orangeitems’s diary

クラウドで働くエンジニアの日々の感想です(ほぼ毎日更新)。

ECサイトが終わる これからのECサイトのありかたを学ぶ

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ECが儲かる時代が終わった

ECサイトが終わる。

かなり刺激的なタイトルなのですがまだ本気に思っている人はいないと思います。しかし、下記の記事を読んで私は現実性があると考えました。逆に言えば、この記事が大して話題になっていない時点でまだまだ世間の感度は鈍いと思います。

 

shogyokai.jp

EC事業者はビジネスモデルと投資戦略を抜本から転換しないと店舗小売業者のC&Cに対抗できず、事業の将来が閉ざされてしまう。ZOZOのFBZ戦略を『ZOZOSUITに匹敵する暴挙だ』と指摘した意味も分かってもらえたと思う。

 

なお、C&Cとはカレーショップのことではないです。

クリック&コレクトと言って、ECサイトの注文をリアル店舗に取り置き、取りに行ったり試したりすることを言います。

リアル店舗を持っていないEC事業者は自社で倉庫を持ち流通させる必要があるのですが、肝心の配達業者が料金を値上げしてしまい配達にコストがかかるようになってしまったこと。また、倉庫の運用も自動化が進まないなか人海戦術で行っており、そこにかかる人件費も高くなってしまっていることが挙げられています。

こうなってくると、ECサイトの注文をいかにコストを抑えて安く届けるかが重要になってきており、単なるECサイトは終わり、という表現は全く正しいと思います。

つまり、C&Cのようなリアル店舗を使った合理化ができないECサイトが終わりを迎えるということです。ECサイトはインターネットビジネスの中でもかなりの中心的な存在だったため、この環境変化はIT業界においても関心を持つべき事象です。

この変化については、Amazonのプライム会員費用が3,900円から4,900円に値上げされたこととは無関係ではないとも思います。Amazonについては倉庫の生産性向上について世界レベルの自動化で立ち向かっておりこの努力あってこそ、まだビジネスモデルが継続していると思います。

 

当然の帰結

環境が変わるときは案外原因は単純です。これまでのECビジネスは輸送費をダンピングすることでリアル店舗を切り崩してきた。しかし、輸送サイドが耐えきれなくなり、相応の料金をECサイト側に求めたことで一気にリアル店舗の優位性が増したということです。

そもそも、店があり店員が接客をしてくれて、かつそこに商品があり持って帰れるリアル店舗は、倉庫から運ばなければいけないECサイトに比べて優位なのは考えればわかることでした。ECサイトの優位性は品ぞろえであり、その品ぞろえすらC&Cの活用によりリアル店舗を補完する用途であれば顧客までものを届けず、通常の店舗への在庫最適化の中で行えばよい。ということになります。

今後で言えば、この環境の変化についていけなくなったECサイトはどんどん閉店の方向に向かいます。一方でリアル店舗を補完するようなECサイトが現れます。リアル店舗のない地方の人口がECサイトを下支えしていたのですが、この人口は中長期的に増えることがありません。むしろ減少していきますのでこれらの顧客に対する対応は今までのような方法はいつまでも続かないと予想します。

昨日の「帰れマンデー」で、奥鬼怒を歩く企画があったのですが、この途中で森の中のバス停に古い冷蔵庫が置かれていました。中を開けると新聞の束が入っていました。これは何かと言うと、路線バスに新聞社が委託して、その冷蔵庫に入れておくそうです。もう新聞配達する業者がいないのでこのようになってしまったそうです。

このような、路線バスによる宅配代行というのは、実はいろいろな地方で行われているようです。都会にいるとわからないですよね。

 

newswitch.jp

 長野県飯綱町、長電バス(長野市)、ヤマト運輸が連携し、路線バスで宅配便も輸送する貨客混載を2017年10月に始めてから1年がたつ。生活路線の維持と同時に物流の効率化を狙いとした取り組みは、それぞれに成果をあげつつある。

 

路線バスやコンビニ、スーパーなど、いろいろなチャネルを利用しながらEC事業を行わないともはや成り立たなくなっている構造は間違いなく、今後リアル店舗の逆襲とも言える状況が現在進行形であることは大変興味深いと言えます。

 

ECサイトが終わったら考えるべきこと

ECサイトが終わったら、ECサイトがなくなるわけではなく。オムニチャネル(ネットだけではなくいろんなチャネルで販売していくこと)の一部として捉えていくことが重要であると言えます。

それはわかっているよ、という方もいらっしゃるでしょうが、もっと世の中は進んでいてオムニチャネルでない単独のEC事業はもう終わってしまった、ということになります。

そういった意味では、依然としてフルフィルと呼ばれる梱包から配達までを一貫して行う伝統的なワークフローから脱皮できないECサイトがみるみる無くなっていく時期であると定義することができます。オムニチャネルにニーズがあり対応力のあるIT業界のベンダーがより活躍していくのではないでしょうか。

 

用語の説明

今回、EC事業にまつわる大事な言葉が出てきたので関連記事をまとめておきます。

 

フルフィルメント

ecnomikata.com

近年EC・通販業界でフルフィルメントという言葉を多く聞くが、各社によって言葉の定義が異なるケースはないだろうか。一度、EC・通販業界でフルフィルメントとされるものは何か整理してみる。

 

オムニチャネル

ecnomikata.com

 オムニチャネルとは、実店舗やオンラインストアなどのあらゆる販売・ 流通チャネルの統合により、顧客接点を多様化する仕組みのことです。オムニチャネルを実践する企業の狙いはどこにあるのでしょうか?

 

関連書籍

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全世界で急成長するECビジネス。その勢いは止まるところを知らない。リアル小売業の未来は閉ざされてしまうのか。著者の答えはノーだ。ECビジネスの死角は何か。リアル小売業の活路はどこにあるか。そして消費者はどう動くのか。流通業の専門コンサルタントが小売業再生の大きなロードマップを描いて見せる。