orangeitems’s diary

クラウドではたらくエンジニアの日々の感想です。

計画停電、東京23区も…|データセンター運用に大きな影響も

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計画停電の在り方が見直しへ

2012年の東日本大震災から6年が経ちましたが、当時は一部の地域で計画停電も実際に実施され大きな緊張感が走ったのを思い出されます。

さて、この計画停電の在り方ですが、東京23区も対象になる方向でルールに見直しがなされるようです。

 

www.yomiuri.co.jp

地域や時間を区切って電気の供給を止める「計画停電」の運用ルールが変更され、除外されていた東京23区も原則、対象に含まれることが分かった。2011年3月の東日本大震災では、23区は国の有事対応に支障が出るなどとして、計画停電の対象外とされた。今後の災害では、都心の企業や住民もこれまで以上の備えが必要となりそうだ。

 

職業柄、一番心配なのはデータセンターです。データセンターには多数の重要システムが収容されていて、運用の大前提として停電しないことになっています。データセンターにはどのような影響があるのでしょうか。

 

日本の3割のデータセンターは東京都にある事実

日本の主要なデータセンターが加盟する日本データセンター協会(JDCC)という組織があります。この協会に加盟しているデータセンターが、下記のページにて確認できます。

 

www.jdcc.or.jp

 

このデータセンターの数をカウントすると250あります。もちろんこの一覧にない小さなデータセンターも日本にはいくつもありそうですが、主要なものは網羅されている印象です。

このうち、「東京都」と記載されているセンターは77か所もあります。23区内と明記されているセンターも56か所です。なお、明記されていなくても23区内に設置されていて非公開なだけという設備もたくさんありました。

少なくとも日本の3割は東京都内、1/4は23区内というのは間違いありません。

ちなみに、大阪府は33か所です。東京と大阪で半分を占めるというのは覚えておいたほうがいいと思います。

 

2012年当時は、データセンター設備の停電は重点的に避けられた

震災当時の記憶です。

23区内は全く停電しなかったのは既報の通りですが、他県でも、変電所や社会インフラ設備(電気・ガス・水道、データセンターなど)が所在する地域は停電しなかった記憶があります。

「23区内も停電対象に」とは言っても、依然として社会インフラのある区域は、計画停電地域から除外されている可能性はあると思います。

ただ、政府によって計画停電しないことが保証されている状態ではありませんので、利用者としては「停電する可能性はある」という前提で物事を考えたほうがよろしいかと思います。

 

データセンターの停電対策

各データセンターにて停電対策はまちまちですが、JDCCはデータセンターの設備の優劣を「Tier」という単位で表しています。なお、アメリカが発祥なのですが日本の国内事情に合わせてアレンジを加えてあるそうです。Tierは1~4の4段階で、4が最も設備が優れているという解釈をします。

http://www.jdcc.or.jp/pdf/facility.pdf

さて、停電時にどの程度データセンターは稼働し続けられるのでしょうか。

Tier1なら規定なし、Tier2ならば12時間、Tier3ならば24時間、Tier4なら48時間とあります。もちろんこれ以上を保証しているデータセンターもありますが、まずは規定上は上記の時間停電時も稼働できることになります。

計画停電の時間は数時間と仮定すれば、その間自家発電にて賄うというのが通常の考え方です。

一方でもう少し複雑な状況もあり、通常の受電設備(東京電力など)から自家発電に切り替えるためにはダイレクトには行きません。通常は自家発電は止まっていますので、停電したときに瞬時に起動するのは無理ですよね。自家発電が動く前に、UPS(無停電電源装置)という設備に一度切り替わります。自家発電が動いたら、再度手動で切り替えることになります。

上記のPDFにあるUPSの記載はこれを説明しており、UPSは5分や10分しか持ちません。したがって、UPSに切り替わってしまったらバッテリーが無くなるまでに自家発電を切り替えるなど、データセンターの運用部門はかなり重要なミッションを持っています。

UPSから自家発電の稼働や切り替え、通常電源への切り戻しが現在どの程度自動化されているかは不明ですが、平常時においてはUPSに切り替わったり自家発電が稼働することはまずないので、訓練も含めてデータセンター運用はかなりシビアである印象です。普段やっていないことを非常時に正確にやるということは、手順が簡単であってもなかなか難しい部類の作業になります。

もし、計画停電の詳細がもっと公表され、もし、データセンター地域へ拡大することが分かった場合は、データセンター事業者にかなりの緊張が走るものと思います。

データセンターはどうしても大都市圏に集中しているので、地震に強そうなインターネットの世界は意外にも電力供給をトリガーとして脆弱さをもっていることを知っておくべきかと思います。

 

 

クラウド&データセンター完全ガイド 2018年春号 (impress mook)