orangeitems’s diary

クラウドではたらくエンジニアの日々の感想です。

IT業界の知識共有サイトQiitaで起こった論争をまとめる

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IT業界の知識共有サイトQiitaで起こった論争

システムエンジニアならだれでも知っているサイト、Qiita(キータ)。

2011年に京都大学の大学生であった海野弘成氏が立ち上げたサービスです。トップページには、以下の文言が掲載されています。

 

Hello hackers !
Qiitaは、エンジニアリングに関する知識を記録・共有するためのサービスです。コードを書いていて気づいたことや、自分がハマったあの仕様について、他のエンジニアと知見を共有しましょう ;)

 

上記は「エンジニアリング」とあり広い定義を行っているのですが、そもそもは「プログラマー」のためのコミュニティーでした。

 

qiita.com

Qiitaは、プログラミングに関する知識を記録・共有するためのサービスです。

 

初めはプログラミングに限定していたものの、幅広いユーザーが集まったことから制限をかけずにユーザー側にある程度判断を任せていこうという運営方針になったと推測します。プログラミングと言っても最近はサーバーレスや、プログラムの動作環境としてのインフラやクラウドの考え方など、ここ10年で環境が大きく様変わりして来ました。定義が揺らぐのは仕方ない面と言えます。

 

なお、海野氏は2012年にIncrementsという会社を起業しQiitaを運営していましたが、2017年にエイチームにより完全子会社化されたという歴史も持ちます。

 

www.itmedia.co.jp

スマートフォン向けゲーム開発のエイチーム(東証1部)は12月22日、プログラマー向け技術情報共有サービス「Qiita」などを運営するIncrements(東京都渋谷区)を子会社化すると発表した。

 

さて、このQiitaにて、ある論争が起こっていることをご存知でしょうか。

事の発端は、Qiitaに投稿されたある文書です。

 

togetter.com

 

現在は、運営によって文書自体が非公開となっています。下記をよく読めば原文までたどり着けるかもしれません。

 

b.hatena.ne.jp

 

Qiitaが、ある程度ユーザー側の自浄作用で自由に運用されていた状況で、とにかく参加者がざわつくような内容の文書が投入され、今後Qiitaのサービスレベルがどのようにすれば保たれるのか、話題となっている状況です(特にIT業界で)。

 

一方、すぐにアカウントが利用停止となった状況に対してもユーザーサイドに不安が走り、Qiita運営側も反応しました。

 

blog.qiita.com

このたび運営として実施したあるユーザーアカウントの停止措置について、なぜアカウント停止とされたのか不安に思う声をいくつかいただきました。そのためQiitaでのアカウント停止に関する考えについてご説明させていただきます。

 

この文書にてアカウント停止基準については一旦の収拾を見せているものの、もともとの、「どうすればQiitaの文書品質が担保されるか」については議論の真っ最中です。

 

qiita.com

この機会にQiitaに記事を書くのをやめるべきだと思う理由を書かせていただきます。

 

というようなそもそも論も投稿されていて人気になっています。

 

qiita.com

意見とは、タイトルにもあるように、Qiitaでお金が稼げるなら質の高い記事がもっと増えるのではないかというものです。

 

というように、Qiitaが投稿者にとってマネタイズ(収益化)できる場所ではないことが原因と指摘する意見もあります。ただ、様子を見ているとこの意見は逆風も大きそうです。


qiita.com

確かに、今後こんなプログラムが必要だ!って言われたら気になって見てしまいますし、その記事は面白いでしょう。
全ての開発者はこの言語を学べ!気になりますね、そうかこんな言語が今需要あるのか。見てて楽しいですね。
でもそれってQiitaの目指す所なのですか。プログラムに関する再利用性・汎用性の高い情報が集まる場をつくろうとしているサイトで必要ですか。いらないとは言いません、私も面白いとは思っています、ですが、今回の事をきっかけとして、またQiitaの本来求められた姿を取り戻せるように、記事の質を変えていきませんか。

 

・・・というように、ユーザー側に呼びかける記事も人気です。

しかし、これもまたいろいろな議論を生んでいます。

 

考察

技術的な知識を検索すると、必ずQiitaの記事がヒットすると言っていいぐらい、たくさんの技術記事を所有していてその存在感はかなり大きいものになっていると思います。このサイトを育ててきたユーザー層も、オープンから7年経過し、思い入れの深い方もたくさんいらっしゃると思います。自分が愛するサービスに、何らかのノイズが入った時には反応したくなるというのもよくわかります。

現在起きている論争というのは、このサービスインして7年経つというところにポイントがあるのではないかと思うのです。

Qiitaの立ち上げを行った海野氏は、2011年に大学生、2012年にCEOということなので当時は20代でした。一方で、インターネット・WEB系のプログラマーと言えば過去は20代は断然多いと思われます。したがって、運営・ユーザー側共に20代中心のサービスだったのではないかという仮説は、ニコニコ動画と同じ雰囲気を感じます(こちらは統計あり)。20代がWEBサービスを成長させていたと思います。下記は2013年の記事。写真が当時の状況を伝えてくれます。

 

careerhack.en-japan.com

 

そして、現在に至り・・。古株は30代へ移行し古き良きQiitaを熟知しており、一方で20代の大学生層が新規参入してきている状況です。

「Qiitaはお金を稼げるべき」というのは現大学生の@HiromuMasuda0228氏の意見です。きっと古参からすると、「ありえない!」という反応でしょうし、実際そのようなコメントが散見されています。

しかし、古参であっても新参であっても意見を言うことは自由です。そして意見を言うこと自体をQiitaの記事でやっていいのかどうか、ということでこの点も大きな論争となっているのが問題を複雑にしています。

まとめますと、

(1)Qiitaのアカウント凍結問題
(2)Qiita上に投稿される記事の品質を低下させないためにどうあるべきかという問題
(3)ユーザーの意見をQiitaに書き込んでいいのかという問題。また、書き込んだらいけないのであればどこに書くべきかという問題

この3つが並行して議論となっているという理解です。

特に(2)について、世代間で意見が分かれている印象があります。これまで20代が引っ張ってきたサービスだったのが古参ユーザーが30代となり、新参ユーザーが新たに参加してきて意見が割れる。もし収拾がつかないようだと、Qiitaもニコニコ動画と同じように成長のボトルネックとなってしまうのではないでしょうか。

 

www.itmedia.co.jp

 

こちらの有料会員のグラフがとても興味深く、2008年から起算して7年後の2015年にきれいに頭打ちしているのがわかるでしょうか。私の仮説ですが、利用ユーザーが20代が中心のサービスは7年目に頭打ちする。古参ユーザーと、新しいユーザーとの確執が起こるためです。

 

今後の提言

世代や参加年数にかかわらずユーザーの意見を拾う場が必要で、Qiitaの技術記事がそのエントリーであってはいけないと思います。

もし今回の問題を運営が無視していたら、20代も30代以上も居心地が悪いものとなり、自然減へと向かっていきます。また、他の事例より、最終的には運営が悪い、となりがちです。

そしてユーザー同士でディスカッションするものではなく、一方的に運営に意見を募集し最終的には運営が調整力を発揮するべきと思います。有名なタレントを読んで公開ディスカッションをしてもらい、メディアに記事にしてもらうのもよいでしょう。

サイトの意義であったりこれまでの実績は日本のIT業界にとって非常によいものであると思うので、これを機に一度運営ポリシーを整理しどの世代のユーザーであっても居心地の良いものにしていただきたいと希望します。

##私はこのブログがあるので、恵まれているほうなのですが・・。