orangeitems’s diary

クラウドで働くエンジニアの日々の感想です(ほぼ毎日更新)。

シーサードライン逆走の件は未来からの警告かもしれない

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シーサイドラインの逆走

神奈川県横浜市のシーサイドラインという鉄道で電車が逆走してしまった件。普通の鉄道事故とは種類が異なるように思います。

 

www.kanaloco.jp

1日午後8時15分ごろ、横浜市磯子区の新交通システム「シーサイドライン」の新杉田駅で、車両が逆走し、約25メートル後方の車両止めに衝突した。県警によると、14人が負傷し、うち6人が重傷。いずれの乗客も命に別条はないという。県警は業務上過失傷害容疑を視野に捜査する方針。新杉田-金沢八景の全線で運転を見合わせている。

 

考察

今回の件、最も重要なことは完全自動運転だということです。

しかも、1994年から導入されていたということですので、25年に渡って安定運用されていた中での事故です。

完全に自動だった、ということはシステムが絡んでいます。なんらかのプログラムがあってそのなかに今回の問題を引き起こすバグがあるのは間違いないでしょう。

今回の問題について、もし通常の手動運転だったのであれば、その運転手を原因にすればすぐに再開できるでしょう。しかし今回は人間が直接的には関与していないのです。この中で原因を特定し、それに対して暫定対応でもできなければ、横浜シーサイドラインを再び動かすことはできないのです。

しかもその原因が本当の原因であったことを証明せねばならず、それは運営者の単独ではなく外部の専門家の証明と国土交通省の了承が必要となれば、単純にシステム改修での根本解決というのは今日明日すぐにできることではないのはすぐわかります。

ということは、再開するためにはしばらく、自動運転を行わず人間による手動運転に切り替えないといけないということになります。

しかし、25年間自動運転した企業がすぐに運転手を確保することができるでしょうか。また、確保できたとしても、その方が実際に運転できるようになるためには、数日間の訓練は必ず必要でしょう。有人運転の切り替えはシステム上は用意されていて然るべきですが25年の長い年月で、その対応手順書はホコリをかぶっていて然るべきだと思います。

もし25年間安定したシステムがあるとして、その担当者であったとすれば想像は難くありません。障害手順書の場所は知っていますがそれすら電子化されていないと思います。バインダーに閉じられて大事に棚に飾られていると思います。

 

完全自動運転という概念はテスラが一生懸命がんばっていますけれども、今回のような問題を内在していると思います。自動運転に今回のような致命的な問題が発生してしまった場合、自動車に乗れなくなってしまう。では手動運転で運転すればよいかというと、完全に自動運転に慣れきってしまったドライバーは戻れないのです。ここまで想像して自動運転を捉える必要があろうと思います。

人間という仕組みは問題が起こった時に自ら反省することができ、原因を特定し修正する能力があります。一方でシステムは自ら反省することはしません。バグもロジック通り起きますから、特定の条件を起こしてやれば再現します。システムは反省しないのです。善悪がないのです。この修正については人間が関与する必要があります。

現在ものすごい勢いで、いろんな仕事の自動化が進んでいますが、今回の問題が突きつける自動化の内在する問題ということはきちんと考えなければいけません。

繰り返しますが、自動化に慣れ切った人間は、手動に戻そうとしてもついてこれないのです。したがって自動化するときは、徹底的に異常時の対策を人間が考える必要がありますし、その考えた対策を定期的に訓練する必要があります。

 

今回の落としどころ

考え方としては以上の通りなのですが、シーサイドラインを月曜日に復旧させないととんでもない混乱が沿線の住民に起こると思います。土日なのでまだなんとか平静を保っていると思いますが、通勤できないと社会に支障が出ます。

以下は予想です。

システム全体が原因ではなく、電車の機体の老朽化に原因を求めてくるのではないかと思います。システムは正しいけれども、それを受け取る電車の特定部品が老朽化により誤動作して電車を動かしてしまった。いわゆるエージェント的な部品があって、センターからの命令を違う形で受け取ってしまった。

その部品は保守部品があると思いますので、それを全車両一斉点検して、利用時間が長いものは全て交換する等の処置をして、落としどころを付けるんじゃないかなあと思います。

そういえば昨日、バズっていたツイートがあったな。

 

 

私も数々の障害につきあい、根本原因がシステムではなくそれを動かすハードウェアであったり電力系であったり、ホコリであったり熱であったり、部品の老朽化であったり、様々体験してましたのでよくわかります。

自動、という言葉は人間に夢を見せますが、時に人間に牙を向くことがあることを肝に銘じて私も自分の仕事にフィードバックしたいと思います。

 

追記(2019/6/6)

やはり、電車の機体に原因が向かっていますね。

 

mainichi.jp

新杉田駅に向かって入構してきた車両は、進行方向を逆方向に変更して折り返す形で出発するはずだった。しかし、正しい進行方向の先頭車両と2両目の境付近にある配線が断線し、進行方向を変更する情報が伝わらなかったとみられる。配線は床下にあり、断線しても覚知する仕組みはなかった。同社は2017年に点検していたという。

 

・・となると、監視設計に問題がありそうですね。断線しないようにすることはできないでしょうから。