orangeitems’s diary

クラウドで働くインフラエンジニアの日々の感想です(ほぼ毎日更新)。

この仕事不要では?という視点を大事にしよう

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国家公務員の超過勤務対策

国家公務員の超過勤務が目に余るため、自民党主導で仕事の見直しを行うそうです。

 

www3.nhk.or.jp

超過勤務が常態化している中央省庁の業務を見直すため、自民党の行政改革推進本部は官房長官のもとに専門家らによる推進チームを設け、今後1年間を「集中期間」と位置づけて業務の縮小や廃止を実現するよう求める提言をまとめました。

 

考察

この記事に対する反応を見ていると批判も多いのですが、この忙しい部署に対して「業務の縮小や廃止」を第三者から促すのはとても効果的で評価されるべきだと思います。

というのは、忙しい部署は、自分の仕事を見返す余裕すらないことが多いからです。一方で職員がこれは疑問だと思ってもそれをぶつける管理職の手が空きません。しかも歴史の長い組織は、ツギハギだらけの仕事がパッチワークのようになっていて生産性が低いのです。専門家が第三者的にプロセスレビューを行い、必要のない仕事を外圧的に解消していくのは「やるべき」です。

 

あるデータセンターでの話

過去私も、数年とあるデータセンターで勤めていたときに同じ思いをしたことがあります。とにかく忙しい現場でした。終電で帰ることが当たり前の職場でした。扱っているシステムが世の中的にかなり重要なシステムだったこともあり、ルールもがっちがちでした。かつ、運用ミス等が起こるたびにルールが増えていきました。不文律だったルールが多かったのであるとき明文化したところ、ルールだけで文庫本となりそうな勢いでした。何か良からぬことが起こるたびに、決まりを作って統治しようという風潮があり、ルール地獄に陥っていたんだと思います。

例えば、本番システムに対してログインし作業(情報採取・変更等)を行うことを考えてみます。端的に言えば一人のシステムエンジニアが本番システムに接続できる端末に座り、決められた手順を実施すれば終了です。

しかし、そこまで至るまでには多くの壁がありました。まずは本番システムに対して作業するということを申請する書類を作成し、上長に承認する必要があります。また、そのためには手順書フォーマットに基づいて手順書を作成し印刷し添付する必要がありました。また、上長に申請する前に、作業者ではないシステムエンジニアがレビューする必要がありました。

また、申請自身は一週前に実施する必要があり、もし当週での申請となると緊急扱いとなり余計に書類が必要となりました。当然のことながら、緊急で作業することは日常茶飯事なので、その日に申請を通すために遅くまで残って手順書等を準備し、レビュー会議を夜の9:00から実施するなど、本当に狂った働き方が行われていました。なお、そこまで揃えた書類の申請を行った時に上司やその上の上司が承認印を紙に押すのですが、では夜の10:00に席に行ったら・・いるんですね。その上司も。何から何まで狂ってると思いました。

作業の中には、情報採取から設定変更までいろいろな種類があったのですが、残念ながら全てルールは同一でした。たかだか情報採取であっても、二人組で作業をしないと不正となりました。全部を原則に則って実施していたため、実際に作業すること以上に、付随する作業が10倍くらいあった記憶です。

さて、私自身はリーマンショックの影響でその現場を離れることになったのですが、去り間際に興味深いことがありました。その部署の管理職が変更されたのですが、それを機に作業内容が大きく見直されたのです。残念ながらその最終形までは見ることができなかったのですが、その新しい管理職が言っていたことを思い出します。「こんな情報採取に、こんな承認ルートやこんな書類、そして二人で作業するところまで本当に必要なのか?」。私は単にSESで来ていた外部のシステムエンジニアだったので返答に困り「はい、それがこちらのルールです。」と返しました。ただ、ああ、もしかしてこのデータセンターに巣食う妙なルールが変わるかもしれないなと思ったものでした。

 

ある自治会の話

過去を思い出すとさらに似たような経験があります。

私の地域では15年に1度ほど自治会の役員の当番が回ってきます。

当番は月に一度公民館のような建物に集まって、30人くらいで自治会を運営します。

会長・副会長・会計や会計監査、各部や部長など会社のようになってますが、基本的にはボランティアのようなものです。

15年前に1度、その当番を経験していました。そのうえで、去年また当番が回って来たので参加したんです。そうしたら、驚きました。

規約やルールやら、しきたりやらなにやらで、何が目的かわからないような仕事が乱造されていて仕事の山のようになっていたんです。

ボランティアなのに!?、戦慄が走りました。私が一年間何をしたかと言うと、その15年間ぐらいで生み出された資料に全部目を通し、本当にやらなければいけないものだけ集約していったのです。毎年毎年、「去年やっていたから」という理由だけで仕事が徐々に積み増され、ゴミ屋敷のような状態になっていたという状況でした。

しかし、それぞれ「これまでやってきたこと」をやめるのは結構大変でした。

・定例会で報告し、理由を話してやらないことにする
・誰も状況を知らないので、黙ってやらないでおいて、引き継ぎでも知らせず自然消滅させる
・とりあえずやるけれども、次期引き継ぎのときには廃止を検討するよう伝える

というふうにいろいろな策を使って止めようとするのですが、参加する人によっては「あの件はなぜやらなくなったのか、有意義なので続けるべきであり改悪だ」みたいなことを言ってくる人もいてなかなか大変なものでした。

何か新しいことを始めることについては実は誰も抵抗しないんですが、止めるとなると、「誰かと揉めるかもしれない」「後からやっていないことを責められるかもしれない」「今年一年乗り切ればいいから無難に引き継ぎ通り終わらせよう」という発想が働き、なかなか止めないものなんだなあという発見がありました。

無論、私はバッサバッサと仕事を消しまくって、仕事量は3分の1くらいにはなったものの、消しすぎた感があり引き継ぎ時に、ここは工夫したほうがいいと伝えて自治会活動を終えました。

 

まとめ

忙しくて残業がなくならない現場において、「人を増やせ 予算をつけろ」というのはあまりにも無策で能がありません。ワークフローの見直しだけではなく、「本質的にやるべきかどうか」まで立ち返って考える必要があるのですが、これは現場の職員だけでは難しい場合が多いです。

日本全体で、「仕事を減らす」ことをブームにしていく必要があると思います。RPAで自動化するのはあくまでも「力技」です。無駄なことを素早くやっているだけです。そうではなく、その仕事そのものを廃止すること。この考え方が広まって欲しいと思います。トリガーは残業時間・有給取得数等で十分です。