NTTデータの一大イベント
人月商売だの、多重請負の温床だの、顧客の下請けだの、いつもどこかで批判の多いSIerですがよくよく見るときちんと戦略的に動いているということを実感できそうなイベント「NTT DATA Innovation Conference 2019」が、今週金曜日(2019/1/25)に溜池山王で開催されます。
NTTデータは日本におけるSIerの王様のような企業です。私自身は全くご縁もなかったのですが昨今のIT業界の在り方に興味を覚えるに従い、ではSIerはどう業界を捉えているか興味があり内容を調査してみました。
NTTデータのビジョン
午前に基調講演、午後に各セッションという、よくある構成です。
それぞれのセッションについて取りまとめる前に、NTTデータの考え方がまとまった絵がありましたので引用します。
お客様にとってのデジタル化
デジタルトラスフォーメーション(DX)を成し遂げるためには5つの分野が大切とおっしゃっています。
■ビジネスプロセスの変革
デジタルを通じて、お客様の仕事のあり方自体を大きく変えていくこと。
■エコシステムの再構築
デジタルを通じて、お客様のビジネスを支えるサプライヤー・協力会社・ユーザーなどの関係を再構築すること。
■新たな体験の創造
デジタルによってこれまでの製品やサービスを、エンドユーザーへ新たな体験として届けること。
■新しいサービスの創造
お客様がこれまで手掛けていなかった新しいサービスを、デジタルによって実現すること。
■新規ビジネスモデルの創出
お客様の既存のビジネスモデルとは全く異なるビジネスモデルを、デジタルによって実現すること。
デジタル化を実現する技術領域
DXを実現するために必要な技術手段として、6つの分野を提唱しています。
■Data & Inteligence(データと知性)
データ資産そのもの、これを利用したAIやデータサイエンスなどの領域。
■Inteligent Automation(知的な自動化)
単なる自動化ではなく、複雑な課題に対して自動的に解決していくプロセス。
■Customer Experience(顧客体験)
いわゆるCX。商品やサービスそのものではなくそれを手に取り消費する顧客側の立場に立って物事を考えていくこと。
■Internet of Things(モノとしてのインターネット)
IoT。有名すぎる概念。センサーをあらゆる物体に取り付けることにより、世界をより知ることができる。
■IT Optimization(ITの最適化)
旧来のIT資産を最新化(モダナイゼーション)することにより、保守性・柔軟性を高めより高い生産性を実現しようとすること。コンテナとかクラウドとか。
■Cybersecurity(サイバーセキュリティー)
デジタル化することにより、ビジネスプロセスによりデジタルが関与することになる。したがってデジタルプロセスに特化したセキュリティーの重要性がいよいよ高まることになる。
各セッションはカテゴライズされている
それぞれのセッションは、上記のカテゴリーのうち、どの内容にあてはまるのか明記されています。DXへのアプローチにはいろいろな組み合わせがありますから、数あるせしょんの中でよりイメージが合うものに参加すると良いと思います。
例えば、下記のように表記されています。
※「新しいサービスの創造 → Data & Inteligence」といった見方。
IT業界に属する人はぜひ参加をお勧めします
特に、営業部門の方であったり、お客様担当のエンジニアであったりする方は、このようなイベントにはぜひ参加したほうが良いと思います。もちろん、ただ参加しても得られるものが限られます。今回のこの6つのDXおよび5つの技術分野の絵はかなりよくできています。別にNTTデータに所属していなくてもどのSIerにいても有用なツールになります。他の企業はまた違った製品やサービスで、これらを実現しているに過ぎません。
この絵を頭に入れて、自社のサービスを整理したりプレゼン資料を作ったりすると、ぐっと説得力が増すと思います。かついろいろなセッションを聴くことで自身のプレゼンに活かすことができます。
他のSIerも同じようなイベントを開催していますので、ぜひ興味を持っていただければと思います。