orangeitems’s diary

40代ITエンジニアが毎日何か書くブログ

人材不足は高スキルのみ、RPAで就職氷河期がやってくる

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大企業中心にRPAを活用し工数削減実施中

RPAは繰り返し作業の自動化という色彩が強いので、大企業に最適と言われています。確かに中小企業であるスタッフの作業を自動化したところで、一人分は一人分なので導入費用の方が高くつくくらいです。でも、大企業では一つの業務に数十人、数百人といったスタッフが同じ業務をしていることもざらであり、これらを自動化すると単純計算で何万時間の工数が削減できてしまうことになります。

・・ということが、もう本当にいろんな大企業で起こっているのです。もうそろそろ、RPAなんて一時の流行でしょ・・と言っている場合ではなくなっていることを話題にした方がいいと思います。

生産性が上がるならイイネ!、なんてのんきなことを言っている場合ではないです。というのは、その削減した時間分の労働力は不要になるということであり、そのあと待っているのは人手不足、ではなく人余りだからです。

本当に大企業が、時間削減を行ってしまっていることをまとめてみました。

 

 

実例7つ

1) キリン

newswitch.jp

キリン(東京都中野区、磯崎功典社長、03・6837・7001)は国内グループ各社でRPA(ソフトウエアロボットによる業務自動化)を本格導入し、2021年に年9万時間の業務削減を目指す。

試験的に経理や調達部など5部署で導入し、18年末までに業務削減の効果が確認できたとして、19年からの新中期経営計画に合わせ本格導入を決めた。19年は7部署を追加し約20業務でRPA導入を進める計画だ。

19年に導入するのは営業系、工場、品質保証などの7部署。各部署で業務システムを使った各種の登録、帳票の更新、データ集計といった単純作業を中心にRPAに置き換える。

 

2) 損保ジャパン

www.itmedia.co.jp

  こうした取り組みを通じ、2018年12月末時点で約110の業務をRPA化し、年間ベースで約43万時間の効果を生み出したという。RPAを導入する部署や業務は広がり続けており、2019年3月末までには、約60万時間の創出を見込んでいるそうだ。

 

3) 横浜銀行

www.itmedia.co.jp

2020年3月までに約300業務で年間20万時間以上の業務量を削減する――横浜銀行がそんな目標を打ち出している。同行は2017年からRPA(Robotic Process Automation)を導入し、それまで手作業で行っていた定型業務を自動化する取り組みを行っている。17年10月の本格導入から約半年間で、5業務を対象に5000時間を削減するという“スタートダッシュ”を決め、社内でも好評という。

 

4) 茨城県庁

japan.zdnet.com

茨城県庁では、4種の業務に絞ってRPA(ロボティックプロセスオートメーション)の実証実験(PoC)を実施。その結果、対象業務に掛かる職員の労働時間を86.2%削減できることを確認した。(中略)

 庁内で類似する40種類の業務に適用した場合、年間4万6000時間を削減できると推定している。

 

5) 三井住友銀行

www.sbbit.jp

2017年4月から中期経営計画にもとづく業務改革に取り組んでいる三井住友銀行。同計画では、2020年3月までに500億円の経費を削減することを目標に掲げている。その効率化の中核をなすのが「RPA(Robotics Process Automation)」だ。2017年度末には「約700業務、110万時間」を削減。同行ではRPA導入の効果を最大化するため、帳票読み取り業務の効率化に着手。2019年度までに「300万時間、1500人分」の余力捻出を目指している。その原動力となるソリューションを紹介する。

 

6) NTTコミュニケーションズ

japan.zdnet.com

NTTコミュニケーションズは、RPAソフト「UiPath」を調達部門に導入した。業務時間の約30%、年間で約6万時間の削減を見込んでいる。UiPathが9月25日に発表した。
 2017年2月に運用を始め、13の業務プロセスでロボットの開発に取り組んでいる。当初は、対象業務を人間とロボットで半々に振り分け、問題がないことを確認した上で完全移行するステップを踏んでいる。現在は13のうち6つの業務で開発を終え、残りの7つの業務で開発を進めている。

 

7) あいおいニッセイ同和損保

www.itmedia.co.jp

同社では今後、自動化によって2021年度には約138万時間分の「余力」を全社で作り出し、新たな業務やサービスに注力したいとしている。また、現在紙をベースに行っている業務のデジタル化を進め、年間約1200トン分の紙を削減するという。

 

考察

7つの例を挙げました。ここまで同時に複数の例が上がるということは、見えないだけでどこの大企業でも実施しているということです。また、国・地方自治体も公務員をたくさん抱えているので同様に取り組んでいることでしょう。

この大量に削減した仕事にアサインされていた人達はどうなるんでしょう。

 

経営の言い分はおしなべてこうです。

 

www.sbbit.jp

RPAが注目されている背景には、「働き方改革」にともなう長時間労働の抑制、業務効率化による生産性向上、さらに深刻な人手不足があるのは言うまでもない。無駄な業務をRPAで自動化し、単調でストレスの多い業務から従業員を解放してクリエイティブな業務にシフトしてもらう。それによって働きやすい環境を作り、人手不足を解消し、企業全体の生産性を向上させようとするのが、RPAを導入する企業に共通した考え方だ

 

・・と、あたかも従業員ファーストのようなことを言いながら、実際はクリエイティブな業務って何?ということになります。そして、まだ雇用中の従業員はまだ良くて、新規採用は大幅削減ということになります。

 

japan.cnet.com

低価格を実現する上では業務効率の改善が必要であり、そのためにRPA(Robotic Process Automation:業務の自動化)を積極導入することで、人員削減を推し進める考えだ。

 

www.nikkei.com

荏原は標準ポンプ事業に営業支援クラウドソフトやRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を導入し、営業人員を約2割減らした。余剰人員は人手の足りない別事業部に配置転換する。汎用品の標準ポンプは価格競争が激しさを増している。同社は標準ポンプを含む風水力事業で2018年12月期に100億円の営業利益確保を目指す。

 

blogos.com

──三井住友銀行では17年秋、3年間で4000人分の業務量削減を発表しました。多くの人員が不要になるということでしょうか。

肝心なのは「4000人」削減ではなく「業務量」削減だという点です。よく誤解されますが、単に人件費削減のためのAI導入ではありません。むしろこれまで膨大な事務作業で忙殺されてきた行員の負担を減らすため、そしてより創造的な業務についてもらうための布石なのです。

 

もう、確実に言えることは、昔ながらの一般職の就職口は大企業に関して言えば限りなく小さくなるということです。少子化により新卒の人数は減っていくものの、それにも増して既存の一般職がどんどん転用されていきます。人手不足と言われている高スキル部門は人材転用して充足しつつ、何もスキルのない新卒で一般職を希望していた層は急激に選択肢が狭まることが予想されます。

少子化や働き方改革による人手不足、また、ゆるい好景気の雰囲気により世の中ではまだ話題になっていないですが、確実に状況は変わっています。学生はできるだけ専門的な勉強や研究を行って、単純作業中心の業務ではなくクリエイティブな業務へ適応できるように準備を行うことをお勧めします。

また、自分の業務に、RPA要素、つまり大量の単純作業・繰り返しが含まれている場合は、自分から他の仕事に移る準備を今から進めることをお勧めします。いずれその時は来ると思って間違いないと思います。