部 統括事業部長の石垣達也氏は、こう話す。(村上万純,ITmedia)

 

家電量販店に行くとわかりますが、過去の家電を得意としてきた企業の製品はどんどん無くなっていて、アイリスオーヤマのような(家電に関しては)新興企業の商品が元気がいいです。

もちろん、ベテランだから即採用、ではなくこれまでの成功体験をきちんとビジネスプロセスとして書き直し、再生できることが重要です。プレイングマネージャーは非常に活躍の場が広いと思います。

かつ、昨今のデジタル化に対してきちんと勉強でき、これまでの業務経験と結び付けられるのであれば、もちろん新卒よりも全然価値があると思います。

 

このように、能力はあるのに、なぜ長期在籍しかつ会社貢献してきたベテランを会社から追い出すのか。というのは構造的な理由があります。

一部の中小企業などは、ほとんどが中途採用であるため、あまり会社内の成功体験にこだわりがなくデジタル化をスムーズに進められる企業もあります。

今の若手はデジタル化に対して抵抗が無く、発想が柔軟だ。というのは私は偏見だと思っています。それは若手でもベテランでも人によります。そのうえで社会人経験であったり業務知識が豊かなベテランは、会社の外で活躍するべきだと思います。今までの成功体験を再生しつつ別の会社のデジタル化を実現すればよいのです。新卒はイコールデジタル人材だ、という流れはどこかで幻滅に変わると予想しておきます。単なる年功序列制度のチューニングにおける調整がデジタル化と同時に起こっているだけだと考えます。

 

まとめ

企業はこれまでの成功体験が邪魔になることがある。そうすると終身雇用や年功序列が昨今のデジタル化の障害になるということはお分かりいただけると思います。成功体験が邪魔になるのです。

大企業の場合はリストラで改善しようとしていますが、中小企業の場合そもそも大きな成功体験はまだしていないわけですから中の人がデジタル変革を進める必要がありますし、大企業から移ってくる人を取り込んでも良いかもしれません。

日本はデジタル化が遅れていると言われるのですが、むしろ後発で取り組めることは他国に比べて良い面もあると思います。進んだ国のシステム構成を見ると一世代前だったりします。ここから日本全体でDXを進めて大きく成長していくために、早期退職等の構造変革や、終身雇用の終了を悲観的に捉えるのではなく、一人一人がポジティブに捉え社会に活かしていくことを主体的に考えていくことが、社会にとってもより良いことだと考えます。