失敗事例の方がためになる
世の中には、「こうしたらこんなにうまくいったすごいだろう」という記事はよく見かけるのですが全然参考になりません。だいたいにおいて成功のエキスは隠してあるからです。競争相手が増えるようなことはしないと思います。
一方で、たまに見つける「うまく行ったことが、最終的にうまくいかなくなった」という失敗事例はいろいろなことを教えてくれます。
ゲーム攻略サイトの例があり、考えさせられました。
もはや数え切れないほどのスマホ用ゲームが配信されている昨今、攻略サイトの需要も当然あってしかるべきなのに、増えるどころか逆に減ってしまったのは、いったいなぜなのだろうか? 攻略サイトの現状について、2013年1月から「SQOOL.NET アプリ情報データベース」(現:「SQOOL.NETゲーム研究室」)を運営する、株式会社SQOOL代表取締役の加藤賢治氏にお話を伺った。
考察
当ブログも私一人で切り盛りしているわけですが、今年3月には100万PV近くを頂くまで成長できました。私の場合は解説から一年半かかっていますが、記事の状況とよく似た経験をしています。また、私のPV増加の原因は下記の2つの記事が原因です。
ブログを書く上で各メディア記事に目を通していたら、45歳という言葉が至る所で踊っていたのでこれをまとめたことが新しい発見となったのだと思います。
さて、PV数を大幅に増やすことに成功したときは達成感があるのですが、これを継続するとなったら難しい問題です。ご紹介した記事においては、「追いつかなくなってしまう」という表現があります。
一人で切り盛りしていたんだし、それで成長したんだから、マイペースで続ければいいんじゃないかと普通の感覚では思うのですが、いざそのような状況になるとなかなかそうは思えないんじゃないかと思いますし私もそうでした。というのは、ピークを山にしてどんどんPVが下がっていくのです。これをしても下がる、しないともっと下がる。
記事中に、ポイントとなる文章があります。
そこで2014年3月からは、自身のサイトとクラウドソーシングを通じて攻略ライターを募集し、外部に仕事を発注するようになった。
「人数を増やしたほうが、経費も掛かるけど収益も伸びそうだということで、ライターを募集することにしました。人数が増えたことで編集の仕事も増えましたので、2015年の10月から都内に新しい事務所を借りて、常駐の編集スタッフも雇いました」(加藤氏)
一人でやらない、という選択です。
おそらくたくさんの人が、100万PV/月あたりを境に、これをどうしようかと悩み、上記のようにビジネスとして拡大を選ぶか、もしくは放置を決め込み平常時へピークアウトしていったのではないかなあと思います。
その後、記事ではゲーム攻略そのものが世の中で流行しなくなり、投資に見合うPVが得られなくなった。そのため巻き込んだ人たちをどんどん切り離していった、とあります。
あるマイルストーンとなる目標に達成した時、次にどうするか。これが「0を1にすること」と「1を10にすること」の違いだと思います。私は、0を1にすることを好んでいて、新しい何かを始めることを見つけそれが一定の成果を生み出すことまでは何となく肌感覚でできるところがあります。ただ、1を10にできるかというと、ここは助けてくれる人がいないといけません。また10にならないものに投資をすると、回収できない可能性があります。
メルカリが赤字決算を出しつつもこれは拡大期だからと割り切ったり、Uberが1100億円の赤字四半期決算を出しつつも来四半期は販管費を減らすからと言って株価が上がったりと、本当に1を10にするというのは難しい世界だと思います。そして見込み違いだと、多くの人に迷惑をかけるということにつながります。
また、1を10にすることを失敗したと外部から思われても辛抱強く続けて、最終的に5になり10になり100にした企業もたくさんあることを知っています。
私の本業でも、このブログでも、0を1にするようなことをしてきたので、さて、10にするのかどうかというところのせめぎ合い。そして失敗したことの経緯については私にとって宝物のような記事だと思いました。
一方で、0を1にすることはめっぽう下手だけど、1を100にする天才みたいな人もいらっしゃるので、本当に世の中適材適所だなと思う次第です。
ビジネスの境目
一人で切り盛りすること。誰かを巻き込むこと。この2つの境界線が趣味とビジネスを切り分ける境目だと思います。誰かを巻き込んだ時点でビジネス。そして巻き込んだ以上はウィンウィンでないと、どこかで不利益が生まれます。ビジネスとなった時点で、外部環境を中長期的に客観的に予見する力が必要になります。そして、その中でどうなりたいのかというビジョンを始めに作り、これを貫く必要があります。また、あまり語られていないのですが、外部環境を予見するだけではなく、自分の手で作っていかなければいけません。
例えばPayPayが100億円キャッシュバックなんてことをやっていますが、これはキャッシュレスを自ら社会に浸透させるためのアクションです。これを皮切りにいろいろな事業者がキャッシュバックキャンペーンを実施していますが、これは外部環境を作ることに成功したと言えます。PayPay単独でシェアを取るというより、たくさんの人々がキャッシュレス決済に馴染む外部環境を自ら作ったと言えます。
このように、1を10にするには、単に市場がたまたま盛り上がったから、それに着いていくという姿勢では不十分なのです。市場を作っていくための体力や支援がないのであれば、どこかで市場のピークアウトに巻き込まれ、敗戦処理となってしまうのでしょう。
世の中のメディア記事を見ると、ビジネスは何でもやれば成功するような錯覚すら起こるのですが、特に本記事のような失敗事例は貴重な資料です。肝に銘じて慎重に進めたいと思います。