アクセスはしたい。でも自分の存在を知られたくない。
インターネットをいかに安全に利用するか。
自分とサーバーの間には通信路があるのですが、この間に何者かが介在して盗聴されるかもしれない。特に公衆の無料Wifiなど、運営者が100%信用できない場合にはリスクが増加します。
また、サーバーの運営者に対してもできれば匿名でアクセスしたいという動機もあるのかもしれません。
動機は色々あると思いますが、とにかく安全にアクセスしたいという要望は強く、その中でもVPNアクセスに興味を持たれている方は多いのではないでしょうか。自分とサーバーの通信路の手前にVPN(仮想プライベートネットワーク)を構築し、自分の存在を隠してしまうという仕組みです。
今日、気になるニュースを目にしました。
ノルウェーのOpera Softwareは現地時間3月20日、「Android」版の「Opera 51」の提供を開始した。この最新バージョンには、無料のビルトインVPNサービスが追加されている。これにより、公共Wi-Fiネットワーク使用時にセキュリティを確保するために、サインインしたり、追加のアプリをダウンロードしたり、追加料金を支払ったりする必要がなくなる。Operaによると、この機能を利用することで、ユーザーは自分のオンラインプライバシーをより強固に管理できるという。
一見良いことばかりなのですが、本当に安全なのでしょうか。
Opera 51は今のところ日本ではまだダウンロードできませんが、ベータ版(51.0.2461.137246)にてこの機能が使えるので実際に利用して確認してみたいと思います。
手順
私は今Android 9を利用しているのですが、久しぶりにOperaをダウンロードしてみたらUIが結構洗練されていて驚きました。
さて、このVPN機能ですが、とても設定が簡単です。
右下のオペラアイコンをクリックし・・。
設定を選び・・。
VPNをオンにするだけです。
ただし、プライベートタブだけがVPNの対象になることが重要です。
タブを開くときに、プライベートを選んでWEBを見るようにしましょう(プレイベートタブはスクリーンショットすら取れないので画面は省略しますね)。
VPNサーバーってどこにあるの??
このOperaブラウザがVPNセッションを確立したらどんなIPアドレスで、どこから出て行っているのか気になりませんか?
ということで、実際に試してみました。
私の持っているWEBサーバーに、VPN+プレイベートタブ経由でアクセスしてみたのです。IPアドレスを引っ張ってきて、その所有者や地域を調べてみました。
本当はアクセスログやIPアドレスをさらすと信ぴょう性が高そうですが、個人のブログではやめておきます。IPアドレスの場所確認は、「IP Address Location」でぐぐると、たくさんサイトが出てきますので複数で確認しました。
結果
スウェーデンのようです。Opera Software ASというISPが保持していているように見えます。アクセスするたびにスウェーデンのProxyサーバーが代理でアクセスを行うので、どうしても日本からアクセスすると遅くなるだろうと思います。
また、最終的にスウェーデンから出ていくのは分かるのですが、VPNのトンネルの受け口もスウェーデンにあるかというとそれは、パケットキャプチャーを取らないと分からないです。でもそこまですることもないかなと思いここは不明としておきます。
まあ、VPNの入り口と、プロキシを遠くに置くことは考えにくいので多分にスウェーデンに一緒にあるんじゃないかな・・、と思いました。
また、入り口もスウェーデン、出口もスウェーデンだけど、その経路がスウェーデンのみという保証は何もないですよね。これはもうOperaを信じるしかないという話です。
気になること
Operaは、2016年に中国資本が入ったということ一点です。
中国企業のつくるグループがノルウェーのオペラ(Opera Software)からウェブブラウザ関連などの一部事業を約6億ドルで買収することになった。両者が合意していた完全買収の計画が頓挫したことを受けての動きという。
そのあと、NASDAQにIPOを果たしたり、非公開で資金調達したりと、資本も複雑になっています。
Operaは、IPOと同時に、Bitcoin採掘用コンピュータメーカーのBitmainとしても知られるTospring Technologyや、IDG Capital Fund、IDG Capital Investorsから非公開の資金調達ラウンドで6000万ドル(約66億6100万円)を調達した。IPOを引き受けた金融会社には、新たに15%相当の株式(144万株)を公開するオプションが付与される。
今回のVPN設定も、中国経由だったらアレだなあと思っていましたが、そんなことはないように見えます(ただトンネルの中がどうなってるかまでは全然わからないですが)。
まあ、スウェーデンだろうが中国だろうが、ホテルの無料Wifiなんかよりはよっぽど安全な気もするのですが、宣伝文句に乗って手を出す前に、その運営企業のバックボーンや技術背景はきちんと押さえた方が良い‥と思います。