orangeitems’s diary

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なぜ2018日本レコード大賞はDA PUMPではなく乃木坂46だったのか

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なぜ2018レコード大賞はDA PUMPではなく乃木坂46だったのか

2018年のレコード大賞のパフォーマンスはすごかったですね。

17:30~23:00の4時間半にも渡る長時間ライブだったのですが、バックのオーケストラの演奏が神がかっていました。ほとんどすべての曲を演奏していましたがどの曲も整っていて、ボーカリストもとても歌いやすそうでした。そして、テレビから聞こえてくる音も他の歌番組をはるかに超越する出来でした。初めて全部を見たレコード大賞となりました。テレビではなかなかライブが見れないMISIAの歌声、ピンクレディー、WINKの快演など見所いっぱいでした。

ただ、乃木坂46のレコード大賞には驚いた人もいらっしゃるのではないでしょうか。DA PUMPの歌やダンスはオーケストラとも相まってここ最近でも素晴らしい出来でした。一方で、乃木坂46やAKB48、欅坂46などの女性アイドルグループはいわゆる「口パク」でした。ダンスはきっちり踊っているのですが、ここ最近は画質も音質も向上しているので明らかに生歌ではないのがわかってしまいます。複雑な思いで見ていた方も多いのではないでしょうか。私もその一人です。

しかし、賞レースは、当日のパフォーマンスで決めるものでは全くありません。今回乃木坂46が大賞となったのは別のルールがあるのは明確です。

※ちなみに大賞発表後の乃木坂46はちゃんと歌ってました。普段もこれでいいんじゃないかと思いましたが。

 

レコード大賞の選択基準は

公式ページから引用します。

 

www.jacompa.or.jp

◇ 日本レコード大賞

作曲、作詩、編曲を通じて芸術性、独創性、企画性が顕著な作品とする。
優れた歌唱によって活かされた作品で大衆の強い支持を得た上、その年度を強く反映、代表したと認められた作品に贈る。
審査対象は「優秀作品賞」に選ばれた作品とする。

◇ 優秀作品賞

大衆の強い支持を得、芸術性、独創性、企画性に優れ、その年度を反映したと認められた作品に贈る。

 

もはや国語の問題だと思います。優秀作品賞を選びその中から日本レコード大賞を選ぶことになっています。両方に含まれている「大衆の強い支持」というキーワードこそ、重要な意味を持ちます。

 

大衆の強い支持?

では、「大衆の強い支持」はどうやって決めるのでしょうか。

特に日本レコード大賞は歴史の長い賞レースです。もはや売上CDの枚数が大きなファクターとなっているのは間違いありません。

オリコンの2018年間シングルCDランキングを見てみましょう。

 

www.oricon.co.jp

01 1,819,237 AKB48 Teacher Teacher
02 1,471,485 AKB48 センチメンタルトレイン 
03 1,306,602 乃木坂46 シンクロニシティ
04 1,275,455 乃木坂46 ジコチューで行こう!
05 1,205,009 AKB48 NO WAY MAN
06 1,172,399 AKB48 ジャーバージャ
07 1,146,732 乃木坂46 帰り道は遠回りしたくなる
08 1,021,193 欅坂46 ガラスを割れ
09 967,497 欅坂46 アンビバレント
10 687,331 King & Prince シンデレラガール

 

となりまして、CDだけでみれば、むしろ乃木坂46より、AKB48の方がふさわしかったんじゃないかという別の議論になってしまうことを大衆は知るべきなのだと思います。AKB48の曲より、乃木坂46の曲の方がメディアでの露出が多かったのは感覚的に思います。メディアの歌番組やCMやバラエティーでの露出など、ビジネスとしての市場規模もファクターとなっていそうです。

 

一方で、デジタルでの売上も見逃せなくなりましたね。こちらも2018の年間ランキングを見てみましょう。

 

www.oricon.co.jp

01 179.7(万枚) Lemon 米津玄師
02 54.1 U.S.A. DA PUMP
03 43.4 瞬き back number
04 38.3 LOSER 米津玄師
05 37.4 アイデア 星野源
06 29.8 アイノカタチ feat.HIDE (GReeeeN) MISIA
07 28.7 打上花火 DAOKO×米津玄師 トイズファクトリー
08 28.5 あなた 宇多田ヒカル ソニー・ミュージックエンタテインメント
09 28.4 ドラえもん 星野源 ビクターエンタテインメント
10 27.7 here comes my love Mr.Children トイズファクトリー

 

いかがでしょう。全くCDとは景色が違うのがわかります。

そもそも、デジタルならもはやストリーミングの聞き放題やYouTubeのほうが強いですよね。わざわざシングルでデジタル配信のものを買うか・・買わない。

 

新しい動きもあって、オリコンが、2018年12月よりストリーミングも加味した合算ランキングを出すという話もあります。

 

www.oricon.co.jp

「合算ランキング」とはCDの売上枚数、デジタルダウンロードのDL数、ストリーミングの再生数を合計した新しい音楽ランキング。オリコンではCDランキング、デジタルダウンロードランキング、ストリーミングランキングをそれぞれ発表した上で、それらを総合した「オリコン合算シングルランキング」と「オリコン合算アルバムランキング」を発表する。

 

今年、とても露出された「あいみょん」が全然賞レースでは出てこず、紅白には出るやんという話もあり、対応したようです。DA PUMPもYou Tubeでは恐ろしい再生回数をたたき出していますし、大衆のストリーミングで音楽を楽しむことを無視して、「大衆の強い支持」を測ろうとするから、こんなにギャップが生まれていると思います。

 

大衆の違和感は日本レコード大賞の審査基準が古いことが原因

結論として、旧来の日本レコード大賞の審査基準であれば、DA PUMPではなく乃木坂46が大賞であることは何ら不思議ではありません。むしろ自然だと言えます。

しかし、これだけ歌番組やYouTube、各種ストリーミングサービスを席巻し、今年の顔ともなったUSAが大賞にならないのは、日本レコード大賞の審査基準が古いからとしか説明ができません。

権威のある賞でもありますし、ぜひ、今の大衆が音楽をストリーミングで聴く機会が激増し、そこで熱烈な支持を得ることが「大衆の熱烈な支持」に直結していることを理解いただき、大衆の納得感のある結果を出せるようにご尽力いただきたいなと思います。今年に関しては課題提起ということで収まるとは思いますが、本当にこんな基準で延々と続けて行ったら、賞自体の権威が落ちていくのが目に見えています。

ストリーミングにより音楽業界が息を吹き返しています。

 

realsound.jp

日本レコード協会が8月26日に公表した「2018年第2四半期(4月~6月)音楽配信売上実績」にて、定額制の聴き放題型サービス(サブスクリプションサービス)を含むストリーミングの売上高がダウンロードの売上高を上回ったことが明らかになった。ストリーミングが対前年比137%で88億3800万円を記録したのに対し、ダウンロードは対前年比93%の62億円5200万円となり、2018年第2四半期の音楽配信売上の合計は160億4000万円で対前年比114%に伸長している。

 ストリーミングの大幅増により、音楽市場に活性化の兆しが見えたとされているが、市場構造が変化することで音楽業界にはどのような変化が起こりうるのか。デジタル音楽ジャーナリストのジェイ・コウガミ氏に話を聞いた。

 

ぜひ、日本レコード大賞も現代への最適化を図ってほしいと切に願います。