海賊版リーチサイトの規制
海賊版リーチサイトが規制されるという報道がありました。
文化庁は、漫画や映画などの海賊版サイトにインターネット利用者を誘導する「リーチサイト」を規制するため、著作権法を改正する方針を固めた。リーチサイトにリンク(URL)を張る行為は、これまで違法ではないと解釈されていたが、これを著作権の侵害行為とみなし、著作権者が掲載の差し止め請求をできるようにするほか、提供者らに対する罰則規定を設ける。来年の通常国会に同法改正案の提出を目指す。
一見、良さそうな法制度ですが、運用がよく理解できませんでした。例えば、私がブログで、「漫画村が・・」と書くのは大丈夫だと思います。しかし、「www.mangamura.org」というドメインが、と書くとアウトになるのでしょうか。
Twitterでつぶやいたら、Twitterがリーチサイトになるのでしょうか。それともTwitter社へ国から問い合わせが行き、発信者特定をされて刑事告発されてしまうのでしょうか。
「漫画村はこちら」、と書くとそれはダメなのはわかるのですが、インターネット上の微細な表現まで奪う可能性はないのでしょうか。
そもそも、海賊版サイトへのリンクと、海賊版コンテンツへのリンクは意味が違うような気もしますね・・・。何をもって「リーチ」とするか。
よくわからない部分があるので、国内の情報をまとめておきます。
国内の情報
参考になるリンクを掲載します。
今回のニュース
海賊版誘導:「リーチサイト」規制へ 運営者らに罰則 - 毎日新聞
「はるか夢の址」事件
「リーチサイト」事件 新たに3容疑者逮捕 神奈川 - 産経ニュース
海賊版リーチサイト「はるか夢の址」運営者ら9人逮捕 - ITmedia ビジネスオンライン
週プレもジャンプも悪辣な被害を被っていた! 日本最大最悪の海賊版組織「はるか夢の址」の真実 - 社会 - ニュース|週プレNEWS[週刊プレイボーイのニュースサイト]
リーチサイトの情報記事
巨大ビジネス化する海賊版 悪質「リーチサイト」の台頭、止める策はあるか (1/3) - ITmedia NEWS
海賊版コンテンツに誘導「リーチサイト」規制へ…「リンク張るだけ」の対策に難しさ - 弁護士ドットコム
考察
掲載するURLとは、海賊版コンテンツへのURLであり、それらを集めたり第三者がURLを掲載できるようにしたサイトを、リーチサイトと言うようです。具体的には「はるか夢の址」事件がモデルとなっていることもわかりました。漫画村も、「コンテンツ自身は保管しておらず、第三者がアップロードしたコンテンツへのリンクを掲載しているだけ」と言い張っていたのを思い出します。こう言ったサイトをリーチサイトと呼んでいて、リーチサイト自体を封じるための法整備をしたい、ということで理解しました。
確かに、これまでの漫画村や漫画村類似サイトは、違法コンテンツのURLと、サイト自身のURLは分けて運用するケースばかりでした。結局はCDNでホスティングするのに何をまどろっこしいことをやっているのだろうと思っていたのですが、そういうことだったのですね。
この解釈や経緯であれば、リーチサイトへのリンクを掲載しただけでは対象にならないと思います。「リーチサイトにリンク(URL)を張る行為」という表現が難しくて、リーチサイトのURLを掲載することと誤解してしまいそうになります。そうではなくて、「はるか夢の址」「フリーブックス」「漫画村」に代表されるリーチサイトに、海賊版コンテンツへのリンクを掲載する行為を示しているのですね。
文脈を間違えるとまるで意味が変わってきますので、議論の中で具体的な運用に拡大解釈が進まないよう、気を付けて報道を見ていきたいと思います。