Vtuberがすでに飽和
Vtuberがもはやレッドオーシャン化しているという記事を読みました。
マーケティングの基本ですが、参入障壁が低い(だれでも参加できる)と、競争相手が多すぎて勝者になりにくい、もしくはなるためには相当な体力が必要です。例えばMVNOなんてたくさんの業者が参加しましたがほとんど儲けになっていません。一方MVO(ドコモ、AU、ソフトバンク)は官房長官が「高すぎる、4割下げられる」と揶揄されるほど儲かっています。この前楽天がMVOに参入の意思を表明しましたが、一説には6000億円の設備投資がかかるとか。このような参入障壁の低く、かつ市場規模が大きいというのが理想的なビジネスエリアということになります。
Vtuberは個人でも運用できますし、そこに何億という資金を持った企業が続々と参入してきました。本文記事にあるとおり「先行者利益」が幅を利かせている様子です。また市場もなかなか大きく伸びていかないようで勝者が限りなく少ないように見受けられます。
趣味としては残るとは思いますが、百億のファンドを組んでビジネスになるのかというと今の状況では私は懐疑的です。
一方で残るビジネスもある
21世紀も始まって20年弱経ち、私が子供のころから考えれば立派な近未来なのですが、変わらず残っているものもたくさんあります。いくつかの例をまとめてみます。
固定電話
これだけ携帯電話が発達しているのに、生き続けている固定電話って不思議です。今の家庭事情だと、電話より有線のインターネットが主役で、電話はIP電話が付属しているイメージだと思います。
単に電話という機能だけでみれば、携帯電話がすでに完全に実装しているので、もはや「ステータス」としての意味が大きいのではないでしょうか。住所記入欄などを書く時に、固定電話を電話番号に書くと何となく信用が高くなるイメージがあります。不動産の意味まであると思います。携帯電話は人にひもづきますが、固定電話は住所にひもづきます。
FAX
おそらくFAXが無くなると困る人は一定数いるのでしょう。ビットマップ情報を電話網で遠隔地に送信し、紙で出力させるというメソッドは、例えばスマホのカメラ画像をメール送信するのと似ています。ただFAXの先はやはり、不動産であり、特定の誰かのスマホじゃありませんので、FAXにも不動産の付加価値が含まれているのが無くならない原因ではないかと思います。
ハミガキ
かなり昔から、歯ブラシに歯磨き粉つけて、ごしごし洗っています。ここってイノベーションがないと思いませんか?。電動歯ブラシ、歯間ブラシぐらいですかね・・、昔にはなくて今にあるものって。おおもとの意味合いは何も変わっていないと思います。
歯ブラシ、歯磨き粉は、基本的には良く知るメーカーから消費者は買うでしょうし、新しいメーカーが参入しても大量生産している既存メーカーには価格でかないません。ITのエリアの企業ばかりがビジネスではもてはやされますが、昔から変わりのない市場のなかで参入障壁が高い歯磨き粉/歯ブラシを売っている会社の盤石さは素晴らしいと思います。
Vtuberが無くなっても、ハミガキはしなきゃいけませんよね。
キーボード・マウス
VRをはじめ、音声認識、顔認証など様々な入力デバイスが生み出されているにもかかわらず、21世紀の我々はキーボードとマウスが手放せません。
固定電話と同じように、結局百年後も存在するんじゃないでしょうか。そういう意味では固定電話に匹敵するぐらいすさまじい発明なのかもしれませんね。
Let's note
レッツノートって、他のノートPCと比べると野暮ったくて値段も高くって、固定ファンはいるものの廃れる運命ではと思っていました。が。
一周回って、快進撃が続いているそうです。ノートPC市場は日本の企業はほぼ生き残っておらず、パナソニックだけが結果的に国産メーカーとして目立ってしまったとのことです。ノートPCのトレンドが薄型・軽量に極端に偏ってしまった一方で、レッツノートは「丈夫」であることに極度にこだわってきたため、日本国内でのビジネス用途需要が全て向かってしまったようですね。
短期的なトレンドに目を向けず、本来のビジョンに向かってコツコツと実績を積み上げていくことのすばらしさを感じます。
レッツノートも100年経っても存在してそうですね。
iPhone
iPhoneが登場したあと、AndroidやWindows Phoneがすごい勢いで追いかけてきて、これはもしかしたら、コモディティー化して最終的にはAndroidに全部なってしまうのではと思ったのですが、全くそうはならなかったですね。
iPhoneがiPhoneであることを、その他が真似できないのであれば、電話やFAXのようにiPhoneが永遠に続くということが現実的になってきているのかもしれません。
傘
傘って、ずっと基本的に傘です。もっと先進的な傘があってもいいのかもしれないのですが。地球規模になると人間のイノベーションなんて小さなものなのかもしれません。傘でよけるしかない。ブロックチェーンやロボティクスやAIも、傘の機能は代替できないという不思議です。
生き残る企業が一番強い
よく、強い企業に入社すれば人生安泰だ、とは言いますが、この「強い」という定義はインターネットメディアばかり見ていると、それこそGoogle/Apple/Facebook/Amazonと言った情報技術を武器にイノベーションを起こす会社のことを指すと思いがちです。しかし、上記のような「なぜか生き残っていて、これからもなくならないもの」を生み出す市場で大きなシェアを持っている会社は、真の意味で強いと思います。社会の流れに乗って一発当てるより、百年経っても無くならない市場の中で優位性を持つことが非常に「強い」と思います。
イノベーションを考えるとき、その先進性だけにとらわれず、「百年続くか」という目線で見ると非常に確かなものになるのではないかと思います。
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