orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

なぜロスジェネの僕らは若いときにブラック企業にしがみついたか

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20年前のIT業界

昔のIT業界、といっても1990年半ばのころの話です。

Windows 95の登場でパソコンが急速に売れ、遅れてインターネットが爆発的に普及したころです。

そのころにも、コンピューターの開発業務はあるにはあったのですが、開発環境を手に入れるためにはかなりのお金が必要でした。今vTuberをやるためには30万くらいの機材が必要とのことですが、当時はもっと必要だった記憶があります。

・パソコン 20~30万くらい
・ソフトウェア 10万くらい

パソコンにおいては、Windows 95~98くらいまではMicrosoft Accessなどで、Visual Basicを利用した簡易的なシステム開発や、Visual Basicでのスタンドアローンアプリが中心でした。それぞれのソフトウェアも有償でした。

UNIX関連ともなると、linuxがなかった時代でしたからSolaris、HP-UX、AIXなどが中心で、これらを動かすサーバーは個人では手が出ない環境でしたので、学校で情報系の授業を取る以外にそもそも開発環境すら触れない状況でした。

また、勉強するにもインターネットも無かったため難しそうで高い本を買うしかないのですが、一冊4,000円くらいするのもありかなりまたお金がかかりました。

ですから、ハードウェア面もソフトウェア面も、個人ではどうにもならない敷居の高さがあったのです。コンピューターを使って食べていきたい、と思ったらどうしても会社にしがみつかなければいけませんでした。

 

オフィスが輝いて見えた

会社のオフィスにいると、たくさんのパソコンが稼働していました。

先輩のパソコンは有名なアレだったし、見たこともないタワー型のパソコンもありWindows NTという格調高いOSが入っていました。ドメインコントローラーによるドメインへのログイン(今でいうActive Directory)や、ネットワークにつながれたファイルサーバーも新鮮。

今では当たり前になったパソコンの世界も、当時はオフィスでしか実現されていませんでした。また、設備に費用もかかるため、IT企業の数も今と比べるとそこまで選択肢がありませんでした。 

従って、どんなに労働条件が粗悪であっても、オフィスは遊び場だったし、それを提供してくれていた会社には応えようと思っていたんじゃないかなあと思います。また、転職先も限られていて景気も悪かったですからね。

 

今は、パソコン自体の価格も性能も随分上がりましたし、ソフトウェアも開発環境に限れば有償ソフトウェアも無償で利用できますしOSSも利用できます。それに伴いたくさんのベンチャー企業も増え、20年前とは様変わりしたなあと思います。

20年前になぜロスジェネの先輩たちはブラック労働なのに会社にしがみついたんだろう、そんな問いについての回答でした。

 

2005年のSE川柳

14年前の日経IT Pro(現xTech)に掲載されたSE川柳で当時のIT業界の雰囲気がわかります。面白いので紹介しておきます。

 

tech.nikkeibp.co.jp

 

生産性 低いヤツほど カネもらう

ついに残業すらできない時代がやってきたなあ。

 

プログラム 作るは一代 直すは末代

末代の皆様がだんだん退職していくのが問題となっておりますね。

 

徹夜明け 障害去って また障害

ハードウェアもソフトウェアも、 昔よりはずいぶん堅牢になったと思う。

 

日経は ネタが切れれば アンケート

 ちょっと・・おもしろい(笑

 

くだらない 記事ほど長く 数ページ

今も変わってませーん。

 

 統計を 記者の思いで 非分析

国家レベルですから。

 

新概念 煽ってすぐに 批判記事

むしろ、外国からどんどん新概念が来るから、日本は批判もできなくなったね。

 

バックアップ 使いたい時 見つからず

これは今でも同じ。気を付けましょう。

 

パソコンも 単価も段々 安くなる

 最近はどっちも高くなってきたような。

 

残業を すればいいって もんじゃない

そうだそうだ!

 

 要件を 出すなら金も 出しやがれ

今もその傾向はありませすねえ・・。営業提案と言う名の要件定義。現場で調整と言う名の追加開発。

 

 タイトルで 誰が書いたか 分かります

あの人ならわかります(意味深

 

残業代 減らせというなら 人増やせ

いつの時代も同じだなあ。

 

SEと 聞こえは良いが 派遣業

 問題意識はみんな持ってますね。

 

俺俺と 上司の電話 やな予感

 いい連絡なんてまず来ないですね、今でも。

 

動かない 方がまだマシ 動くだけ

 お疲れ様です。

 

動かない これででれるぞ 記者の眼に

 爆笑。

 

素人も 名乗ればそれで エンジニア

 最近は競争が厳しくなってきたように思います。プログラミングを子どもに教える時代が来ていますからね。

 

トラブルが 無いのは使って いないだけ

いや~ん

 

 システムを 開発したから 運用者

 それが利益の源泉じゃないですかあ(白目

 

パスワード おぼえられずに 四苦八苦

 昔から悩みは一緒ですね。

 

スケジュール 前から引けよ いい加減

 ほんとにな。

 

アジャイルか 要求仕様も アジャイルか

 今年流行っているアジャイルはそうじゃありませんように・・。

 

 SEは暇か 川柳 大盛況

デプロイ中だの、仕様待ちだの、いろいろ待ち時間というものがありましてな。

 

悪法!と 心から叫ぶ ハッピーマンデー

 プレミアムフライデーは無視されましたが。

 

スパゲッティ 煮ても焼いても つながらず

 うまい。(スパゲッティだけに)

 

鬼瓦 「ありがとう」と 稼働日に

 経験者ならわかる、これだけで泣ける。

 

ドキュメント リリースしてから 書き始め

 あかんやつや・・。

 

人のバグ見て 我がバグ直せ 水平展開 なぜやらぬ

 金言ですね。

 

プログラマはタフでなければ生きていけない。残業しなければ、生きていく資金がない

 そろそろそんな時代も終わろうとしている気がします。

 

 

・・・と、過去を振り返ってみるとIT業界も、問題を抱えながらもどんどん良くなってきたような気がしますね。しがみついて生き残っている人はそれなりに充実感があるのでは・・と思います。