orangeitems’s diary

クラウドで働くインフラエンジニアの日々の感想です(ほぼ毎日更新)。



RPA/AI活用で業務の90%が自動化したら日本人は幸せになれるのか

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RPAと自動化の関係

RPAで業務の90%は自動化されるそうです。

 

japan.zdnet.com

RPAやAI、データ分析をはじめとする先端技術を業務の随所に組み込み、業務処理の見直しと再設計を進めることで業務の運用を高度化する。同社ではこれを“インテリジェントオペレーション”と呼ぶ。「執行系業務の圧倒的な省力化で90%の自動化を目指す」(執行役員 オペレーションズ本部 統括本部長 伊佐治光男氏)

 

執行系業務といえば社長直轄部門で、本社業務と言えます。大きい企業であればビルごと執行系業務で、階ごとに部門が分かれていてエレベーターが忙しく動いているんでしょうね。この90%が全部機械化すると想像すればわかりやすいと思います。

 

人がいなくなる本社ビル

この記事を見て思ったのは、これが実現されたとして、オフィスは論理的には90%の人員がいなくなるだろうということです。手が空いた9割の人はRPAではできないもっとクリエイティブな仕事をすればいいと言うのがRPAを広げたい人の言い分ですが、それは詭弁です。なぜなら、今から会社を作るとしたらRPA前提で作るので、初めから少人数しか雇わないはずです。少人数で普通の会社の10倍の執行系業務を回す会社があったら、RPAを使わない生産性の低い会社は競争に負けてしまうでしょう。だから、90%の人はRPAができない現場の仕事に回されるか会社に居場所がなくなるかの2択です。

私は1990年代後半から2000年過ぎの就職氷河期に、派遣社員の制度が緩和されそのときに政治家が「規制緩和!」「セーフティーネット!」「働き方に自由を!」なんて甘いことを言って日本の終身雇用制度をメッタメタにしたのをよく覚えています。その結果が現状です。派遣社員制度は格差拡大と切り捨てのシンボルとなっています。負の側面から目を背けてはいけません。RPAは経営者にとってはメリットですが、大部分の労働者にとってはデメリットが多い仕組みです。労働する理由がなくなるというシンプルな話です。

これはRPAを否定しているわけではありません。負の側面の手当てをしないと、不幸な人々が大量生産されるということを言いたいのです。企業がグローバル化し、日本企業も本社を外国に移してまで延命しようなどという話まで聞こえてきます。日本人が豊かに幸せになることとは逆行してまで企業が生き残りを図るとして、国の基礎である国民が不幸せになってしまったら元も子もないのです。

 

RPAがホワイトカラーを駆逐する

話を元に戻します。

RPAが今後ホワイトカラーの仕事場を侵食します。敵はRPAを導入するベンダーではなく、スタートアップ時からRPAを導入し圧倒的な生産性を手に入れている競合企業です。それは日本企業ですらないかもしれません。手を付けないとジリジリ負けていくだけです。ある種の産業革命が起ころうとしているのです。

しかし勘違いしていけないのは、社会全体がどんどん生産性が高まっていくと、一人当たりの給与水準が上がっていくのではありません。RPAを操る一握りの企業およびその関係者に富が極端に偏っていくのです。その輪に入れない多くの人々が余っていくのです。余ったら消滅するわけではなく、人々の生活と幸せが保証されなければいけません。もし外国に物やサービスを売るから、日本の人々が余ろうがどうしようが知ったことではない、と言う人々すら出てくるでしょう。

大事なポイントとして、社会が大きく変わりうるテクノロジーが現実にRPAという形で現れたということ。またそれによる社会変化を今のうちシミュレーションしないと社会が混乱に陥る可能性があるということです。

 

都会が変わる社会が変わる

東京を歩くとわかるのですが、本社ビルがやたら多いです。執行系業務が東京に集中しているのですね。ということは、RPAがもし90%の執行系業務を減らしたらどうなるでしょう。そうです。東京のオフィスビルの90%は空きになるということです。東京に通っていた大部分の人たちは通勤すらしなくなります。不動産価値は暴落するでしょう。隣接する商業地も不景気に陥るでしょう。

「いや、違う。残り90%は別の企業を作る。結果的に会社数が10倍になり経済が10倍に伸びる」、そういう計算も可能ですが日本にそんなに会社はいらないでしょう。競争も10倍になるわけで現実性が感じられません。

その余った人々が都会が不要となったときどこに移り何をもって労働とするか、実は大きな社会問題が「執行系業務90%自動化」の後には待っていると思います。

貨幣を基礎とする「価値」は社会情勢によって大きく変わっていきます。RPAが大きく普及した後は、実は農業や漁業に価値が移っていくかもしません。もしくは、労働時間が大きく削減され少ない仕事をシェアするようになり、余暇のアクティビティーの価値が上がり、芸術やスポーツなどに価値が移るのかもしれません。

業務の90%が削減されるということは、明らかに劇的に社会変化が起こることを示唆しています。社会学者も含めて本気でシミュレーションし、複数のシナリオを作成したほうがいいと思いますがいかがでしょうか。IT屋はRPAで儲かる、でいいのかもしれませんが一方で社会の変化まで責任を持たねばならないと思います。