orangeitems’s diary

クラウドで働くエンジニアの日々の感想です(ほぼ毎日更新)。

RPA導入後のオフィスはこうなる/RPAは管理職必修スキルへ

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たくさんの現場でRPAがブレイク

RPAを導入したら業務にかかる時間が9割削減された--。そんな見出しのニュースが氾濫しています。

 

www.itmedia.co.jp

長野県は、富士通のRPAツール「Axelute」と公共工事の設計・積算業務支援ソフト「ESTIMA」を活用し、行政事務を効率化する実証実験を実施。RPAでは作業時間を最大88%削減するなどの効果を確認した。職務を単純作業から付加価値の高い作業へシフトさせ、行政サービスの品質向上を目指す。

 

japan.zdnet.com

ジャパンシステムは3月19日、熊本県天草市と共同で自治体業務にRPA(ロボティックプロセスオートメーション)を適用する実証実験を実施したと発表した。

 その結果、公共料金関連業務(管財課)で稼働時間の削減率が52.4%(6.9勤務日数相当)となり、健康診断関連業務(健康増進課)では77.5~87.1%(13.6~26.6勤務日数相当)の稼働時間削減が確認された。

 

japan.zdnet.com

マルエツは、NECのRPA(ロボティックプロセスオートメーション)製品を導入し、本部経理の交通費精算業務と会計システム入力業務を自動化した。NECが2月20日に発表した。

 2018年4~6月まで実施した実証では、交通費精算と会計システム入力の2つの業務について、月間200時間掛かっていたところを20時間に削減できた。また、会計システム入力業務では、複雑な作業のため発生していた社員教育の負担を軽減した。

 

共通するのは「業務削減率90%」と言う桁外れの数字です。そこに人がいたのは間違いないのですから、そろそろ、宣伝文句でも無ければ絵空事でもないことを日本の誰もが認識すべきだと思います。

 

導入に成功した職場の様子

とても象徴的な写真があるのでご紹介したいと思います。

 

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引用元:DIAMOND online「ロボット導入で人員1/10も、あいおいニッセイ同和損保の災害対応が劇的効率化」より

 

上記は、あいおいニッセイ同和損保保険が昨年、台風被害が拡大し支払事務が爆発的に拡大した時期の際、RPAを自動処理する会議室を構築した際の様子です。

元記事を読んでいただくとわかりますが、すべての業務が9割削減されるわけではありません。500人の増援スタッフの横に構築したのがこの設備です。RPAは魔法の杖ではないので、導入に適切な業務を見極める必要はありますが、見極めができて導入が成功したときの絵は刺激的なものがあります。パソコンがいっぱいあるのに、人はまばら。でもどんどん仕事をこなしているのです。その人は仕事を直接するのではなくRPAの動作を管理しているということになります。

つまり、定型業務を大量にこなす必要のある職場は、具体的にこの写真のような景色になるのが必然ということになります。

 

管理職はRPA必修の時代へ

これまでの管理職の定義はこのようなものでした。

 

www.kushida-office.com

労働基準法が定める管理監督者とは、「労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な関係にある者」をいいます。それは、部長、店長、工場長などの名称ではなく、実態で判断されます。

厚生労働省の通達(S63.3.14)で示された、管理監督者に該当するポイントをまとめると、主に以下の3点となります。


管理監督者に該当するための3つのポイント

1.職務内容、権限、責任

労務管理について、経営者と一体的な立場にあること

2.勤務態様、労働時間管理の現況

労働時間、休憩、休日等に関して厳格な規制を受けず、自己の勤務時間について裁量性が認められていること

3.待遇

賃金などの面で、一般労働者と比較して、その立場に相応しい優遇を受けていること

 

このように労働基準法では、一般の労働者とは区別して「管理監督者」という存在が定義されています。経営者と近い立場で裁量を持たされていて勤務時間が拘束されないということを一般的に、「管理職」と言いますよね。

昨今のRPAブレイクと上記の写真を見ると、今後管理職は、人だけではなくRPAも管理するスキルを持つことが必須になってくるのではないかと思うのです。

これまでは、人を管理する、という概念だけが重要でした。自分がどれぐらい部下がいて、どれぐらいの仕事量を生み出すかが管理職としてのポテンシャルでした。自分がどれだけ仕事ができても組織で大きな結果を出せなければ、管理職としては評価されない。いろんな組織でそんなことをたくさんの人が言ってきたでしょう。

でも、RPAがこれだけ一般化してくると。人間の仕事の10倍の量を労働時間にこだわらずこなし続ける部下がいるようなものです。でも人間ではないのです。そうなると莫大な結果を一人の担当者が生み出すことができるようになります。

また、RPAの使いこなし方によっては、結果が出ない人もいるし、トラブルだって起こす人もいます。そうです。会社の部門と何ら変わりはしないのです。部門長によって結果が大きく左右されるから「管理職」とは特別な職制であり、優遇されるのです。ということは、部下が人であろうとRPAであろうと、その群を管理する責任を持った人は経営に対して近い役職であることと同じ意味になります。

RPAの活用が一担当者任せではうまくいかないのは、この観点です。管理職こそRPAのスキルを今後持たなければいけないし、逆に置き換えられる人間側に属するのがまずい明確な理由となります。管理職がマネジメント研修を受けるのと同義に、RPA研修を今後受ける必要が生まれるでしょう。そして大きな業務をこなすときに、どのような仕事を人に任せ、アウトソーシングを行い、そしてRPAをどの部分で使うか。そして会社に横断的にRPAをガバナンス(統治)する部署がある。こんなふうに今後、組織が変革されていくのが目に浮かびます。

RPAに特化した管理職スキルもあれば、仕事をこなす主体がRPAなのか人なのかを見極めることも重要。管理職スキルはRPAと今後切っても切り離せなくなると思います。

 

RPAを使う「繰り返し仕事」はなくならない

最後に、この9割の仕事を消せるRPAの話題となると、必ず「そんな仕事はもとから削減すべき」という話が出てきます。しかし私がいろいろな現場を見てきた限り、どんなにシステム化を進めたとしてもどこかで繰り返し仕事は発生します。それが定常的であり永遠に続く仕事であればシステム改修の話となるのですが、上記のように一時的に大量に発生した仕事の場合、システム化していたら間に合わないかもしれません。

横浜市の例では、メールアドレス作成の仕事も不定期ですし、勤怠システムから労働時間を抜き出す仕事も月初の作業でしょう。このように、システム化したときの効果測定がしにくい仕事が「残念な繰り返し仕事」として各職場ではびこっているというのが現実ではないでしょうか。

こんな仕事に対してRPAは即効性があります。その時しのげればいいのでしたら、力業だけれども自動化によって効果10倍。当然の帰結であろうと思います。そして、そんな仕事は思いのほか多いのです。

RPAスキルを持つ管理職が従来の管理職を駆逐する。そんな未来が見えます。