orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

給与前払いサービスって大丈夫なのと言っている人は古い

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給与前払いサービス

給与前払いサービスの記事を目にして、何だか悪影響をいろいろ考えだしたのですが、いろいろ調べているうちに考え方が古いことに気が付きました。

 

mainichi.jp

流通や製造業界などで、従業員の求めに応じて給与を前払いするサービスの利用が広がりつつある。人手不足が深刻さを増す中、貯蓄の少ない若者らのニーズに応え、従業員の確保を目指す企業が増えているためだ。月単位が主流だった給与の払い方が大きく変わる可能性もある。

 

社会的な変化をいろいろ考える前に、山のように新規参入企業がいることに気が付きました。

 

続々参入

たくさん事例が出てきました。

 

伊藤忠商事

bitdays.jp

伊藤忠商事が100%子会社であるマネーコミュニケーションズを通じて、給与前払いサービス事業に参入することが発表されました。

 

Payment Technology

www.jiji.com

企業、従業員のための新型福利厚生サービス”前払いできるくん”を運営する株式会社Payment Technology(本社:東京都文京区 代表取締役:上野亨、以下「当社」という。)は、前払いできるくんの前払い利用金額が2018年11月には2億円、同年12月と2019年3月には3億円、さらに同年4月には4億円を突破いたしましたことをお知らせいたします。

 

パーソル

www.sankei.com

従業員の前払い給与を実現する「POS+pay 給与前払いサービス」などきめ細やかな機能を搭載し、効率的な店舗運営を支援いたします。

 

クレディセゾン

weekly-net.co.jp

クレジットカード会社のクレディセゾンが提供する給与受取サービス「アドバンストペイセゾン」は9月に機能を拡充し、給料の前払いをセブン銀行で、即日受け取りができるようになった。

 

ペイミー

www.businessinsider.jp

給与即日払いサービスを提供するペイミーが、2018年7月1日からセブン銀行と業務提携を行う。発表文によると、ペイミーはセブン銀行が2017年秋に始めた「リアルタイム振込機能」を活用し、振込手数料一律500円で「給与即払い」を実現するという。

 

ビジョン

prtimes.jp

グローバルWiFi事業、および法人向け情報通信サービス事業を手掛ける株式会社ビジョン(本社:東京都新宿区 代表取締役社長:佐野健一 、以下ビジョン)は、フィンテックを活用した給与前払いサービスを提供する株式会社Hayakyu(本社:東京都港区 代表取締役:工藤園子、以下Hayakyu)と業務提携をし、ビジョンが提供している「VWS(ビジョンワークフローシステム)」において、給与前払いサービス「早給」の提供を開始しました。

 

エーピーシーズ

prtimes.jp

日本マーケティングリサーチ機構は、2019年、1月に給与前払サービスにおけるインターネット調査を実施した結果、「株式会社エーピーシーズ」が『利用したい給与前払いサービス』『法務担当者が推奨する給与前払いサービス』『採用担当者が導入したい給与前払いサービス』3つの部門で第1位となりました。

 

キュリカ

kaigonews.joint-kaigo.com

医療・介護分野で人材派遣などを展開するツクイスタッフが、給与前払いサービス「キュリカ」を1日から導入した。

 

www.nikkei.com

人材サービスのヒューマントラスト傘下で給与前払いサービスを提供するキュリカ(東京・豊島)は2018年12月26日、宅配情報サービス「出前館」を運営する夢の街創造委員会に給与前払いサービス「CYURICA」を導入したと発表した。

 

照栄

www.nikkei.com

運送事業者へのコンサルタントなどを手掛ける照栄(さいたま市)は、給料日前に働いた分の給料を受け取れる社内設置型の専用端末を開発した。金融機関などが提供する給料前払いサービスとは異なり、手数料がかからない利点がある。福利厚生の一環で「前払い可」を掲げて、人手不足解消につなげようとする運送会社などに売り込む。

 

enigma

weekly-net.co.jp

enigma(エニグマ、東京都新宿区)は前払い給与サービス「enigma pay」を提供している。COOの小口敦士氏は、「立て替え方式ではないことに加え、法令順守を徹底しており、安心して利用いただける」と胸を張る。

 

考察

こんなにこんなに事例が出てくるということは、おそらくサラリーマン生活の長い私の感覚が相当世間とズレているんだと思います。

働いた当月25日に給料日を迎えるというこの世界観は、いつの間にか古くなっていた。

働いたんだからすぐお金が欲しい。この需要はこんなにサービス参入が相次ぐほど強いということだと思います。

導入して大丈夫か?と言っているのはもう古くて、もはや導入が幅広く進んでいる世の中になっているのです。基本的には「働いた分の前払い」という考え方であり、働く前の分を引き出しているわけではないので、借金ではありません。そこに手数料500円程度が介在していますが、これだけ新規参入が相次ぐとその料金も下がりそうな気がします。

直感的にはこういうサービスを使わない方が手数料負けしないと思うのですが、それを上回るくらいの資金需要があるということなんでしょう。

銀行も、給与口座であることでかなりの資金を集められていたと思うのですが、こんなサービスが一般化してしまうと大変な状況に陥る可能性が高いですね。ただでさえ、非正規・パートの働き方が急拡大していますから・・。

 

給与前払いサービスが問題であるという記事も紹介しておきます。

 

www.newsweekjapan.jp

ネット上では「こうしたサービスが普及すると過剰消費につながる」といった意見も見られる。確かに一部の社員は、こうした制度を乱用して、遊興費など過剰消費に走ってしまうかもしれない。前払いが融資に相当するのかという部分において法的リスクを指摘する声もある。

だが経済的にはまた別の見方もできる。

 以前から給料を前借りする浪費体質の人は一定数存在していたはずだが、生活を破綻させることなく何とかやりくりできていた。その理由は、前払いに対応する便利なシステムがなかったからではなく、賃金の絶対水準が高かったからである。

 

お金が手に入りやすくなることで過剰消費になるのでは。また、賃金水準が低くなってしまったことで、前借りせざるを得ない人が増えてしまった結果なのではないかという意見です。私もこういった感覚があって、大丈夫なの?と思ったんですが、この新規参入の状況はそんなことを考えている隙も与えてくれません。

 

積極派の意見も紹介します。

 

jinjibu.jp

私たちは月給に慣れていて「給料は月に一度もらえるもの」と刷り込まれていますが、給与は毎日支払われたっていいんです。労働債権ですから、自分が今日働いた分をその日に受け取っても、何の問題もありません。しかし、企業側に資金繰りの問題や煩雑な事務作業が生じるため、月に一度の支払いが浸透していったのです。この習慣を変えることで、もっとフレキシブルに労働力を動かすことができないかと考えたことで、「キュリカ」というサービスが生まれました。

 

パート、非正規は月単位を意識して働いているわけではないので、すぐに受け取れた方が便利だろうという意見も確かにその通りだと思います。

 

いろいろな問題をはらみつつも、規制がなく需要があればどんどん急拡大するという好例だと思います。ひとまず、大丈夫かどうかを心配している隙もなく世の中に急拡大しているという事実はご承知ください。

 

追記

いろいろとコメントを頂いたのでさらに記事を書きました。

 

www.orangeitems.com