なぜツールは万能でないのか
昨日の記事にて、BackLogを使うと進捗会議もいらなければ議事録もいらない、と記載しました。賛同いただくこともあれば、いや、そうとも限らないというご意見もありました。
この正反対の反応、両方正しいと思います。なぜツールを使ってもうまくいかないケースがあるのかを考察します。
考察
若かった時、お金を貯めよう!と思って家計簿をつけようと思った時期がありました。
Excelで当初やっていたのですが、だんだん凝りだしてAccessを使ってちょっとした会計ソフトみたいにもなったのですが。すごくデータは溜まっていくのですが、お金は貯まらない(笑)。
最終的に、ハッと気づいたのですが、家計簿というのは見える化であって結局は自分自身そのデータを見て行動を変えないと、何の役にも立たないのですね。つまり、家計簿をつけるだけ、というのは、お金が浪費されていく様子を高解像度で見ていただけにすぎないということです。
家計簿をいくら振ってもお金は出てきません。
Backlogなどの進捗管理ツールも全く同じです。いくら使って見える化してもうまくいかないのは、進捗管理をさぼっていることを見える化しただけにとどまっているからだと思います。
私がBacklogの管理を「宇宙一厳しくすること」に、ヌーラボの方に反応頂きました。
宇宙一厳しい #Backlog 管理、ぜひ #JBUG でお話し伺ってみたい! / 進捗会議も議事録も使わずプロジェクト管理をする方法 - orangeitems’s diary https://t.co/eVdLMkIhGA
— Meggy🍫ヌーラボ (@Megumi_Isogawa) April 18, 2019
この厳しさこそが、ツールを使って成功させる秘訣です。行動に厳しさを伴わないツール利用は、ただただ、カオスを見える化するだけで、幻滅のもとです。我々はこんなに進捗管理についてルーズだったんだね、終わり。と。その結果、新しい進捗管理エクセルができるのがオチです。
どう厳しくするか
どのようにBacklogに厳しさを持ち込むか。具体的な例を挙げます。
スレッドに担当者を必ず入れること
担当者が空白でもスレッド作成できてしまうBacklogですが、禁止事項としています。完了(クローズ)にできないスレッドに担当者を付けておけば、ボトルネックが明確化できます。その人がプロジェクトを遅らせているのです。
かつ、そのオーナーは、上司だろうが社長だろうがお客様だろうが平等に設定します。プロジェクトにおいてボトルネックが起きる理由が、部下以外である場合があります。会議を催促の場にすると遠慮が生まれますし、会議までの時間を浪費します。担当者を明確化することでプロジェクトメンバーが平等に評価され、かつルーズな人が気圧されます。「ああ、自分のせいで遅れてるな」この感覚を参加者全員に持たせることが重要です。
期限を勝手に伸ばさないこと
私のプロジェクトにおいて、スレッドの期限が来た時に勝手に何の理由もなく、もしくは勝手な理由で期限を延ばす人がいます。めちゃ怒ります。理由は何だと。なぜ期限までに終わらないのかと。また事前に調整はできなかったのかと。
期限というのは「信頼」です。クレジットカードにおける支払日です。口座にお金がないからといって来月払う、ではクレジットカードは使えなくなります。
そうすると、期限をゆったり設定する癖が付きます。それで十分ですし、揉めたくないのでクローズしたい欲が生まれてきます。
一件一スレッドにすること
たまに議事録的に、たくさんの問題を一スレッドに書く人がいます。これは悪い使い方です。複数の問題を書くと、因果関係が生まれなかなかクローズできないスレッドになります。
期限管理も難しくなります。複数の問題の最遅の解決が「期限日」になってしまうので、期限日を迎えても延長することになってしまいます。
また、一件ずつにすると、完了までのプロセスが明確になりますし、距離が短くなるのでクローズの件数が物理的に増えます。
たくさんクローズすると仕事している感が出るので、いいことづくめです。
毎日見て、モラルハザードを防ぐこと
毎日見ること。見ただけではだめです。
・期限日過ぎそう
・担当者が入ってないスレッドがある
・スレッドの内容がややこしい
こんなモラルハザードの元になるスレッドをチェックすることが重要です。この仕事、これこそ「新人向き」なのです。
仕事の内容がわからなくても、上記はわかります。そして、オーナー(スレッドの担当者)が社長でもお客様でも指摘ができます。そして、プロセスを全部読むことになるので自然と何の仕事をしているのかわかってきます。
プロジェクトそのものがBacklogになるので、全部読んで理解することが副次的に働き、ベストプラクティスが身に付くのです。
引き続き、Backlogをお勧めします
私のBacklog好きは、実は過去のプロジェクトでお客様のプロジェクトマネージャーに教えてもらって学習したものです。きちんと管理されてみて感動したんですね。ああこうやってプロジェクト管理するのかと。また、そのとき多少ルーズな管理があったので、自分がやるときは宇宙一厳しくしようと思ったのです。
Redmineなど類似のツールはありますが、私はSaaSで使えるBacklogを愛用しています。ご検討ください。