値段の話
物には値段というものがありまして。
仕事をしていると、お金って何だろうと思うことがよくあって、その話をします。
例え話
例えば、ニンテンドースイッチの人気ゲームがあるとします。
店頭で10,000円するとします。すると、
「高いなあ・・」
となり、しばらくすれば安くなるかな?と思って買いません。
では、しばらくして、5,000円になったとします。
半額なのですが、何となくプライベートも忙しいし、買わないという判断をしました。
もっと時間が経ったら、1,500円になりました。
それでも買いません。
10円でワゴンセールになっていました。
でも買いません。
このときわかることは、10,000円のときに遊ぶかどうか迷ったゲームだけれども、10円になったとしても買わないということですね。
で、0円無料!、となっても私はおそらくやらないんでしょうこのゲームは。
このゲームは0円なのか
このとき思うことは、このゲームは私にとって1円の価値もないという残酷な現実です。ということは、私とこのゲームの間で、値付けなど全く意味がないということになります。
仕事で、物やサービスを考えて値付けをすることがあります。この値付けって、誰に向かって行うかを考えないと意味が全くないのです。今あなたが持っている物やサービスは、売ろうと想定している人たちにとって0円なのかもしれません。
一方で、10,000円どころか、百万円出してでも買いたいという人もいるかもしれません。その時、私の前では0円のものが、別の人の前では百万円なのです。
あれ、このゲームは0円なんでしょうか、百万円なのでしょうか。
思い込み
ところで、「売りたい人」の範囲が、何かの思い込みで狭くなっていませんか?。
このサービス、作っては見たけれど全然使われない。価格を下げてみようか。この思考法って、結構危険だと思いませんか?。なぜ使われないのかは、値段が高いのではなく、ぜひ使いたいと思う人に伝わっていない(リーチできていない)からだと思いませんか?
結構、商売をやる人がやりがちなこととして、「原価に数%の利益を乗せて価格を決める」と言うことだと思います。これって、損していませんか?
買いたい人が思っている適正な値段って、原価では決まらないのです。
本当に欲しがっている人が、お金と交換して手に入れたい価値。これを想像できないと、手に入るお金をまざまざと手放してしまうことにほかなりません。
勝手な思い込みでお客様を決めて、売れなければ値段を下げる。そうやって商売がうまくいかない人がたくさんいます。
一方で、広告費にたくさんお金をかけて、幅広く伝える(リーチを広げる)という戦略もあります。幅広くリーチしても結局は売れず、大量の広告費が圧迫し商売は失敗、そんなことだってあります。これも逆の思い込み。買いたい人などはじめからいなかったのです。
もっと進んで、マイナスの値段では
混乱するかもしれませんが、2,000円あげるからこのゲームをやってほしい、として売ったらどうでしょう。価格は-2,000円ですね。マイナスです。こうすると、いっぱい売れるかもしれませんね。だってゲームはできるし2,000円もらえるし。
でも、やりたくないゲームを2,000円もらってまでやりたくないというのもあります。
こうなると、ものの値段はマイナスになった途端に意味が変わってくると言えます。リーチできない人にまでお金の力でリーチし、その経験を持って顧客になるかもしれないという価値を、売り手が買うということになります。
Paypayがまた100億円配るという話をしていますが、これも似たような話ですよね。無料でも使わない層に使わせるために、お金を配る。そうすることで得られるものがPaypayにはあって・・そう考えると、値段というものは実はあってないようなものなのかもしれないなあと思うわけです。
ステルス値上げ
今週話題になった「ステルス値上げ」ってありますよね。
パッケージは同じだけど、中身が少なくなっているというやつです。
これって、ポテトチップスでいえば、「百円で買えるポテトチップス体験」が良く売れるということであって、買い手は100グラムのポテトチップスが欲しい、ということではないということになりますよね。
100グラム欲しいんじゃない、100円分欲しいんだ、と。
だから、ステルスでも何でもない気がします。100円のポテトチップス、が100円の価値があるのであって。
もし100グラム欲しいのであれば、二袋買えということです。
消費者は騙されないぞ、とよく言われるのですが、中身が減っていることなど分かっていて、それでも消費者が「一袋100円」をよく買うから企業側が付き合っているだけと言うことになります。
コンビニでは、比較的「値段にこだわらないからおいしい方がいい」層が多く、一袋200円みたいなものも売ってますね。ちなみに私、これ好きです。
工数で値段を見積もらない
ということで、なんでこういう話を書いているかと言うと、私の作る見積は高いとたまに営業サイドに言われるのですが、そんなことないよという根拠を整理するためです。
工数で見積ればそりゃあもっと安くだせるけど、欲しがっている人はもっと高い値段を出してでも欲しがるよねという感覚であり、かつ売れるので間違いないです。むしろそれより安い値段で出したら、高く買ってくれる既存客に失礼だと思っています。
ただ、ずっと永遠に価値が保たれるとは限らないので、新しい物やサービスに興味を持ちつつ、高い値段をつけられる商売を常に目指さないといけないな、というのもセットですね。
値段というもののイメージについてまとめました。
※追記
ちなみに、「どこぞの誰かが同じような自分と同じようなサービスを出してきて、半額だ」ってなったら、そりゃあ半額の値段の方が正しいですよね。本当に同じであれば。そうなると競合との価格争いになってくるので、早めに違うサービスを作って脱出しなければいけないということになります。
ただ、無理しているだけかもしれないし、同じだと思ったら全然違う、となる場合もあるのでそのあたりの見極めは大事です。