orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

2つの退職エントリーを、客先常駐エンジニアだったわたしが読んで感想を述べるエントリー

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2つの退職エントリー

真偽はともかくも、何となく言いたいことが同じこの2つの退職エントリーへの感想文です。わたしも業界が長いのでリアリティーは感じるところです。

 

anond.hatelabo.jp

5年エンジニアとして務めた富士通を一昨年退職した。そろそろほとぼりも冷めたと思うので、書く。

真面目に書いている増田もいるが、僕は自分の半径5m以内で起こった幼稚な理由にフォーカスを当てる。

 

anond.hatelabo.jp

9年ほど勤めたNECを退職して1年が経った。

退職直後・転職直後は自分がなぜそのような行動に至ったのか冷静に書けないと考え、メモをとってあたためる程度にしていた。1年経った今、

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に触発されてメモを見直しながら振り返ることにした。一般化しようとせず、なるべく自分個人の事情を書き留めたい。

 

わたしの感想

前提条件

わたしは新人一年目から、(NECや富士通ではありませんが)大手のSIerのオフィスに長いこと常駐していました(しかも一つではない)。十数年働いて自社のオフィスにいたのはたぶん半年もありません。そもそも自社のオフィスに社員全員が入れませんし机もありませんでした。現場によっては帰社日みたいな制度を作って月に一回ほど自社オフィスに帰ってくる日はありましたが、わたしなんかはめんどくさいのもあり半年に一度ほどしか帰りませんでした。

わたしはもう思い出ですが、思い当たる人はまだたくさんいらっしゃると思います。IT業界は、このように、自社の社員を派遣や準委任で他社のオフィスに常駐させて売り上げを立てる会社がまだたくさんあります。

 

自社の社員すらいない環境

そこで面白い(面白くない)のがですね、自社の社員でチームを作って常駐するならまだいい方。わたし(二次請け)+自社の協力会社(三次請け以下)数名という構成もあったりして、自社の社員と全く会わない生活が続くこともあったのです。そうなるとどうなるか。わたしを評価する上司(とされていた人)が、わたしの仕事ぶりを全然見ていないわけです。じゃあどうやって評価するか。常駐先の顧客の評判です。もっと長くいてほしい、なのか、イマイチだねなのか。そういうわけのわからないモノサシで、かつ営業が顧客から聞いた情報などが廻りまわって、あいつ評判いいから昇進させよう、とかいう鉄火場のような世界にいました。

あと、もっとアホらしいのが、見たこともない自部門の業績によって、自分の評価が左右することです。現場の顧客にはかなり高い評価を現場では受けているのに、自部門の社員の空き工数が余り気味で収益が良くない。そうすると、自部門の評価が低いので自分の評価が丸められてしまう・・ってどういうことやねん。自部門の同僚の顔すら知らんぞなもし。

 

まだ、まし

そんな環境に長らくいたわたしが、2つのエントリーを見て思うのは、まだ自社に机があって、自社の上司から評価を受けフィードバックがあるだけ「まし」ということ。そして、事業説明会があって目標があるだけ「まし」ということ。下には下があると言いますが、わたしが長らくいた環境と比べてもぜんぜんいい方に見えます。事業説明会どころか、なぜわたしが常駐先に行って何をするべきか担当営業から告げられるだけ。あとは行ってからのお楽しみ・・、でした。また、自社の上司らしき人から半年に一度喫茶店に呼び出され雑談していたのですがあれが多分フィードバック的な儀式だったのだと今になって思います。たくさんわたしも話したのですが多分に念仏にしか聞こえなかったでしょう。だって現場をその上司は知らないのですから。

 

協力会社の人たちはもっと大変

そういえば、わたしと、わたしの会社の協力会社の人たち(三次請け以下)と常駐してたと書きましたが、その協力会社の人たちって、わたしが評価を上司に話し、そこから協力会社の営業へ評判を流すみたいなもっとわけのわからない様子になってましたね。

地獄ですね。

 

フレックスって何それおいしい?有休ってどうやって取るの?

だいたいフレックスだって、他社へ常駐している場合は9:00~18:00の契約で月の工数で時間精算、かつ業務に穴を開けてはいけないなどという体で縛ってきますから、自社の社則なんてないようなものです。常駐先の社則でもない。休暇を取ろうものなら、「彼は勤怠が良くないね」みたいな悪口を自社の営業に告げ口され、最悪は「チェンジ」させられるような環境に長くいたわたしからすれば、フレックスで早く帰る常駐先の社員を見て「・・ええな・・」と思った若いころのわたしを思い出しました。

今は考えられないですが、常駐の現場で有休休暇を使うことは本当に稀も稀でした。健康でしたし。

 

名ばかり管理職

繰り返しますがそんな鉄火場みたいな環境で、それでもある程度生き残った人は昇進させるんですけど、その結果管理職になるんです。わかりますね、名ばかり管理職です。部下なんかいません。相変わらず客先にいて、燃えている現場だと残業もそれはたんまり発生するのですが、管理職扱いなので残業などつきません。あらひどい。昇進させておいて残業代削るとかありかいな、みたいな思い出も、あります。

 

まとめ

今は上記の環境(会社)を離れて満足して仕事をしているわたしですが、2つの退職エントリーを見て思うことのまとめ。

「神様たちが天上界でもめている声が聞こえる。」

客先常駐でかつ二次請負(もしくは三次請け以下)なんてこの悩みに参加すらできないんです。人の会社ですからね。とは言え、わたしは大手のSIerに潜り込んで、彼らのナレッジベースを読んだり、社員の言動や動きなどを見たりして学びました。大手SIer独特の大きな責任も背負わず成長はしました。だから、客先常駐を絶対悪とも思いませんが・・・。悩みの内容が「自社の悪い点」でしたから、そもそも自社に物理的にもいられず、自社の人間とも絡めず、社長とも十何年いて一回しか会えなかったことを考えると、まだ恵まれているよ、大企業でも自社なんだから、変えようと思えば変えられるかもしれんし。と思いました。

大企業でも中小企業でも、自分自身がイニシアティブを持って改善していける環境がいい環境、ということでしょうね。黙っててもいい環境なんてないと思います。変えていけるのがわたしの理想です。