orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

テレワークの一番ダメなパターン。「仕事の持ち帰りができるようになった」

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テレワークが業務を効率化していない

RPAやAIなど非生産的な業務がどんどん効率化される中で。

いくらなんでもこれは効率化ではないと断言したい記事を書きます。

 

www.watch.impress.co.jp

一般社団法人日本テレワーク協会は2月21日、優れたテレワーク制度を導入する企業や団体を表彰する「第19回テレワーク推進賞表彰式」を開催した。最高賞である「会長賞」には、教育クラウドを構築し、教師の働き方改革を推進した愛媛県西条市が受賞。テレワーク推進賞において教育分野の取り組みが評価されるのは、同市が初めての事例となった。

 

とてもすがすがしく、テレワークによって教師の働き方が効率化した「かのような」文章ですが私はこういうレトリックが大嫌いです。

なぜ、そう思うかを次章でご説明します。

 

おかしい

個々の文章に対して指摘していきます。

 

西条市教育委員会 学校教育課 副課長兼スマートスクール推進係長兼教育CIO補佐官の渡部誉氏は、「介護や育児のために教師を続けるのが困難な者もいて、教師の働き方をなんとかしたいと考えていた。決して、持ち帰り仕事を勧めているのではなく、自宅でも仕事ができる環境を整備することで、教師の負担軽減につなげたかった」と語る。

この文章。

自宅でも仕事ができる環境を整備する=教師の負担軽減

という表現、ここから全てが誤っています。

家で仕事をする環境を整えたとして、これは決して負担軽減ではないです。私もクラウドに深く関わり、テレワークでどこからでも仕事ができることのメリットはわかっているつもりです。最近ではスマホでVPNに接続することで携帯の電波があればほぼなんでもできます。オフィスが必須ではなく、集中したいときやチームで仕事したいときはオフィス、外出しても急用があれば外でも作業しチャットで会話するなどその便利さは知り尽くしている方です。

しかし、自宅で仕事ができる=負担軽減なんて、ブラック企業一直線の思想です。

精神衛生上、自宅では最低限の仕事しかするべきではありません。私の仕事であれば、障害対応等社会的影響の大きいミッションクリティカルな業務です。それ以外は、しっかり休むことこそ仕事だと思います。

特に、家で仕事をするときの家族の負担たらないです。「仕事してるから静かにして」なんて言われようなら家族まで巻き込まれます。これが負担軽減だなんてとんでもない。

 

渡部氏は、教師の安全な持ち帰り校務を実現するために、パブリッククラウドはMicrosoft Azureを選択したという。

教師の安全な持ち帰り公務って・・。

むしろ持ち帰らなくても公務が完結する業務改善こそ必要ではと思いました。

発想として、パブリッククラウドの種類が何であろうと、持ち帰り業務の数を減らすことのほうが安全につながると思います。

 

日常的にテレワークを活用する教師もいれば、週末のみ、成績処理のみという具合に限定的に使う教師もいる。それぞれ好きな形で活用し、テレワークの利用時間帯は夜9時〜10時、朝6〜7時が一番多いという。

むしろ、「どこでも残業」っていう名前にした方がいいと思います。

 

西条市では教育クラウドやテレワークを活用して、どのような効果が得られたのだろうか。

渡部氏の説明によると、校務にかかる時間を教師一人あたり年162.6時間削減することに成功した。さらには、教職員が児童生徒と向き合う時間が増えたことで、全国学力・学習状況調査の結果が11.0ポイントも上昇したという。教師からは、「介護のために休職をしようと考えていたが、テレワークのおかげで救われた」「子育て中で残業しづらく、家で好きな時間に仕事ができて助かっている」「重要なデータを持ち出すことなく、安心して家で仕事できるのが良い」といった好意的な声が届いているという。

 なぜテレワークにすると、校務にかかる時間が減るのでしょうか。年162時間ということは、月に換算すると13.5時間。20労働日だと一日40分くらいの短縮になりますが、本当に残業として教師が申告しているのか疑わしいところです。

学力調査は本当に有為な結果なのかわからない。

介護のためのテレワークはアリでしょう。一方で、家で残業する親が子育て中に帰ってきて、子供にいい影響は私はないと思います。子供は親に、家ではゆっくりしてほしいと私なら思います。

重要なデータを持ち出すことなく‥と言いますが、試験の紙は家に持って帰るでしょう・・とも思います。

 

西条市副市長 出口岳人氏は、今回の受賞について「テクノロジーを用いることで、地方でも質の高い教育環境を実現できたことが評価されたと思う。個人的な意見ではあるが、テレワークをさらに推進していけば、産休などの間に週2で働くといった働き方も可能ではないかと考える。長く教師を続けられるよう、多様な働き方を広げていきたい」と語った。

 繰り返しますが、テレワークとは業務時間の仕事の在り方を柔軟にし効率化することであり、家に仕事を持ち帰らせるものではないと強く思います。

家の電話代や通信料、働く場所の確保、家族の負担・・。テレワークの負の部分をあたかもいいことのように書いているレトリックがたまらなく嫌なのです。

 

教育・医療分野に人を・・

自治体中心にRPAによる効率化がどんどん進むと思いますが、職員の時間が余ったら、ぜひ教育分野、あと医療分野へ転用してほしいなあと思います。

こんなニュースばっかり目について、世の中どうなっているのかと。。。

 

www.nikkei.com

 

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